Food and Agriculture Organizationが更新した2024年の最新データによると、モーリシャスのココナッツ生産量は過去数十年にわたり大幅に減少しており、現在は安定していますが、依然として低い水準に留まっています。1961年の17,476トンから急激な減少を経て、2000年以降は約1,500トン前後で推移しています。2023年には1,132トンを記録し、わずかに減少傾向を示しました。
モーリシャスのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,132 |
-0.74% ↓
|
2022年 | 1,140 |
-4.98% ↓
|
2021年 | 1,200 | - |
2020年 | 1,200 | - |
2019年 | 1,200 | - |
2018年 | 1,200 | - |
2017年 | 1,200 | - |
2016年 | 1,200 |
50% ↑
|
2015年 | 800 |
-44.44% ↓
|
2014年 | 1,440 |
-10.67% ↓
|
2013年 | 1,612 |
-4.5% ↓
|
2012年 | 1,688 |
12.53% ↑
|
2011年 | 1,500 | - |
2010年 | 1,500 | - |
2009年 | 1,500 | - |
2008年 | 1,500 | - |
2007年 | 1,500 | - |
2006年 | 1,500 | - |
2005年 | 1,500 | - |
2004年 | 1,500 | - |
2003年 | 1,500 | - |
2002年 | 1,500 | - |
2001年 | 1,500 | - |
2000年 | 1,500 |
-16.67% ↓
|
1999年 | 1,800 |
5.88% ↑
|
1998年 | 1,700 |
-10.53% ↓
|
1997年 | 1,900 |
2.7% ↑
|
1996年 | 1,850 |
5.71% ↑
|
1995年 | 1,750 |
16.67% ↑
|
1994年 | 1,500 |
-33.33% ↓
|
1993年 | 2,250 |
2.27% ↑
|
1992年 | 2,200 | - |
1991年 | 2,200 |
-4.35% ↓
|
1990年 | 2,300 |
4.55% ↑
|
1989年 | 2,200 |
11.28% ↑
|
1988年 | 1,977 |
-20.92% ↓
|
1987年 | 2,500 |
-16.67% ↓
|
1986年 | 3,000 |
-25% ↓
|
1985年 | 4,000 |
-20% ↓
|
1984年 | 5,000 | - |
1983年 | 5,000 | - |
1982年 | 5,000 | - |
1981年 | 5,000 | - |
1980年 | 5,000 | - |
1979年 | 5,000 | - |
1978年 | 5,000 | - |
1977年 | 5,000 | - |
1976年 | 5,000 | - |
1975年 | 5,000 | - |
1974年 | 5,000 | - |
1973年 | 5,000 |
-16.67% ↓
|
1972年 | 6,000 |
-20% ↓
|
1971年 | 7,500 |
-6.25% ↓
|
1970年 | 8,000 | - |
1969年 | 8,000 |
-20% ↓
|
1968年 | 10,000 |
-23.08% ↓
|
1967年 | 13,000 |
-13.33% ↓
|
1966年 | 15,000 |
-16.67% ↓
|
1965年 | 18,000 | - |
1964年 | 18,000 | - |
1963年 | 18,000 | - |
1962年 | 18,000 |
3% ↑
|
1961年 | 17,476 | - |
モーリシャスにおけるココナッツ生産量の推移を見ると、長期的に顕著な下降傾向が見られます。1960年代初頭には生産量が17,000トンを超える水準にありましたが、1970年代以降、持続的な減少を始めました。この減少は特に顕著で、1980年代から1990年代にかけて1,000トンを下回る水準に近づくまで縮小しました。その後2000年以降は生産量が1,500トン前後で一定のレベルに安定しましたが、2015年以降再び減少傾向が見られ、最新の2023年には1,132トンという過去最低に近い水準となりました。
この減少の主要な原因として、ココナッツプランテーションの縮小と気候変動の影響が挙げられます。モーリシャスでは観光業や都市化の進展に伴い、農業用地の確保が難しくなっています。さらに、地球温暖化による気象条件の不安定化や干ばつは、ココナッツの生産性を低下させています。また、他の農産物との競合も影響を与えており、高収益な作物への転換が進んだことでココナッツ生産が優先されなくなった可能性も考えられます。
他国と比較すると、アジアの主要生産国であるインドネシアやフィリピンでは、ココナッツの年間生産量が数千万トン規模に達しており、これらの国々と比べてもモーリシャスの生産量は非常に小さい水準に留まります。アフリカ地域の中では、モーリシャスの生産量は依然として低水準であり、ナイジェリアやタンザニアなどの主要生産国と比較しても競争力に乏しい状況です。
この生産量減少の背景には、地域の経済的・地政学的要因も影響しています。例えば、モーリシャスの経済は観光業に大きく依存しているため、農業政策に十分な予算が割かれていないことが指摘されています。また、小規模な島国としての地政学的リスクを常に抱えており、輸出市場における競争力強化が課題となっています。
今後の具体的な課題として、環境変化に適応した農業技術の導入や生産地の環境保全が挙げられます。例えば、塩害対策や高収量で耐久性の高いココナッツ品種の導入が生産性向上の効果的な手段となる可能性があります。また、地域間の農業協力や気候変動対策のための国際的な援助を受け入れることも重要です。さらに、農業従事者への支援を通じて持続可能な産業としての基盤を確立する取り組みが必要です。
一方で、ココナッツ関連商品の付加価値を高めることも将来的な成長の鍵となるでしょう。例えば、オーガニックココナッツ製品の製造や関連する観光商品の開発を通じて、国際市場での地位を強化することが期待されます。
モーリシャスが持続可能な農業と経済の発展を両立させるためには、農業政策に適切な投資を行い、地域経済全体を支援する枠組みを構築することが急務です。国際機関との協力や他国の成功事例を参考にして、これらの問題を克服するための具体的な戦略を構築していくことが求められます。