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南アフリカのパパイヤ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、2023年、南アフリカのパパイヤ生産量は7,633トンとなり、過去最も高い生産量であった1988年の31,729トンと比較して大幅に減少しました。特に2000年代初頭から急激な下落が始まり、2020年以降は9,000トンを下回る水準へと至っています。長期的な減少傾向が鮮明であり、同国の農業政策や環境的な課題が影響を与えていると分析できます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 7,633
-8.36% ↓
2022年 8,330
-11.36% ↓
2021年 9,398
-10.96% ↓
2020年 10,555
-19.64% ↓
2019年 13,134
1.74% ↑
2018年 12,909
-6.04% ↓
2017年 13,739
-11.5% ↓
2016年 15,525
4.64% ↑
2015年 14,836
1.6% ↑
2014年 14,602
-1.84% ↓
2013年 14,875
17.01% ↑
2012年 12,713
-4.5% ↓
2011年 13,312
10.24% ↑
2010年 12,076
-14.59% ↓
2009年 14,139
-9.75% ↓
2008年 15,667
1.42% ↑
2007年 15,447
8.04% ↑
2006年 14,297
-6.4% ↓
2005年 15,274
7.39% ↑
2004年 14,223
12.45% ↑
2003年 12,648
-18.13% ↓
2002年 15,449
-30.42% ↓
2001年 22,202
13.76% ↑
2000年 19,516
-17.13% ↓
1999年 23,550
1.47% ↑
1998年 23,208
2.08% ↑
1997年 22,735
-15.15% ↓
1996年 26,795
26.96% ↑
1995年 21,105
3.74% ↑
1994年 20,344
-4.36% ↓
1993年 21,271
45.91% ↑
1992年 14,578
-47.12% ↓
1991年 27,569
-9.9% ↓
1990年 30,598
15.08% ↑
1989年 26,589
-16.2% ↓
1988年 31,729
9.62% ↑
1987年 28,944
25.46% ↑
1986年 23,070
-0.73% ↓
1985年 23,240
17.61% ↑
1984年 19,761
0.94% ↑
1983年 19,577
1.05% ↑
1982年 19,374
-21.38% ↓
1981年 24,643
13.29% ↑
1980年 21,753
-13.46% ↓
1979年 25,135
23.49% ↑
1978年 20,354
2.88% ↑
1977年 19,784
-1.13% ↓
1976年 20,010
-3.02% ↓
1975年 20,633
1.07% ↑
1974年 20,415
12.16% ↑
1973年 18,201
-21.48% ↓
1972年 23,181
11.13% ↑
1971年 20,859
-13.96% ↓
1970年 24,243
33.85% ↑
1969年 18,112
-16.31% ↓
1968年 21,643
7.63% ↑
1967年 20,108
8.58% ↑
1966年 18,519
13.95% ↑
1965年 16,252
-26.42% ↓
1964年 22,089
37.68% ↑
1963年 16,044
-15.85% ↓
1962年 19,065
-6.42% ↓
1961年 20,374 -

南アフリカにおけるパパイヤの生産量推移を見ると、1960年代から1980年代にかけて断続的な増減を繰り返しつつもおおむね2万トン前後を維持していました。その後、1987年の28,944トンと1988年の31,729トンでピークに達したことがわかります。しかしながら1990年代半ばから減少の兆しが見え始め、2000年代に入ると、特に2003年に記録された12,648トンを境に、大幅な生産量の急減が頻発しています。最近のデータでは、2020年の10,555トンをさらに下回り、2023年には7,633トンという厳しい結果に至っています。

この減少要因としては、気候変動の影響が大きいと考えられます。パパイヤの栽培には高温多湿で安定した気象条件が必要ですが、南アフリカでは干ばつや異常気象などの気候変動が顕著になり、農業生産全体に悪影響を及ぼしていることが理解されます。また、土壌の肥沃度低下や水資源管理の課題、害虫被害の拡大なども生産量減少の一因といえます。さらに、同国の農業従事者不足や農地利用の変動など、人的要因も影響している可能性が高いです。

国際比較の観点から見ると、同じくパパイヤ生産を行っているタイやインドなどの国々では、増産や品種改良の成果が見られる一方で、南アフリカはこうした他国に遅れを取っています。これには農業技術の導入や市場支援の不足が関与している可能性があります。特に、南アフリカの農業部門は地域ごとに開発状況が異なるため、均一的な成長が難しいといった地政学的な特性があります。

加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行も、近年のパパイヤ生産量に影響を与えたと考えられます。輸送制限や労働力不足、物流の混乱が重なり、特に2020年以降の収穫低下に拍車をかけた可能性があります。この影響は他国でも観察されましたが、農業基盤の脆弱性が目立つ国ではより深刻だったといえます。

今後の対応策として、まず、気候変動への適応力を高めるための品種改良を進めることが急務です。例えば、高温や乾燥に強い新品種の開発、もしくは既存の耐性品種の導入が進んでいない現状を改善するべきです。また、灌漑技術の向上や農地管理の効率化を図り、収穫量を一定に維持する仕組みを構築する必要があるでしょう。地域間での農業資源共有を推進し、政府や国際機関による助成金や技術支援も重要です。

さらに、持続可能な農業を実現するための教育や研修プログラムの整備が挙げられます。農業従事者に対する技術習得の機会を増やし、若い世代を農業分野に引き込むことが、長期的な生産性向上に寄与するでしょう。国際市場における輸出需要の拡大は依然として有望であるため、地域ごとの輸送インフラを改善することも強調されるべき課題です。

結論として、南アフリカのパパイヤ生産量の減少は気候・土壌・人的要因が複合的に絡み合って起きているといえます。ただし、政策介入や国際協力、そして技術革新の活用によって、この下落傾向を和らげる道は十分に存在します。国際連合や地域連携機構との協力を通じて、経済的および技術的な支援を受けながら、持続可能な農業生産体制を構築することが要となるでしょう。

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