国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、トーゴの羊肉生産量は1961年の1,007トンから2023年の9,994トンまで、長期的に顕著な増加を示しています。ただし、1970年代や1990年代初頭、また2020年以降に顕著な変動が見られ、安定的な成長とは言えない面もあります。特に2020年と2023年の間での急激な回復は注目に値します。
トーゴの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 9,994 |
79.88% ↑
|
2022年 | 5,556 |
6.64% ↑
|
2021年 | 5,210 |
2.77% ↑
|
2020年 | 5,069 |
-46.77% ↓
|
2019年 | 9,524 |
9.74% ↑
|
2018年 | 8,679 |
6.28% ↑
|
2017年 | 8,166 |
8% ↑
|
2016年 | 7,561 |
8% ↑
|
2015年 | 7,001 |
8.01% ↑
|
2014年 | 6,482 |
30.95% ↑
|
2013年 | 4,950 |
34.9% ↑
|
2012年 | 3,670 |
-37.51% ↓
|
2011年 | 5,872 |
4.7% ↑
|
2010年 | 5,609 |
2.55% ↑
|
2009年 | 5,469 |
4.7% ↑
|
2008年 | 5,224 |
0.01% ↑
|
2007年 | 5,224 |
0.79% ↑
|
2006年 | 5,183 |
4.7% ↑
|
2005年 | 4,950 |
21.58% ↑
|
2004年 | 4,071 |
12.85% ↑
|
2003年 | 3,608 |
1.29% ↑
|
2002年 | 3,562 |
-2.95% ↓
|
2001年 | 3,670 |
4.47% ↑
|
2000年 | 3,513 |
12.44% ↑
|
1999年 | 3,124 |
10.94% ↑
|
1998年 | 2,816 |
10.82% ↑
|
1997年 | 2,541 |
24.86% ↑
|
1996年 | 2,035 |
67.42% ↑
|
1995年 | 1,216 |
-24.05% ↓
|
1994年 | 1,601 |
-7.91% ↓
|
1993年 | 1,738 |
-9.71% ↓
|
1992年 | 1,925 |
-24.89% ↓
|
1991年 | 2,563 |
-15.27% ↓
|
1990年 | 3,025 |
12.24% ↑
|
1989年 | 2,695 |
2.08% ↑
|
1988年 | 2,640 |
7.62% ↑
|
1987年 | 2,453 |
1.83% ↑
|
1986年 | 2,409 |
41.29% ↑
|
1985年 | 1,705 |
6.9% ↑
|
1984年 | 1,595 |
16% ↑
|
1983年 | 1,375 |
-16.67% ↓
|
1982年 | 1,650 |
18.11% ↑
|
1981年 | 1,397 |
5.83% ↑
|
1980年 | 1,320 |
-15.49% ↓
|
1979年 | 1,562 |
-11.8% ↓
|
1978年 | 1,771 |
5.92% ↑
|
1977年 | 1,672 |
-8.98% ↓
|
1976年 | 1,837 |
0.6% ↑
|
1975年 | 1,826 |
10.67% ↑
|
1974年 | 1,650 |
6.38% ↑
|
1973年 | 1,551 |
-4.73% ↓
|
1972年 | 1,628 |
31.56% ↑
|
1971年 | 1,238 |
-16.67% ↓
|
1970年 | 1,485 |
-0.74% ↓
|
1969年 | 1,496 |
-4.23% ↓
|
1968年 | 1,562 |
-2.07% ↓
|
1967年 | 1,595 |
5.84% ↑
|
1966年 | 1,507 |
11% ↑
|
1965年 | 1,358 |
4.73% ↑
|
1964年 | 1,296 |
12.01% ↑
|
1963年 | 1,157 |
6.06% ↑
|
1962年 | 1,091 |
8.36% ↑
|
1961年 | 1,007 | - |
トーゴの羊肉生産量の推移を見ると、全体としては堅調な増加傾向にあります。特に2000年以降は急速な成長を遂げており、この地域の畜産業の発展が背景にあると思われます。しかしながら、このデータは一様な増加を示しているわけではなく、経済、地政学的、また気候や疫病の影響が如実に現れている部分もあります。
1961年から1980年代までは、比較的穏やかな増加が見られましたが、時折生産量の減少も起こりました。この減少の原因として、当時の農業技術の未発達や気候条件が悪化した年の影響が考えられます。例えば、1970年代から1980年代初頭にかけての変動は、地域的な干ばつや世界的な経済不安を示唆しているかもしれません。
1990年代に入ると、一時的に生産量が大幅に低下しました。この背景には、西アフリカ地域の政治的不安や、農業分野への投資不足が関係している可能性が高いです。しかし、同じ時期には地域の人口増加が進行しており、畜産品需要自体は高まっていたと推測されます。この需要増加が2000年以降の生産力増大に結びつき、さらに技術革新や外部支援による畜産業の効率化が影響していたと考えられます。
注目すべきは2017年以降の顕著な生産量の急増です。これは、近年のトーゴ国内における農牧業の近代化や、国際的な支援による畜産業の拡充が一因と見られます。一方で、2020年の大幅な減少は、新型コロナウイルス感染症の影響が畜産業にも大きな打撃を与えたことを示している可能性があります。このパンデミックによる物流や市場の混乱、さらに感染症対策として推進された制約が生産と流通に影響を与えたと推察されます。
2023年に急回復し、9,994トンという過去最高の生産量を達成した要因には、COVID-19後の経済回復政策や、さらなる畜産分野への投資拡大が寄与していると考えられます。特に国内市場だけでなく、域内輸出市場の成長もこの回復を支えた重要な要因かもしれません。
今後の課題としては、気候変動の影響や、持続可能な生産体制の構築が挙げられます。トーゴは乾燥地帯に位置しており、農牧業に対する気候変動のインパクトは甚大です。灌漑技術の導入や、耐乾性の牧草の普及を進めることが、安定した生産を維持する上で重要になるでしょう。さらに、疫病対策の強化、特に家畜の健康管理システムの近代化は、生産量と品質の向上に直結します。また、地域レベルでの協力を促進し、域内市場への展開を進めることで、生産量を安定させるだけでなく、地域経済全体の成長も期待できます。
結論として、トーゴの羊肉生産の著しい成長は称賛に値するものの、地域的な政治リスクや気候変動、疫病の脅威を考慮しつつ、持続可能な発展のための対策を講じていく必要があります。国際機関や民間投資からの技術支援や財政援助の維持・強化が重要です。これを通じて、トーゴが西アフリカ地域における畜産業リーダーとなる可能性は十分にあるでしょう。