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南アフリカのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新のデータによると、南アフリカのキュウリ類の生産量は、1961年の7,051トンから2023年の28,961トンへとおおむね増加傾向を示しています。特に1970年代の生産量急増や、2010年代以降の安定的な増産が目立ちます。一方で、1990年代前半から中頃にかけて生産量が減少した時期や、2020年をピークにやや減少する傾向も見られます。このデータは、南アフリカ国内外の農業政策や市場動向、さらには気候変動の影響について考察するための重要な資料となります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 28,961
-2.33% ↓
2022年 29,651
-4.07% ↓
2021年 30,909
-1.87% ↓
2020年 31,497
1.8% ↑
2019年 30,940
15.59% ↑
2018年 26,767
-6.54% ↓
2017年 28,640
2.67% ↑
2016年 27,896
-4.2% ↓
2015年 29,119
15.86% ↑
2014年 25,133
5.1% ↑
2013年 23,914
2.21% ↑
2012年 23,396
-4.19% ↓
2011年 24,420
13.56% ↑
2010年 21,504
8.61% ↑
2009年 19,799
-2.81% ↓
2008年 20,371
-0.69% ↓
2007年 20,513
9.37% ↑
2006年 18,756
-6.83% ↓
2005年 20,131
4.65% ↑
2004年 19,236
14.32% ↑
2003年 16,826
10.87% ↑
2002年 15,176
6.51% ↑
2001年 14,248
8.03% ↑
2000年 13,189
-12.82% ↓
1999年 15,129
-4.01% ↓
1998年 15,761
-3.35% ↓
1997年 16,307
1.08% ↑
1996年 16,133
5.3% ↑
1995年 15,321
0.09% ↑
1994年 15,307
-22.66% ↓
1993年 19,791
5.14% ↑
1992年 18,823
-7.82% ↓
1991年 20,420
1.33% ↑
1990年 20,152
-13.47% ↓
1989年 23,288
3.6% ↑
1988年 22,478
-11.67% ↓
1987年 25,447
1.79% ↑
1986年 25,000
1.39% ↑
1985年 24,657
0.98% ↑
1984年 24,417
4.25% ↑
1983年 23,421
-1.72% ↓
1982年 23,831
19.16% ↑
1981年 20,000 -
1980年 20,000
2.86% ↑
1979年 19,443
-9.77% ↓
1978年 21,549
-2.05% ↓
1977年 22,000 -
1976年 22,000
10% ↑
1975年 20,000
33.33% ↑
1974年 15,000
-11.76% ↓
1973年 17,000
30.77% ↑
1972年 13,000
8.33% ↑
1971年 12,000
9.09% ↑
1970年 11,000
10% ↑
1969年 10,000
25% ↑
1968年 8,000
14.29% ↑
1967年 7,000 -
1966年 7,000 -
1965年 7,000 -
1964年 7,000 -
1963年 7,000
4.4% ↑
1962年 6,705
-4.91% ↓
1961年 7,051 -

南アフリカのキュウリ類の生産量データを分析すると、この国の農業生産における発展と課題が浮き彫りになります。例えば、1961年から1975年にかけての時期は、安定した増加基調を見せており、僅か約15年で7,051トンから20,000トンを超える大幅な増産が達成されています。これは、農業技術の向上や、灌漑システムの普及など、農業基盤の強化が進んだことが一因と考えられます。この時期の急成長を見ると、南アフリカの農業における発展意欲が特筆に値するといえるでしょう。

その後、1980年代には比較的安定的な増加傾向が続きましたが、1990年代に入ると生産量が著しく減少し、1994年には15,307トンと大きな落ち込みが見られました。これは、南アフリカがアパルトヘイト体制後、新しい政治・経済構造を構築し始めた時期にあたります。特に農業では、土地改革政策や新たな所有権の試みが多く行われ、生産体制の移行に伴う混乱が影響を及ぼした可能性があります。このような政治的背景は、安定的な農業生産にとって大きなリスクとなることが示されました。

2000年代に入ると再び持ち直し、2010年代には着実な増加傾向が見られました。特に2015年には一気に29,119トンと増加し、このころから30,000トン近い水準での高い生産量が維持されています。この成長には、国際市場の需要が高まったことに加え、施設園芸技術や市場輸送の改善といった要因が寄与していると推測されます。一方で2020年以降は再びやや減少する傾向が見られ、2023年には28,961トンとなっています。この減少は、気候変動による影響や栽培コストの増加、市場価格の変動といった要素の影響が考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の流行も物流に一時的な混乱をもたらした可能性が否めません。

地域的には、南アフリカでは乾燥した気候の下でも比較的成長が可能なキュウリ類が主要作物の一つとして栽培されますが、降水量が限られるため効率的な水資源利用が重要です。この点では、他国の例としてヨーロッパ諸国や日本のように水資源を最大限有効活用する先進的な灌漑技術の導入が不可欠と考えられます。

未来への課題としては、まず、気候変動による期待外れの収穫量減少リスクに対応するため、耐乾燥性の高いキュウリ品種の品種改良が挙げられます。また、食料供給の安定性を確保し、輸出市場をさらに拡大するには、農業従事者への継続的な技術教育と資金援助が不可欠となるでしょう。さらに国内外の市場調査を踏まえた生産調整も重要です。例えば、中国やインドといった人口が多く需要が拡大している国々の市場をターゲットにした戦略が挙げられます。

南アフリカの農業が引き続き国の経済成長の支柱であり続けるためには、国際社会や地域間での協力も重要です。例えば、南部アフリカ開発共同体(SADC)の枠組みを活用し、近隣諸国と連携した農業政策やインフラ整備を進めることが、食料全体の安定供給に貢献するでしょう。特に今後は、キュウリ類のような安定して栽培できる作物を通じて、食料安全保障の強化が期待されます。

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