国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ナウルのココナッツ生産量は1961年の1,300トンから緩やかに増加し、1990年代以降は特に成長が顕著でした。2002年以降は2,000トン台を突破し、近年では安定して2,400トン前後を維持しています。2023年には2,412トンと軽微な増加が記録されましたが、成長は鈍化傾向にあります。
ナウルのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 2,412 |
0.06% ↑
|
2022年 | 2,410 |
0.42% ↑
|
2021年 | 2,400 | - |
2020年 | 2,400 | - |
2019年 | 2,400 | - |
2018年 | 2,400 | - |
2017年 | 2,400 | - |
2016年 | 2,400 | - |
2015年 | 2,400 | - |
2014年 | 2,400 |
-11.11% ↓
|
2013年 | 2,700 |
3.85% ↑
|
2012年 | 2,600 |
12.89% ↑
|
2011年 | 2,303 |
-9.02% ↓
|
2010年 | 2,531 |
0.82% ↑
|
2009年 | 2,511 |
1.56% ↑
|
2008年 | 2,472 |
1.59% ↑
|
2007年 | 2,434 |
1.61% ↑
|
2006年 | 2,395 |
1.64% ↑
|
2005年 | 2,356 |
1.67% ↑
|
2004年 | 2,318 |
1.69% ↑
|
2003年 | 2,279 |
1.72% ↑
|
2002年 | 2,240 |
1.75% ↑
|
2001年 | 2,202 |
1.79% ↑
|
2000年 | 2,163 |
1.82% ↑
|
1999年 | 2,125 |
1.85% ↑
|
1998年 | 2,086 |
1.89% ↑
|
1997年 | 2,047 |
1.92% ↑
|
1996年 | 2,009 |
1.96% ↑
|
1995年 | 1,970 |
2% ↑
|
1994年 | 1,932 |
2.04% ↑
|
1993年 | 1,893 |
2.08% ↑
|
1992年 | 1,854 |
2.13% ↑
|
1991年 | 1,816 |
10.99% ↑
|
1990年 | 1,636 |
2.25% ↑
|
1989年 | 1,600 | - |
1988年 | 1,600 | - |
1987年 | 1,600 | - |
1986年 | 1,600 | - |
1985年 | 1,600 |
6.67% ↑
|
1984年 | 1,500 |
-16.67% ↓
|
1983年 | 1,800 |
-5.26% ↓
|
1982年 | 1,900 | - |
1981年 | 1,900 |
5.56% ↑
|
1980年 | 1,800 |
5.88% ↑
|
1979年 | 1,700 |
6.25% ↑
|
1978年 | 1,600 |
6.67% ↑
|
1977年 | 1,500 |
50% ↑
|
1976年 | 1,000 |
-44.44% ↓
|
1975年 | 1,800 |
2.86% ↑
|
1974年 | 1,750 |
2.94% ↑
|
1973年 | 1,700 |
3.03% ↑
|
1972年 | 1,650 | - |
1971年 | 1,650 |
3.13% ↑
|
1970年 | 1,600 |
3.23% ↑
|
1969年 | 1,550 |
3.33% ↑
|
1968年 | 1,500 | - |
1967年 | 1,500 | - |
1966年 | 1,500 | - |
1965年 | 1,500 |
15.38% ↑
|
1964年 | 1,300 | - |
1963年 | 1,300 | - |
1962年 | 1,300 | - |
1961年 | 1,300 | - |
ナウルのココナッツ生産量は、特に農業が国の重要経済活動である点から非常に注目されています。FAOが示したデータを分析すると、1960年代から1990年代にかけては、生産量が一貫して増加している様子が見られます。この間、国の食糧安全保障や輸出収入を支えるために、ココナッツ栽培に対する農業政策やインフラ投資の拡充が行われた可能性が考えられます。しかし、1976年の生産量激減(この年は1,000トン)やそれ以降の1983年までの不安定な推移を見ると、気候変動や市場不安、あるいは地域的な農業活動の縮小といった課題も影響を与えたと推測されます。
1990年代以降は、ココナッツ生産量が増加に転じます。特に1991年の1,816トン、さらに2003年の2,279トンへの成長は、ナウルにおける農業技術の向上やココナッツの需要拡大に関連している可能性があります。ココナッツは食用油の原料、繊維、燃料供給源としても利用され、その多用途性がグローバル市場での需要を支えています。一方、2011年以降は2,400トン前後で推移しており、一時的な増減はあるものの、生産量の向上傾向は鈍化しています。
ナウルの地理的特性や人口の少なさを考慮すると、生産量の拡大は限界に直面しているかもしれません。小さな島国であることから利用可能な農地が限られていることに加え、近年の気候変動や土地の質の劣化といった環境的課題が、生産量の停滞に影響を与えていると考えられます。特に、暖化によるココナッツ木へのストレスや台風などの極端な気象現象は、収穫量の予測や安定供給を難しくする要因となるでしょう。
今後の発展のためには、ナウル政府や国際機関がココナッツ産業の持続可能性を確保するための新しい手法を模索する必要があります。例えば、気候変動に強い改良種の導入、土地効率を最大化するための農業技術の普及、灌漑設備や防風林の整備が求められるでしょう。また、国内外の市場連携を強化し、ココナッツ由来製品の輸出市場をさらに広げるための取り組みも重要です。特に国際的なフェアトレード市場やエコ製品市場への参入は、新たな収益増加と地元農業従事者の持続的な雇用促進の観点で有望です。
また、ココナッツの生産量が地域経済や食糧自給率にどの程度影響を持つのかを適切に評価するには、統計のさらなる精密化が求められます。特に、気候変動に関連する影響を監視しながら、被害の軽減策や適応策を講じることが急務です。
最終的に、ナウルのココナッツ生産量の安定と持続可能性の確保は、単に地域経済を支えるだけでなく、国際市場でのナウルの位置づけや国際的なサポートを築くための基盤ともなります。そのため、環境保全と経済成長の両立を目指した政策の連携が必要です。