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マダガスカルのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に公開した最新データによると、マダガスカルのココナッツ生産量は、1960年代から1980年代にかけて著しい増加を見せ、1990年代以降は概ね安定した水準を維持しているものの、2009年以降急激に減少しています。直近の2023年では、過去最高だった1989年の83,000トンに対し、51,668トンまで縮小しています。この長期的減少傾向は、気候変動や社会経済的要因などが複合的に影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 51,668
-1.82% ↓
2022年 52,624
-3.25% ↓
2021年 54,391
-3.75% ↓
2020年 56,512
-3.23% ↓
2019年 58,400 -
2018年 58,400
-1.35% ↓
2017年 59,200
-1.33% ↓
2016年 60,000
-3.85% ↓
2015年 62,400 -
2014年 62,400
-18.9% ↓
2013年 76,940 -
2012年 76,940
1.24% ↑
2011年 76,000
-2.69% ↓
2010年 78,100
6.55% ↑
2009年 73,300
-13.24% ↓
2008年 84,488
-0.01% ↓
2007年 84,500 -
2006年 84,500 -
2005年 84,500 -
2004年 84,500 -
2003年 84,500
0.06% ↑
2002年 84,450 -
2001年 84,450
0.54% ↑
2000年 84,000
-1.18% ↓
1999年 85,000
1.19% ↑
1998年 84,000 -
1997年 84,000
1.2% ↑
1996年 83,000
1.22% ↑
1995年 82,000
2.5% ↑
1994年 80,000
-6.98% ↓
1993年 86,000
1.18% ↑
1992年 85,000
1.19% ↑
1991年 84,000 -
1990年 84,000
1.2% ↑
1989年 83,000
1.22% ↑
1988年 82,000
3.8% ↑
1987年 79,000
0.64% ↑
1986年 78,500 -
1985年 78,500
0.51% ↑
1984年 78,100
1.68% ↑
1983年 76,810
1.48% ↑
1982年 75,690
0.89% ↑
1981年 75,020
9.74% ↑
1980年 68,360
21.7% ↑
1979年 56,170
62.95% ↑
1978年 34,470
7.07% ↑
1977年 32,195
-8.72% ↓
1976年 35,270
4.19% ↑
1975年 33,850
23.45% ↑
1974年 27,419
-2.08% ↓
1973年 28,000
7.98% ↑
1972年 25,931
8.86% ↑
1971年 23,820
32.33% ↑
1970年 18,000
12.5% ↑
1969年 16,000
7.73% ↑
1968年 14,852
-7.18% ↓
1967年 16,000
3.23% ↑
1966年 15,500
-0.64% ↓
1965年 15,600
1.96% ↑
1964年 15,300
2% ↑
1963年 15,000 -
1962年 15,000
8.7% ↑
1961年 13,800 -

マダガスカルのココナッツ生産量の歴史は、特に1961年から1989年にかけて、非常に明確な成長を示しています。1960年代初期の生産量は15,000トン前後であったのに対し、1980年代後半には83,000トンを記録しました。この時期の成長は、新たな栽培技術の導入やココナッツの需要増加に伴うマーケットの拡大が主因とされています。特に、1979年から1981年にかけての急激な伸びは、それ以前の生産効率の大幅な改善を背景として実現されました。

しかし、2009年を境に生産量が激減し、2023年には約51,668トンとピーク時の60%程度にまで落ち込んでいます。この低下傾向は、主に以下の要因と関連しています。第一に、気候変動による降水量や気温の変化が挙げられます。ココナッツの生産には一定以上の湿度と適正な気候が必要ですが、近年では台風の頻度増加や干ばつの長期化といった気候不安定性が農業に大きな影響を与えています。第二に、生産インフラの整備不足と農業資材の調達困難が問題となっています。特に、農民が集約的にココナッツ栽培を行うための支援が不足しており、生産効率に直接の影響を与えています。

また、2009年の急激な減少の背景として、マダガスカル国内における政治的混乱や社会不安も重要な要因であると考えられます。地政学的リスクが農業生産の基盤を脅かし、投資や国際貿易の停滞がココナッツ関連産業を衰退させた可能性があります。他国と比較すると、例えばフィリピンやインドネシアのようなココナッツ生産大国では、新しい技術の普及や国際的な市場連携強化が進み、依然として高い生産量を維持しています。これに対し、マダガスカルは基盤整備の遅れと自然災害への脆弱性が競争力低下を招いている状況です。

さらに、近年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済的影響も軽視できません。労働力不足やサプライチェーンの停滞が、農産物の生産量全体を減少させた可能性があります。特に人手に依存する過程が多いココナッツ栽培において、この一時的な労働力不足は生産回復を遅らせた要因の一つです。

このような現象を踏まえ、マダガスカルのココナッツ産業復興への提案として、まず持続可能な農業手法と気候変動への適応策が必要です。具体的には、耐乾性の強いココナッツ種の導入や、灌漑設備の整備を進めることが効果的です。また、ココナッツを単なる国内需要向けにとどめず、輸出用として高付加価値製品(ココナッツオイル、繊維製品など)を製造することで、付加価値を高める方針が求められます。さらに、地政学的リスクの軽減には、国内の行政安定や国際的な支援を受けた農村開発プログラムの確立が必要不可欠です。

最後に、国際機関や他国の成功例を参考にしつつ、地域間協力の強化と農民の教育・技術研修を進めるべきです。特に、フィリピンやインドネシアなどにおける包括的なココナッツ産業発展計画をモデルにすることで、マダガスカルの持続可能な成長が可能となるでしょう。データが示すように早急な対策を講じなければ、ココナッツ産業の再興は困難を極める可能性がありますが、適切な努力と国際的な協力があれば、かつての成長軌道を取り戻すことが期待されます。

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