世界のココナッツ生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が2024年7月に発表した2021年のココナッツ生産量ランキングによると、第1位はインドネシア（1,710万トン）、続いてフィリピン（1,471万7,294トン）、インド（1,430万1,000トン）となっています。これらの3カ国だけで、世界のココナッツ生産量の約70％を占めていることが分かります。一方、日本や先進国はランキングに含まれておらず、ココナッツ生産は主にアジアや南米、太平洋諸国などの熱帯地域に集中しています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	インドネシア	アジア	17,100,000
2	フィリピン	アジア	14,717,294
3	インド	アジア	14,301,000
4	スリランカ	アジア	2,496,000
5	ブラジル	南アメリカ	2,465,180
6	ベトナム	アジア	1,866,700
7	ミャンマー	アジア	1,220,000
8	パプアニューギニア	オセアニア	1,180,000
9	メキシコ	南アメリカ	1,074,400
10	タイ	アジア	651,866
11	マレーシア	アジア	568,894
12	ガーナ	アフリカ	494,000
13	タンザニア連合共和国	アフリカ	459,000
14	ドミニカ共和国	南アメリカ	433,807
15	バングラデシュ	アジア	402,852
16	中国	アジア	391,346
17	バヌアツ	オセアニア	364,000
18	モザンビーク	アフリカ	246,330
19	ナイジェリア	アフリカ	226,000
20	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	185,669
21	キリバス	オセアニア	174,300
22	コロンビア	南アメリカ	155,081
23	コートジボワール	アフリカ	127,250
24	ソロモン諸島	オセアニア	120,000
25	ジャマイカ	南アメリカ	101,640
26	ミクロネシア連邦	オセアニア	93,637
27	コモロ	アフリカ	86,724
28	ケニア	アフリカ	86,554
29	カンボジア	アジア	84,392
30	フランス領ポリネシア	オセアニア	84,000
31	トンガ	オセアニア	63,600
32	サモア	オセアニア	63,505
33	エルサルバドル	南アメリカ	62,671
34	マダガスカル	アフリカ	54,391
35	ギニア	アフリカ	53,000
36	ギニアビサウ	アフリカ	40,549
37	ペルー	南アメリカ	38,937
38	ハイチ	南アメリカ	33,600
39	東ティモール	アジア	30,800
40	キューバ	南アメリカ	28,394
41	マーシャル諸島	オセアニア	21,609
42	フィジー	オセアニア	20,012
43	ニューカレドニア	オセアニア	18,000
44	コスタリカ	南アメリカ	18,000
45	ガイアナ	南アメリカ	17,770
46	中国、台湾 中国省	アジア	17,169
47	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	16,800
48	パナマ	南アメリカ	15,967
49	グアテマラ	南アメリカ	14,400
50	ソマリア	アフリカ	14,400
51	ベナン	アフリカ	13,665
52	ホンジュラス	南アメリカ	13,415
53	トーゴ	アフリカ	13,205
54	エクアドル	南アメリカ	12,728
55	パキスタン	アジア	12,290
56	セントルシア	南アメリカ	12,000
57	赤道ギニア	アフリカ	9,603
58	スリナム	南アメリカ	9,348
59	リベリア	アフリカ	8,400
60	ドミニカ	南アメリカ	8,400
61	グレナダ	南アメリカ	7,200
62	シエラレオネ	アフリカ	6,306
63	ニカラグア	南アメリカ	6,000
64	カーボベルデ	アフリカ	6,000
65	セーシェル	アフリカ	4,800
66	トケラウ	オセアニア	4,800
67	セネガル	アフリカ	4,800
68	ネパール	アジア	4,573
69	カメルーン	アフリカ	3,694
70	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	3,600
71	コンゴ	アフリカ	3,000
72	バハマ	南アメリカ	2,837
73	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	2,800
74	ニウエ	オセアニア	2,600
75	ツバル	オセアニア	2,400
76	ナウル	オセアニア	2,400
77	バルバドス	南アメリカ	2,068
78	クック諸島	オセアニア	1,768
79	ベリーズ	南アメリカ	1,578
80	サントメ・プリンシペ	アフリカ	1,200
81	モーリシャス	アフリカ	1,200
82	ブルネイ ダルサラーム	アジア	409
83	モルディブ	アジア	222
84	プエルトリコ	南アメリカ	151
85	シンガポール	アジア	117
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2021年のデータに基づくココナッツ生産量のランキングは、熱帯気候に適応したこの植物が生み出す国際市場への寄与を明確に示しています。特に、インドネシア、フィリピン、インドの3カ国が世界のリーダー的存在であり、この3カ国が生産するココナッツは世界中で消費される製品の原料となっています。例として、ココナッツオイル、ココナッツミルク、乾燥ココナッツなどが挙げられますが、近年、これらは健康志向の高まりを背景に、先進国市場でも需要が増加しています。

この統計から一つ注目すべき点は、上位の生産量を占める国々がいずれも熱帯やモンスーン地帯に位置し、降水量が豊富なためココナッツ栽培が適していることです。例えば、インドネシアは島嶼国家であり、気候条件が最適である上に、ココナッツ農業が地元経済や労働市場に重要な役割を果たしています。フィリピンについても、ココナッツの栽培は主要な輸出産業であり、多くの農家の収入源として機能しています。しかし、この高い依存度は、気候変動や自然災害（台風、干ばつなど）が発生した場合に経済の安定性を損なうリスクを高めています。

一方、上位4位以降のスリランカやブラジルなどの国々を見ると、5位のブラジルはアフリカ諸国に近い気候帯で栽培技術をいかし、国内需要だけでなく周辺国への供給の拠点としての地位を確立しています。興味深いのはメキシコやタイ、ガーナといった中規模な生産国の存在で、これらの国々では、国内のココナッツ製品需要に重点を置いている傾向があります。

日本やヨーロッパ諸国のような非熱帯地域ではココナッツの栽培はほぼ行われておらず、輸入依存度が高いことからココナッツ製品の安定供給が経済や生活に影響を与える可能性があります。したがって、輸入先国との長期的な国際的パートナーシップの構築が求められています。

しかしながら、ココナッツ生産は地政学的リスクや気候変動の影響を受けやすい点も問題です。たとえば、地域衝突や農地の奪い合い、災害などが生産量や輸出にどのような影響を与えるのか、継続的にモニタリングする必要があります。2021年時点では、新型コロナウイルス感染症による物流の停止や農業従事者の減少も生産の効率低下を招いた可能性があり、このような外部リスクに対する対応策を国際的に協議する必要があります。

未来を見据えると、技術革新を活用した農地の効率化、病害虫管理の強化、災害に強い栽培方法の研究開発が急務です。また、地域ごとのココナッツ製品加工や周辺需要拡大の取り組みも重要とされます。例えば、ココナッツ生産国が地域経済協力機構を設立し、生産と貿易に関する共通の政策や基準を制定することが考えられます。

結論として、この2021年のデータは、ココナッツ生産が持つ経済的重要性に加え、世界が直面するリスクと課題を示しています。安定した供給のためには、広範な国際協力と、各国の生産システムの強化が不可欠です。今後、国際連合や地域間組織が生産者支援や気候変動への対応策にもっと注力することで、安定的で持続可能なココナッツ産業を支える環境が整うことを期待します。