国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、トーゴの鶏卵生産量は、1961年に525トンから2023年には24,984トンに大きく増加しました。特に1980年代後半と2010年代後半には急激な増加が見られ、国内の農業政策や市場環境の変化が影響していると考えられます。ただし、2020年から2023年にかけて確認される一時的な減少傾向は、外的要因による可能性が指摘されています。
トーゴの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 24,984 |
-18.8% ↓
|
2022年 | 30,767 |
32.75% ↑
|
2021年 | 23,177 |
10.32% ↑
|
2020年 | 21,008 |
-13.55% ↓
|
2019年 | 24,300 |
-0.02% ↓
|
2018年 | 24,305 |
8.69% ↑
|
2017年 | 22,361 |
8.69% ↑
|
2016年 | 20,574 |
60.16% ↑
|
2015年 | 12,847 |
2.94% ↑
|
2014年 | 12,479 |
24.79% ↑
|
2013年 | 10,000 |
5.26% ↑
|
2012年 | 9,500 |
2.15% ↑
|
2011年 | 9,300 | - |
2010年 | 9,300 |
0.54% ↑
|
2009年 | 9,250 |
6.32% ↑
|
2008年 | 8,700 |
8.07% ↑
|
2007年 | 8,050 |
11.03% ↑
|
2006年 | 7,250 |
-9.38% ↓
|
2005年 | 8,000 |
6.67% ↑
|
2004年 | 7,500 |
18.58% ↑
|
2003年 | 6,325 | - |
2002年 | 6,325 | - |
2001年 | 6,325 | - |
2000年 | 6,325 | - |
1999年 | 6,325 | - |
1998年 | 6,325 | - |
1997年 | 6,325 |
0.6% ↑
|
1996年 | 6,288 |
0.09% ↑
|
1995年 | 6,282 |
0.09% ↑
|
1994年 | 6,276 |
-0.77% ↓
|
1993年 | 6,325 |
5.77% ↑
|
1992年 | 5,980 |
4% ↑
|
1991年 | 5,750 |
4.17% ↑
|
1990年 | 5,520 |
2.13% ↑
|
1989年 | 5,405 |
15.12% ↑
|
1988年 | 4,695 |
0.54% ↑
|
1987年 | 4,670 |
1.97% ↑
|
1986年 | 4,580 |
121.26% ↑
|
1985年 | 2,070 |
-10% ↓
|
1984年 | 2,300 |
11.11% ↑
|
1983年 | 2,070 |
21.76% ↑
|
1982年 | 1,700 |
14.48% ↑
|
1981年 | 1,485 |
-10% ↓
|
1980年 | 1,650 |
-13.16% ↓
|
1979年 | 1,900 |
-4.04% ↓
|
1978年 | 1,980 |
10.61% ↑
|
1977年 | 1,790 |
10.84% ↑
|
1976年 | 1,615 |
-5% ↓
|
1975年 | 1,700 |
11.48% ↑
|
1974年 | 1,525 |
26.03% ↑
|
1973年 | 1,210 |
-6.56% ↓
|
1972年 | 1,295 |
11.64% ↑
|
1971年 | 1,160 |
4.04% ↑
|
1970年 | 1,115 |
6.19% ↑
|
1969年 | 1,050 |
6.06% ↑
|
1968年 | 990 |
1.54% ↑
|
1967年 | 975 |
4.84% ↑
|
1966年 | 930 |
27.4% ↑
|
1965年 | 730 |
4.29% ↑
|
1964年 | 700 |
12.9% ↑
|
1963年 | 620 |
25.25% ↑
|
1962年 | 495 |
-5.71% ↓
|
1961年 | 525 | - |
トーゴの鶏卵生産量の推移を振り返ると、1960年代から1970年代半ばまで着実に増加していました。この頃の伸びのペースは緩やかで、農業技術の導入や飼料供給の安定化が一因と見られます。その後1980年代に入り、生産量が劇的に増加しました。特に1986年から1992年までの間には倍増に近い進展を遂げ、これは生産体制の改善や鶏の品種改良が要因だった可能性があります。
2000年から2010年にかけては、生産量は6,000トン台後半で停滞している状況が続きました。ただし、それを大きく打ち破る変化が2013年以降に訪れます。この年から急激に10,000トンを超える伸びが見られ、2016年には20,574トン、そして2022年には30,767トンという数値を記録しています。この急成長の背景には、政府主導の農業振興策や鶏卵の市場需要拡大、地域的な経済安定が挙げられるでしょう。
一方で、2020年代に突入した後の生産量推移はやや不安定です。2020年には21,008トンと減少し、2023年に24,984トンに回復するものの、過去の急激な増加ペースは一時的に鈍化しました。この現象の理由として、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行がサプライチェーンや物流、労働力供給に打撃を与えた影響が考えられます。また、地政学的リスクや気象条件の変動なども生産活動に影響を及ぼした可能性があります。
トーゴの鶏卵生産は他国と比較すると、まだ発展途上の水準にあるといえます。例えば、日本では2020年に2,600,000トン以上の鶏卵が生産されており、アフリカ地域内で農業分野が伸びているナイジェリアでも2022年に約650,000トンの生産が記録されています。こうした他国との比較では、トーゴの生産量は依然として規模の小さい部類に位置します。これを補うためには、効率的な生産技術の導入や鶏卵の輸出機会の拡大が鍵となるでしょう。
トーゴにおける鶏卵生産の課題についてはいくつかの視点が挙げられます。一つは、気候変動の影響を受けやすい小規模農家への支援が限定的である点です。豪雨や乾燥気候により飼料生産の不安定化が発生し、それが継続的な生産の障害となる可能性があります。また、国内外市場への輸送インフラの未整備も、製品の流通拡大を制約する要因として指摘できます。
今後の対策としては、農業生産の近代化が重要です。具体的には、生産に必要な設備投資の促進や、気候変動への適応策を講じることが挙げられます。また、地域的な協力を強化し、他の西アフリカ諸国と連携して鶏卵およびその加工製品を輸出する市場開拓にも取り組むべきです。さらに、国内の消費構造を分析し、需要増加を見越した適切な供給計画を構築することも喫緊の課題です。
結論として、トーゴの鶏卵生産は歴史的に見ると大きな成長を遂げていますが、安定的な発展のためにはいくつかの課題への対応が必要です。気候変動や市場変化といった外的リスクに向き合いながら、持続可能で効率的な生産システム構築に注力することで、地域の農業発展ひいては国全体の経済安定にも寄与できるでしょう。