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サントメ・プリンシペのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)が2024年7月に発表した最新のデータによると、サントメ・プリンシペのココナッツ生産量は1960年代から1970年代にかけて47,000トン前後で推移したものの、その後急激な減少を示しました。1990年代から2010年代初頭にかけては2万トン台で推移していましたが、2010年代後半から現在にかけては大幅に減少し、2023年には2,001トンとなっています。とりわけ、2016年以降の激減が顕著です。この変化は、経済、農業政策、環境要因が複雑に絡み合った結果と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,001
-18.77% ↓
2022年 2,463
105.28% ↑
2021年 1,200 -
2020年 1,200 -
2019年 1,200
62.16% ↑
2018年 740
-7.38% ↓
2017年 799
1.65% ↑
2016年 786
-98.44% ↓
2015年 50,400
-1.56% ↓
2014年 51,200
18.3% ↑
2013年 43,280
41.25% ↑
2012年 30,640
20.63% ↑
2011年 25,400
-2.1% ↓
2010年 25,945
-16.31% ↓
2009年 31,000
10.7% ↑
2008年 28,003
12.01% ↑
2007年 25,000
-10.71% ↓
2006年 28,000 -
2005年 28,000
7.69% ↑
2004年 26,000
-1.89% ↓
2003年 26,500
-0.03% ↓
2002年 26,508
1.95% ↑
2001年 26,000
1.96% ↑
2000年 25,500
4.08% ↑
1999年 24,500
4.26% ↑
1998年 23,500
-2.08% ↓
1997年 24,000
0.84% ↑
1996年 23,800
5.78% ↑
1995年 22,500
-2.17% ↓
1994年 23,000
1.25% ↑
1993年 22,717
3.26% ↑
1992年 22,000
-12% ↓
1991年 25,000
-19.35% ↓
1990年 31,000
-6.06% ↓
1989年 33,000
-13.16% ↓
1988年 38,000
11.76% ↑
1987年 34,000
-12.82% ↓
1986年 39,000
2.63% ↑
1985年 38,000
8.57% ↑
1984年 35,000
-12.5% ↓
1983年 40,000
8.11% ↑
1982年 37,000
23.33% ↑
1981年 30,000
-6.25% ↓
1980年 32,000
-23.81% ↓
1979年 42,000
27.27% ↑
1978年 33,000
-21.43% ↓
1977年 42,000
40% ↑
1976年 30,000
-3.23% ↓
1975年 31,000
-24.39% ↓
1974年 41,000
-2.38% ↓
1973年 42,000
2.44% ↑
1972年 41,000
2.5% ↑
1971年 40,000
1.27% ↑
1970年 39,500
-10.23% ↓
1969年 44,000
7.84% ↑
1968年 40,800
-10.53% ↓
1967年 45,600
-0.44% ↓
1966年 45,800
-16.73% ↓
1965年 55,000
12.24% ↑
1964年 49,000
10.36% ↑
1963年 44,400
-12.94% ↓
1962年 51,000
8.51% ↑
1961年 47,000 -

サントメ・プリンシペは、赤道付近の小さな諸島国として、豊かな降水量と肥沃な土壌に恵まれ、歴史的にはココナッツやカカオなどの農産物の生産が主要産業の一部を占めていました。データからわかるように、1960年代にはココナッツの生産量が年平均40,000トン以上を誇り、同国にとって重要な農産物でした。ただし、1970年代以降、生産量は徐々に減少を開始し、特に1990年代初頭には2万トン台前半まで落ち込みました。このころは、国内の社会的・経済的な不安定さや、農業から他産業への移行が生産量低下の一因と考えられます。

近年ではさらに厳しい状況が反映されており、2016年にはわずか786トン、2023年には2,001トンにとどまりました。この急激な減少は、主に生産基盤の老朽化、気候変動による極端な気象の増加、そして国内農業への投資不足によるものと推測されます。また、地政学的要因も見逃せません。国際市場でのココナッツの価格の変動により、生産コストが利益を上回ることも多く、農家がココナッツの生産を断念するケースが散見されます。

課題として注目すべき点は、ココナッツ生産が脆弱な持続可能性基盤の上に成り立っていることです。土壌の栄養枯渇や、疾病、さらにココナッツを栽培する農家の高齢化などの問題が積み重なっています。同様に、気候変動の影響で台風や干ばつが頻発化し、ココナッツの健全な収穫を阻害していることも大きな要因です。これらの影響は、他の地域、特に気候変動に敏感なインド洋や太平洋の島国でも類似の問題として指摘されており、国際的な支援が必要とされています。

さらなる対策として、政府および国際機関は、いくつかの具体的な手段を模索するべきです。まず、近代的かつ効率的な農法の導入によって、収穫量を改善するための技術研修プログラムが効果を上げると期待できます。次に、耐病性の高いココナッツ品種の開発と導入が必要です。また、気候変動に対する耐性を高めるための灌漑や防災インフラの整備も急務です。さらに、国内外の投資を促進する政策を実施し、農業分野に資本注入を図る必要があります。

国際市場に進出するためには、サントメ・プリンシペ特産のココナッツ製品として付加価値を高め、ブランド化することも有効です。例えば、ココナッツオイルや繊維といった加工品事業を強化するなどの方向性が考えられます。これにより、従来の輸出原料依存型の経済から脱却し、より収益性の高い産業構造へと移行が見込まれます。

結論として、サントメ・プリンシペのココナッツ生産量が持続的かつ安定的に発展するためには、農業分野への投資促進、技術革新、耐病性品種の導入、気候変動に対する適応策の実施が欠かせません。同時に、地域コミュニティ内での協力を強化し、国際社会との連携を深めることで、長期的な経済的安定を取り戻すことが課題となります。これにより、同国経済の重要な一角を占める農業分野が再び復活し、地域住民の暮らしや国内全体の発展に貢献できる可能性が広がるでしょう。

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