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ブルネイ ダルサラームのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したブルネイ ダルサラームのレモン・ライム生産量データによると、1960年代から2020年代にかけて、同国の生産量はおおむね増加傾向を見せつつも、一部の時期で減少や停滞が目立ちます。生産量は1961年には20トンと非常に小規模でしたが、ピーク時の2010年には85トンに達しました。その後はやや減少し、2023年には67トンとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 67
-0.33% ↓
2022年 67
-0.3% ↓
2021年 68
-0.3% ↓
2020年 68
-0.94% ↓
2019年 68
0.19% ↑
2018年 68
1.5% ↑
2017年 67
1.36% ↑
2016年 66
-4.6% ↓
2015年 70
5.58% ↑
2014年 66
3.52% ↑
2013年 64
2.68% ↑
2012年 62
-16.68% ↓
2011年 74
-12.46% ↓
2010年 85
6.26% ↑
2009年 80
0.34% ↑
2008年 80
1.83% ↑
2007年 78
2.77% ↑
2006年 76
2.82% ↑
2005年 74
-1.21% ↓
2004年 75
7.14% ↑
2003年 70
12.11% ↑
2002年 62
4.07% ↑
2001年 60
11.26% ↑
2000年 54
7.86% ↑
1999年 50
4.01% ↑
1998年 48
6.82% ↑
1997年 45
15.92% ↑
1996年 39
-2.95% ↓
1995年 40
-7.9% ↓
1994年 43
-2.93% ↓
1993年 45
-2.36% ↓
1992年 46
-8.36% ↓
1991年 50
2.8% ↑
1990年 49
-11.56% ↓
1989年 55
-8.33% ↓
1988年 60 -
1987年 60
-7.69% ↓
1986年 65 -
1985年 65
8.33% ↑
1984年 60
-14.29% ↓
1983年 70
-12.5% ↓
1982年 80
14.29% ↑
1981年 70
7.69% ↑
1980年 65
8.33% ↑
1979年 60 -
1978年 60
9.09% ↑
1977年 55
37.5% ↑
1976年 40
-20% ↓
1975年 50 -
1974年 50
6.38% ↑
1973年 47
17.5% ↑
1972年 40
-6.98% ↓
1971年 43
7.5% ↑
1970年 40
11.11% ↑
1969年 36
20% ↑
1968年 30 -
1967年 30
11.11% ↑
1966年 27
-10% ↓
1965年 30 -
1964年 30 -
1963年 30
50% ↑
1962年 20 -
1961年 20 -

ブルネイ ダルサラームにおけるレモン・ライム生産量の推移データを分析すると、いくつかの明確なトレンドを確認することができます。まず1960年代初頭、同国のレモン・ライム生産は20トン程度にとどまり、非常に小規模でした。しかし1970年代から1980年代にかけて緩やかな増加が見られ、中でも1982年には80トンという重要な高水準に達しました。この増加は、農業技術の普及や国内需要の高まりによるものと考えられます。

一方で、1980年代後半から1990年代後半にかけて生産量が減少傾向に転じた点が特筆されます。具体的には、1990年には49トンまで減少しています。この背景には、ブルネイの経済が石油と天然ガス産業に強く依存しており、その結果として農業部門への関与が相対的に減少したという構造的な課題があると推測されます。また、この期間、世界的な農産物価格の変動や輸入品の影響も地元産業にマイナスの影響を与えた可能性があります。

2000年代に入ってからは再び生産量が上昇に転じ、2010年には85トンというピークに達しました。この時期の改善には、農業政策の改善や市場へのアクセス拡大が鍵となったと考えられます。しかしながら、その後の10年間は60~70トン前後で横ばいとなっており、直近の2023年の生産量は67トンとピーク時から約20%減少しています。これは自然災害による影響や、地域の気候変動により作物が影響を受けたことがその要因となっている可能性があります。

ブルネイ ダルサラームの生産量を近隣諸国と比較すると、インドネシアやマレーシアといった農業大国と比べその規模は依然として小さいことが分かります。一方で、小規模な農業部門でも国内需要の一部を賄う能力を有している点は評価に値します。このような自給的側面の維持は、新型コロナウイルスのようなパンデミック時においても食料安全保障の観点から重要性を持ちます。

課題としては、気候変動への適応能力が挙げられます。気温上昇や降水パターンの変化は、レモン・ライムといった柑橘類の生産に直接的な影響を及ぼします。また、国際的な市場競争力を高めるためには、ブルネイ独自の高品質ブランドを育成し、付加価値を高める努力が求められます。

政策的には、地域農業を強化するための投資促進や、新しい灌漑システムといった農業技術への移行が鍵を握るでしょう。また、食品の輸出促進政策や近隣諸国との協力強化によって市場へのアクセスを拡大することも重要です。さらに、気候変動に対応した持続可能な農業手法の導入が、長期的な生産安定性を確保するために必要不可欠です。

結論として、ブルネイ ダルサラームのレモン・ライム生産は、過去数十年の間に増加・減少を経験し、小規模ではあるものの一定の自給能力を維持しています。しかし、気候変動や経済的依存の課題が今後の主要なリスクとなるため、それに対抗するための政策措置が求められます。国際的な協力や技術進歩を活用し、持続可能な生産体系の確立を図ることが、将来に向けての重要なステップとなるでしょう。