国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、トーゴのヨーグルト生産量は1996年の279トンから始まり、年々増加と減少を繰り返しながら推移してきました。特に2000年代初頭には大幅な生産量の増加が見られ、2008年には6,480トンとピークに達しましたが、その後は減少傾向を示しています。直近の2021年には2,194トンが記録され、全体としては低い水準に落ち着いています。この生産推移は、国内外の経済的要因や人口増加、それに伴う需要の変化、さらには政策や技術的要因による影響を受けていることが示唆されます。
トーゴのヨーグルト生産量推移(1961年~2021年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2021年 | 2,194 |
-3.41% ↓
|
2020年 | 2,271 |
-0.1% ↓
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2019年 | 2,274 |
3.46% ↑
|
2018年 | 2,197 |
-0.09% ↓
|
2017年 | 2,199 |
35% ↑
|
2016年 | 1,629 |
-14.25% ↓
|
2015年 | 1,900 |
3.14% ↑
|
2014年 | 1,842 |
-21.28% ↓
|
2013年 | 2,340 |
-24.34% ↓
|
2012年 | 3,093 |
16.89% ↑
|
2011年 | 2,646 |
10.15% ↑
|
2010年 | 2,402 |
2.65% ↑
|
2009年 | 2,340 |
-63.89% ↓
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2008年 | 6,480 |
28.57% ↑
|
2007年 | 5,040 |
40% ↑
|
2006年 | 3,600 |
25% ↑
|
2005年 | 2,880 | - |
2004年 | 2,880 |
-36% ↓
|
2003年 | 4,500 |
-10.71% ↓
|
2002年 | 5,040 |
24.44% ↑
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2001年 | 4,050 |
66.67% ↑
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2000年 | 2,430 |
365.52% ↑
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1999年 | 522 |
2800% ↑
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1998年 | 18 |
-96.49% ↓
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1997年 | 513 |
83.87% ↑
|
1996年 | 279 | - |
トーゴにおけるヨーグルト生産量の推移を見ると、地域の経済状況や政策が生産動向に与える影響がうかがえます。特に1996年から2008年にかけては、急激な生産量の増加が見られました。例えば、1996年に279トンであった生産量は、2000年には2,430トン、さらには2008年に6,480トンへ跳ね上がりました。これは農業分野への投資拡大や、乳製品加工技術が改善された可能性を反映していると考えられます。一方、2009年以降は生産が低下し、2021年には2,194トンとピーク時の約3分の1に減少しました。この停滞の背後には、地政学的リスクやインフラの整備不足、さらには市場競争の激化が関与している可能性があります。
特に、ヨーグルトという乳製品は冷蔵保存を必要とし、広範な流通網や低温輸送技術が欠かせません。しかし、トーゴ国内では冷蔵設備が十分普及しておらず、また電力インフラの安定性にも課題があるため、生産したヨーグルトの保存や流通に制約があるのが現状です。さらに、1996年から急増したのちに停滞した生産量は、国内需要と供給のマッチングがうまく進んでいないことを示唆しています。すなわち、一定の需要増加局面があったものの、それに追随するだけの生産能力や市場の整備が行われなかったのではないかと考えられます。
また、トーゴ国内の限られた乳製品市場だけでは十分な需要を確保できないため、輸出による市場拡大が求められるところです。しかし、国際市場で競争力を持つためには、生産拡大だけでなく、品質向上とブランド価値の向上が課題です。例えば、ヨーロッパや北米の市場ではオーガニック食品や天然食品への関心が高まっているため、これをトーゴ産ヨーグルトの強みとして活かすことにより、市場競争力を高める方向性が考えられます。
トーゴでのヨーグルト生産をさらに活性化させるためには、まずインフラ整備が急務です。具体的には、冷蔵技術や輸送インフラの発展、そして電力供給の安定化が必要です。これにより、製品の廃棄を防ぎ、国内供給網の効率性を向上させることが可能になります。また、持続可能な農業技術の採用や、乳牛の飼育条件の改善などで乳原料の安定供給が促進されれば、より競争力のある生産体制構築が実現できるでしょう。
さらに、国際機関や地域協力の枠組みを活用し、トーゴ産乳製品の輸出規模を拡大することも有効です。例えば、アフリカ連合(AU)の枠組みを活用し、地域内での販売促進キャンペーンを展開することで、トーゴ乳製品の知名度を高めることが期待されます。また、ヨーグルト生産が地域経済に及ぼす総合的な影響を評価する上で、データ収集と分析の強化が求められます。
結論として、トーゴのヨーグルト生産量の推移は、上昇期と停滞期を経て現在に至るまで複雑な要因に左右されてきました。今後、生産の復活と成長を目指すには、まずインフラと技術の改革を行い、さらには国内外市場での競争力強化を図ることが必要です。国際協力や政府の政策支援を通じて、生産の持続可能性と恩恵を地域社会に広げる取り組みが求められるでしょう。