トーゴにおけるココナッツ生産量は1961年に35,000トンでピークを迎えましたが、その後生産量は大幅に減少し、長い停滞期を経て、2020年代に再びわずかな回復傾向が見られる状況です。最新の2023年には15,170トンと、過去20年間の中では最も高い生産量を記録していますが、かつてのピーク時からは大幅な差があります。
トーゴのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 15,170 |
9.58% ↑
|
2022年 | 13,844 |
4.84% ↑
|
2021年 | 13,205 |
20.05% ↑
|
2020年 | 11,000 | - |
2019年 | 11,000 |
-1.79% ↓
|
2018年 | 11,200 | - |
2017年 | 11,200 | - |
2016年 | 11,200 |
7.69% ↑
|
2015年 | 10,400 | - |
2014年 | 10,400 |
-20.18% ↓
|
2013年 | 13,030 |
-6.91% ↓
|
2012年 | 13,997 |
-0.02% ↓
|
2011年 | 14,000 |
1.08% ↑
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2010年 | 13,850 |
8.03% ↑
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2009年 | 12,820 |
-15.38% ↓
|
2008年 | 15,150 |
1% ↑
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2007年 | 15,000 |
3.45% ↑
|
2006年 | 14,500 | - |
2005年 | 14,500 | - |
2004年 | 14,500 | - |
2003年 | 14,500 |
3.57% ↑
|
2002年 | 14,000 | - |
2001年 | 14,000 | - |
2000年 | 14,000 | - |
1999年 | 14,000 | - |
1998年 | 14,000 | - |
1997年 | 14,000 | - |
1996年 | 14,000 |
-0.41% ↓
|
1995年 | 14,058 |
-0.43% ↓
|
1994年 | 14,118 |
0.25% ↑
|
1993年 | 14,083 |
0.01% ↑
|
1992年 | 14,081 |
0.01% ↑
|
1991年 | 14,080 |
-18.14% ↓
|
1990年 | 17,199 |
22.85% ↑
|
1989年 | 14,000 | - |
1988年 | 14,000 | - |
1987年 | 14,000 | - |
1986年 | 14,000 | - |
1985年 | 14,000 | - |
1984年 | 14,000 | - |
1983年 | 14,000 | - |
1982年 | 14,000 | - |
1981年 | 14,000 | - |
1980年 | 14,000 |
1.45% ↑
|
1979年 | 13,800 |
2.22% ↑
|
1978年 | 13,500 | - |
1977年 | 13,500 |
1.5% ↑
|
1976年 | 13,300 |
2.31% ↑
|
1975年 | 13,000 |
-3.7% ↓
|
1974年 | 13,500 |
5.47% ↑
|
1973年 | 12,800 |
2.4% ↑
|
1972年 | 12,500 | - |
1971年 | 12,500 |
-26.47% ↓
|
1970年 | 17,000 |
-15% ↓
|
1969年 | 20,000 |
11.73% ↑
|
1968年 | 17,900 |
-5.79% ↓
|
1967年 | 19,000 |
-5% ↓
|
1966年 | 20,000 | - |
1965年 | 20,000 |
-33.33% ↓
|
1964年 | 30,000 |
20% ↑
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1963年 | 25,000 |
25% ↑
|
1962年 | 20,000 |
-42.86% ↓
|
1961年 | 35,000 | - |
国際連合食糧農業機関(FAO)のデータをもとに分析すると、トーゴのココナッツ生産量は1960年代初頭の35,000トンをピークに、以降は大幅な減少から長期的な停滞を経験していることが分かります。1961年の生産量35,000トンから1967年には19,000トン、1971年には12,500トンと急激な減少が続きました。その後は1990年代中盤を通して14,000トン付近で安定しましたが、2000年代後半以降、生産量は再び低迷するようになりました。2014年から2019年にかけては、10,400~11,200トンの間で低い数値を記録しており、生産状況の停滞が鮮明です。
しかし、2021年以降には生産量が回復傾向に入り、2023年には15,170トンと、近年では最も高い数値に達していることが確認できます。この回復傾向は、新たな農業政策、農地改良、持続可能な栽培技術の導入などの効果が部分的に現れ始めた可能性を示唆しています。
この生産量の変動は、地政学的背景や気候変動、農業インフラの整備状況など、様々な要因が絡んでいます。1960年代から1970年代にかけての急激な減少は、主に植民地時代の農業基盤の崩壊や国内の政治的不安定によるものと考えられます。また、長期間見られた停滞は、従来の農業技術が限界を迎えたことや、気候変動による降雨パターンの変化、灌漑設備の不足が影響している可能性があります。さらに、近代化農業が他国ほど進展せず、小規模農家が依然として主流であることが、生産性の低下を引き起こしている重要な要因です。
近年の回復傾向は注目すべき動向です。2021年から2023年にかけて微増を見せている理由としては、政府および国際機関による持続可能な農業支援プログラムや、多様な作物への投資促進政策が奏功している可能性が挙げられます。そして、このような支援策による持続可能な取り組みは、今後のさらなる成長の鍵となり得るでしょう。
トーゴのココナッツ生産をより一層発展させるためには、複数の課題に対応する必要があります。第一に、農業インフラの改善が急務です。特に、灌漑設備の導入や土壌改良などの技術支援が小規模農家に行き渡るよう、国際機関や地域政府が共同で取り組むべきです。第二に、気候変動への対応が不可欠です。高温や降雨不足が生産に与える影響を緩和するため、耐乾燥性に優れた新品種の開発や植林活動による土壌保水力の向上が必要です。第三に、地域の農業協同組合を支援し、小規模農作業者の連携促進と設備共有を推進することで、生産効率を高めることができます。
さらに、収穫後の輸送や加工の効率化も見逃せません。収穫したココナッツを余すところなく活用できる加工技術や市場の多角化による収益性の向上も重要です。また、近隣諸国や国際市場を視野に入れた貿易促進プログラムを実施することで、地域経済全体の底上げが期待できます。
今後、気候変動や地政学的リスクが拡大する中で、トーゴのココナッツ生産は多くの挑戦を抱えていますが、持続可能な方法を基盤にした投資と政策の連携が進めば、生産量と収益の両面で確実な成長が見込まれるでしょう。国際的な支援を取り入れつつ、国内の農業構造改革を推進することで、かつての成果を上回る未来を築く可能性があります。