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南アフリカの茶葉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新の茶葉生産量データによると、南アフリカの茶葉生産量は、1960年代から増減を繰り返しながらも1980年代にピークを迎えた後、減少の傾向を示しています。特に2000年代以降は急激な落ち込みが見られ、その後低迷したまま現在に至っています。2022年の生産量は1,806トンで、1980年のピーク時の12,000トンと比べると大幅に減少しています。この変動には、国内外の政治・経済の状況、気候変動、資源管理の問題などが影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,811
0.25% ↑
2022年 1,806
-0.04% ↓
2021年 1,807
-0.65% ↓
2020年 1,819
1.44% ↑
2019年 1,793
-0.9% ↓
2018年 1,809
-2.43% ↓
2017年 1,854
8.09% ↑
2016年 1,716
-7.67% ↓
2015年 1,858
-6.61% ↓
2014年 1,990
-8.37% ↓
2013年 2,171
149.58% ↑
2012年 870
-51.53% ↓
2011年 1,795
8.99% ↑
2010年 1,647
-5.51% ↓
2009年 1,743
-47.02% ↓
2008年 3,290
-48.05% ↓
2007年 6,333
90.31% ↑
2006年 3,328
-84.72% ↓
2005年 21,780
409% ↑
2004年 4,279
-64.76% ↓
2003年 12,143
-2.86% ↓
2002年 12,500
-1.35% ↓
2001年 12,671
1.25% ↑
2000年 12,514
3.62% ↑
1999年 12,077
-7.17% ↓
1998年 13,010
58.52% ↑
1997年 8,207
-9.44% ↓
1996年 9,062
-24.33% ↓
1995年 11,975
5.82% ↑
1994年 11,316
7.44% ↑
1993年 10,532
7.46% ↑
1992年 9,801
-11.92% ↓
1991年 11,128
-10.55% ↓
1990年 12,441
-4.3% ↓
1989年 13,000
8.63% ↑
1988年 11,967
4% ↑
1987年 11,507
7.92% ↑
1986年 10,663
15.68% ↑
1985年 9,218
11.05% ↑
1984年 8,301
16.96% ↑
1983年 7,097
7.03% ↑
1982年 6,631
20.56% ↑
1981年 5,500
-54.17% ↓
1980年 12,000
138.81% ↑
1979年 5,025
10.17% ↑
1978年 4,561
31.86% ↑
1977年 3,459 -
1976年 3,459
21.97% ↑
1975年 2,836
-5.47% ↓
1974年 3,000
20% ↑
1973年 2,500
25% ↑
1972年 2,000
33.33% ↑
1971年 1,500
87.5% ↑
1970年 800
-60% ↓
1969年 2,000 -
1968年 2,000 -
1967年 2,000 -
1966年 2,000 -
1965年 2,000 -
1964年 2,000 -
1963年 2,000 -
1962年 2,000 -
1961年 2,000 -

南アフリカの茶葉生産量は極めて変動の激しい歴史を持っています。データを見ると、1960年代は生産量が2,000トン程度で安定していましたが、1970年代中頃から拡大し始め、1980年代には12,000トンに達する記録的な生産量を見せました。この急激な成長期は、茶葉を含む農作物に対する国内外の需要の増加、農業技術の進化、また当時の政治的安定が大きく寄与していました。しかし、1990年代以降になると生産量の減少が顕著となり、2000年代には大幅な落ち込みを記録しました。

2000年代における急激な生産減少、例えば2004年に4,279トン、2006年には3,328トンにまで下がった原因には、気候変動による干ばつや洪水などが挙げられます。南アフリカは降水量が限られた地域であり、農業用水の確保が非常に重要です。しかし、近年の気候変動は水資源の管理を一層困難にし、茶葉の栽培に適した環境が維持しにくくなっています。また、2000年代中頃には政治的不安や経済危機もあり、農業産業全体がその影響を大きく受けました。

更に、グローバル市場における競争も南アフリカの茶産業に影響を及ぼしています。インド、中国、スリランカ、ケニアなどの主要茶葉生産国とは異なり、生産規模で劣る南アフリカは高速グローバル競争において難しい立場に立たされています。特に、これらの国々は安価な労働力の活用や大規模な生産設備を背景に、それぞれの茶葉を世界市場に大量供給しています。この中で、南アフリカは高品質な茶葉に注力するか、新しい市場を開拓することが求められます。

地域特有の課題も深刻です。南アフリカでは、農地の分配問題が歴史的に争点となっており、これが農業全体の生産力に影響を与えています。また、気候変動の影響を緩和するためのインフラ整備不足や資源管理の未熟さも一因とされています。紛争や地政学的リスクは現時点で直接的には大きな影響を与えているわけではありませんが、水資源を巡る争いが将来的に生じる可能性を野放しにするべきではありません。

このような状況を踏まえ、茶葉産業を再生可能にするための具体的な対策が必要です。例えば、気候変動への対応として、雨水の再利用や効率的な農業用水システムを導入することが挙げられます。また、すでに存在する「ルイボス茶」のような地域特有の茶葉のブランディングを強化し、差別化された商品を世界市場に提供する戦略も有効です。政府は小規模農家への技術支援や金融支援を強化し、彼らが気候変動や価格競争に適応できるよう援助する必要があります。さらに、貿易協定や地域協力枠組みを活用して国際市場での立場を強化することも重要です。例えば、主要消費国である欧州や北米へ向けた輸出促進策の拡大が一つの例です。

結論として、南アフリカの茶葉生産量の減少は、気候変動や地政学的背景だけでなく、農業政策や国際市場環境など複合的な要因によるものといえます。持続可能な農業モデルの導入と国際的な協力環境の整備が今後の重要な課題となるでしょう。南アフリカがその潜在力を活かすためには、国家政策と農業技術の両面から戦略的な取り組みを進める必要があります。