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モルディブのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)

モルディブのココナッツ生産量は、過去数十年で大きな変動を見せています。1960年代の6000トン台から1970年代には10000トンを超える成長を遂げましたが、1980年代以降、生産量は増減を繰り返しました。特に2000年代初頭には飛躍的に増加し、2003年には約37,446トンに達しました。しかしその後、急激に減少し、2023年にはわずか22トンという過去最低の記録を示しています。この急減は、気候変動や土地利用の変化といった複数の要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 22
-70.96% ↓
2022年 75
-66.36% ↓
2021年 222
-25.77% ↓
2020年 299
9.93% ↑
2019年 272
20.89% ↑
2018年 225
-48.28% ↓
2017年 435
-21.89% ↓
2016年 557
9.63% ↑
2015年 508
20.11% ↑
2014年 423
-25.11% ↓
2013年 565
-58.72% ↓
2012年 1,368
-56.65% ↓
2011年 3,156
-25.92% ↓
2010年 4,260
-17.6% ↓
2009年 5,170
149.16% ↑
2008年 2,075
0.24% ↑
2007年 2,070
-19.2% ↓
2006年 2,562
-84.96% ↓
2005年 17,035
-53.09% ↓
2004年 36,312
-3.03% ↓
2003年 37,446
59.79% ↑
2002年 23,435
3.75% ↑
2001年 22,588
44.15% ↑
2000年 15,670
42.95% ↑
1999年 10,962
-11.72% ↓
1998年 12,417
-10.87% ↓
1997年 13,931
0.11% ↑
1996年 13,916
17.14% ↑
1995年 11,880 -
1994年 11,880
-6.6% ↓
1993年 12,720
-8.23% ↓
1992年 13,860
16.96% ↑
1991年 11,850
-6.69% ↓
1990年 12,700
-1.4% ↓
1989年 12,880
26.27% ↑
1988年 10,200
6.69% ↑
1987年 9,560
-16.62% ↓
1986年 11,466
0.58% ↑
1985年 11,400 -
1984年 11,400
14% ↑
1983年 10,000
13.64% ↑
1982年 8,800
3.63% ↑
1981年 8,492
-4.15% ↓
1980年 8,860
247.72% ↑
1979年 2,548
-60.75% ↓
1978年 6,492
-35.61% ↓
1977年 10,083
85.83% ↑
1976年 5,426
-33.5% ↓
1975年 8,159
90.9% ↑
1974年 4,274
-10.47% ↓
1973年 4,774
30.33% ↑
1972年 3,663
-59.52% ↓
1971年 9,049
-11.9% ↓
1970年 10,271
-3.49% ↓
1969年 10,642
1.35% ↑
1968年 10,500
5% ↑
1967年 10,000
11.11% ↑
1966年 9,000
31% ↑
1965年 6,870
2.08% ↑
1964年 6,730
2.12% ↑
1963年 6,590
2.01% ↑
1962年 6,460
2.05% ↑
1961年 6,330 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した統計によると、モルディブのココナッツ生産量は、過去60年で劇的な変化を示してきました。1960年代では6,000トン台の出発点から始まり、その後着実に増加傾向をたどり、1966年から1970年にかけて10,000トンを超えるようになりました。その後は天候要因や市場需要の影響で増減を繰り返すものの、2000年代初頭には急激な拡大を見せ、2003年には37,446トンとなり最大記録を達成しました。しかしこのピークの後、生産量は大きく下落し、2023年にはわずか22トンという大幅な縮小が記録されています。

この変化の背景には、いくつかの複合的要因があると考えられます。まず、モルディブの地理的特性が挙げられます。モルディブは低地の島国であり、気候変動の影響を強く受けやすい地域です。近年では海面上昇や台風といった自然災害による被害が頻発し、ココナッツ農業へも甚大な影響を及ぼしています。例えば、2006年や2012年以降のデータで顕著に見られるように、災害の多発や異常気象が生産量低下に寄与したと考えられます。

さらに土地利用の変化や人口増加による都市化も深刻な問題です。観光業の成長に伴い、リゾート開発や住宅建設のために耕作地が縮小し、従来ココナッツ農業に用いられていた土地が減少した可能性があります。同時に農業従事者の高齢化や労働力の減少といった人的要因も大きな課題として浮上しています。

モルディブのココナッツは国内で重要な食料資源であるとともに、観光産業や輸出用の加工品としても経済的価値があります。しかしながら、現在のような生産環境の悪化が続けば、ココナッツ農業は存続が危うくなるでしょう。この状況を改善するためには、いくつかの具体的な対策が求められます。

まず、気候変動への適応策を進める必要があります。たとえば、耐塩性や耐干ばつ性に優れたココナッツ品種の導入や開発が効果的でしょう。また、土地利用に関しては、観光開発と農地保全を両立するためのゾーニング政策や農業用地の保護が不可欠です。さらに、都市部から農村部への投資や労働力支援、あるいは農業の重要性を再認識させる教育キャンペーンも有効と考えられます。

他国と比較してみると、例えばインドではココナッツ生産が依然活発であり、技術革新や地域間での協力が経済の安定に寄与しています。モルディブでも同様に、アジア地域内での農業技術や経験の共有が生産向上に役立つでしょう。日本をはじめとする先進国からの技術援助も有望な手段の一つです。

最後に、長期的な視野での国際協力の枠組みが必要です。気候変動はモルディブ単独の問題ではないため、同様のリスクを抱える他の島嶼国と連携し、共有の研究や資金援助プロジェクトを推進することが望まれます。またココナッツの減産が観光業や経済全体へ与える影響を最小限に抑えるため、多様な収入源を確保し、産業構造の再考も視野に入れるべきです。

ココナッツ農業の推移はモルディブの自然と経済の調和を映し出す象徴的なデータとなっています。この数値の低下を食い止めることはモルディブ固有の農業遺産を守るだけでなく、持続可能な未来への鍵ともなるでしょう。当面は気候変動対策や農業政策改革に重点を置きつつ、地域とグローバルな協力を強化することが必要不可欠です。

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