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南アフリカのジャガイモ生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、南アフリカのジャガイモ生産量は1961年の332,000トンから成長を続け、近年では2022年に2,528,946トンと約7.6倍に増加しています。特に1980年代から2000年代にかけて急激な伸びが見られ、2010年代後半には安定した生産量を記録しています。ただし、2021年以降は微減傾向が見られるため、近年の課題についての検討が必要です。

年度 生産量(トン)
2022年 2,528,946
2021年 2,595,280
2020年 2,669,147
2019年 2,673,768
2018年 2,467,724
2017年 2,456,990
2016年 2,150,811
2015年 2,486,647
2014年 2,247,495
2013年 2,173,829
2012年 2,228,713
2011年 2,197,192
2010年 2,090,214
2009年 1,866,580
2008年 2,040,000
2007年 1,917,422
2006年 1,857,239
2005年 1,767,728
2004年 1,799,623
2003年 1,649,820
2002年 1,555,905
2001年 1,746,981
2000年 1,697,015
1999年 1,788,508
1998年 1,657,462
1997年 1,579,021
1996年 1,592,427
1995年 1,422,063
1994年 1,284,019
1993年 1,278,560
1992年 1,068,340
1991年 1,322,519
1990年 1,260,594
1989年 1,258,000
1988年 1,066,000
1987年 1,016,000
1986年 1,027,000
1985年 1,052,000
1984年 980,000
1983年 851,000
1982年 996,000
1981年 859,000
1980年 686,000
1979年 696,000
1978年 701,000
1977年 757,000
1976年 684,000
1975年 712,000
1974年 648,000
1973年 559,000
1972年 675,000
1971年 606,000
1970年 617,000
1969年 525,000
1968年 547,000
1967年 484,000
1966年 411,000
1965年 388,000
1964年 399,000
1963年 399,000
1962年 334,000
1961年 332,000

南アフリカのジャガイモ生産量は、1960年代から現在に至るまで一貫して増加傾向にあります。この成長は、農業技術の進歩、灌漑設備の拡充、また国内外の市場拡大が寄与した結果と考えられます。特に1980年代から1990年代にかけての急激な増加は、南アフリカの農業政策や農地改革、輸送インフラの整備が実を結んだものと分析されます。1989年には生産量が1,258,000トンに到達し、それ以降1,000,000トンを下回ることはありませんでした。

2000年代にはさらなる収穫量の増加が見られ、近年に至るまで2,000,000トンを超える生産が平均的に保たれています。2015年には過去最高となる2,486,647トンを記録し、その後も安定した高水準を維持しています。しかし、2021年から2022年にかけてのデータによると、僅かではありますが生産量が減少傾向にあり、2,528,946トンとなっています。

この背景には、複数の要因が絡んでいる可能性があります。例えば、気候変動による雨量の変動、不作を招く自然災害、農業資源の逼迫、さらには新型コロナウイルスの感染拡大による物流やサプライチェーンの混乱などが挙げられます。こうした外的要因に対処するためには、持続可能な農業手法や輸送ネットワークの拡充、さらに気候変動対策を視野に入れた長期的な農業戦略が重要です。

国際情勢にも目を向けると、ジャガイモは南アフリカ国内市場だけでなく、輸出品目としても重要性を増しています。同じく農業に注力しているインドや中国と比べると、南アフリカのジャガイモ生産はまだ加工品市場への参入が限定的です。そのため、ジャガイモ加工品の製造に特化し産業の多様化を図ることで、国際競争力をより高めることが求められます。

また、地域の食料安全保障の観点からも、ジャガイモは重要な穀物代替品としての役割を担っており、コストが低い食糧資源として支持されています。しかし、南アフリカ国内の所得格差(ジニ係数と呼ばれる不平等の指標で世界的にも高水準)により、国内で完全に需要が満たされていない問題が存在します。生産コスト削減や効率的な流通体制の整備を通じて、国内の需要と供給の改善を促すことが課題となります。

なお、南アフリカは地政学的なリスクにも影響を受けやすい位置にあります。農業用資材の輸入が多い状況では、国際的な紛争や資源競争が供給チェーンに与える影響が軽視できません。また、国内の水資源の分配問題や土地所有問題も、持続可能な農業の実現を脅かす要因となり得ます。

今後の対策としては、気候変動に適応した栽培品種の育成、栽培技術の普及、地域間協力による輸出市場の開拓が必要です。また、国内的には所得格差を緩和し、ジャガイモを含む農産物の国内流通を充実させるために、政府主導の支援策が求められます。国連や地域共同体の支援を活用して、農業・環境政策を一体的に進めることが重要です。

結論として、南アフリカは驚異的な生産成長を遂げた成功事例ですが、現在の課題と未来に向けた対応を考える時期に来ています。国内市場の安定化と国際貢献のバランスを取ることが、次世代の繁栄を築くための鍵となるでしょう。