国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2020年度のカシューナッツ生産量ランキングによると、最も多く生産した国はコートジボワールで、848,700トンを記録しました。2位にインド(703,000トン)、3位にベトナム(348,504トン)が続き、アフリカやアジアの国々が生産量の上位を占めています。一方で、中国や日本といったアジア先進国の順位は低く、生産量の地理的な偏りが見られる状況となっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 848,700 |
| 2 |
|
アジア | 703,000 |
| 3 |
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アジア | 348,504 |
| 4 |
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アジア | 255,915 |
| 5 |
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アフリカ | 232,681 |
| 6 |
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アジア | 165,868 |
| 7 |
|
アフリカ | 143,000 |
| 8 |
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南アメリカ | 139,321 |
| 9 |
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アフリカ | 137,926 |
| 10 |
|
アフリカ | 135,000 |
| 11 |
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アフリカ | 120,000 |
| 12 |
|
アフリカ | 91,915 |
| 13 |
|
アフリカ | 89,385 |
| 14 |
|
アフリカ | 73,995 |
| 15 |
|
アフリカ | 37,000 |
| 16 |
|
アジア | 33,655 |
| 17 |
|
アジア | 24,991 |
| 18 |
|
アジア | 16,533 |
| 19 |
|
アフリカ | 12,668 |
| 20 |
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アフリカ | 8,921 |
| 21 |
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アフリカ | 8,110 |
| 22 |
|
アフリカ | 7,352 |
| 23 |
|
南アメリカ | 4,077 |
| 24 |
|
南アメリカ | 3,671 |
| 25 |
|
アフリカ | 2,687 |
| 26 |
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南アメリカ | 2,114 |
| 27 |
|
アフリカ | 2,113 |
| 28 |
|
アジア | 1,522 |
| 29 |
|
南アメリカ | 1,056 |
| 30 |
|
南アメリカ | 820 |
| 31 |
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南アメリカ | 656 |
| 32 |
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アジア | 226 |
| 33 |
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アフリカ | 212 |
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2020年度のカシューナッツ生産量データによると、コートジボワールが848,700トンを生産し、圧倒的な1位に位置しています。これは、同国がアフリカ内陸部の豊かな土地を活かし、カシューナッツ輸出に注力してきた結果といえます。2位のインド(703,000トン)はカシューナッツの国内消費も多い国でありつつ、世界的な輸出国としての役割も大きいです。また、加工技術が進むベトナム(348,504トン)は3位にランクインしており、主に輸出用としての生産活動が活発です。
ランキング上位の国々を見ると、アフリカとアジアの国々が中心的な役割を果たしていることが分かります。特にアフリカは、コートジボワール以外にもフィリピンやタンザニア連合共和国、モザンビークといった多くの国々が名を連ね、カシューナッツの世界的な供給基盤を支えています。これらの国々は、カシューナッツ農業が農村地域の経済成長や雇用創出に貢献しているという特性を持ちます。その一方で、インドやベトナムのような国々は、単なる生産だけではなく、加工や流通のシステムにも力を入れ、付加価値を高めた輸出型産業の発展に成功しています。
課題としては、アフリカの多くの国がカシューナッツの加工能力を持たず、収穫したカシューナッツをそのまま他の国へ輸出する構図が続いている点が挙げられます。このことは、同地域の経済成長ポテンシャルを制限する大きな要因となっています。具体的には、加工施設の不足やインフラの整備不全、また輸出国としての交渉力の弱さが課題です。一方で、アジア諸国はカシューナッツの加工技術を活かし高い利益を上げています。特にベトナムは効率的な加工技術を持つことで国際市場で価格競争力を持ち、多くのシェアを獲得しています。
また、地政学的背景の影響も無視できません。一部地域では、政情不安や自然災害が生産性に悪影響を与えています。特に西アフリカは紛争や不安定な政治環境が続くことで、農業従事者が十分な支援を受けられず、これが生産量に直接影響しています。また、新型コロナウイルスのパンデミックによる物流の混乱も、2020年度の多くのカシューナッツ輸出国に打撃を与えました。
カシューナッツ業界の未来をより発展的なものにするためには、いくつかの方向性が考えられます。まず、カシューナッツ自然栽培だけでなく、加工技術や施設への投資をアフリカ諸国が推進することが重要です。これは、地場産業の発展だけでなく、輸出時の付加価値を高めるという長期的な利益につながるでしょう。また、インフラ整備や物流改善に焦点を当てることで、輸出体制を効率化することも重要です。一方で、協力的な地域間枠組みや国際機関からの支援を通じて、生産者が安定した収益を確保できる仕組みを作ることも求められます。
最後に、持続的なカシューナッツ生産を保証するためには、環境保護や労働環境への配慮も欠かせません。現在、一部の地域では森林伐採を伴う農地の拡大が進んでおり、環境破壊につながるリスクがあります。国際的な政策協調のもとで、持続可能な農業ガイドラインの策定と実施を進めることが必要です。
今後は、カシューナッツの生産国が地域ごとに異なる課題を認識し、国際市場での競争力を高めるために経済、環境、社会的なアプローチをバランスよく取り入れることがカギとなるでしょう。