世界のアボカド生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した最新データによると、2020年度における世界のアボカド生産量ランキングでは、メキシコが2,393,849トンで圧倒的な1位となり、全世界の生産量の大部分を占めています。2位のコロンビア（829,147トン）や3位のペルー（672,232トン）も重要な生産国ですが、メキシコとの差は大きいです。また、上位10か国が総生産量における大半を担い、新興市場ではアフリカやアジアの国々が徐々に存在感を示しています。このデータは、アボカドの生産と消費に関連する経済的および地政学的な背景を反映しています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	メキシコ	南アメリカ	2,393,849
2	コロンビア	南アメリカ	829,147
3	ペルー	南アメリカ	672,232
4	インドネシア	アジア	669,000
5	ドミニカ共和国	南アメリカ	620,087
6	ケニア	アフリカ	322,556
7	ブラジル	南アメリカ	267,059
8	エチオピア	アフリカ	245,336
9	アメリカ合衆国	北アメリカ	187,433
10	ハイチ	南アメリカ	171,984
11	チリ	南アメリカ	161,218
12	ベトナム	アジア	158,889
13	イスラエル	アジア	147,000
14	グアテマラ	南アメリカ	132,909
15	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	128,694
16	中国	アジア	115,620
17	スペイン	ヨーロッパ	99,070
18	マラウイ	アフリカ	93,543
19	南アフリカ	アフリカ	84,775
20	オーストラリア	オセアニア	77,295
21	カメルーン	アフリカ	74,393
22	モロッコ	アフリカ	69,940
23	コンゴ民主共和国	アフリカ	62,310
24	アンゴラ	アフリカ	52,488
25	ニュージーランド	オセアニア	37,537
26	コートジボワール	アフリカ	36,697
27	エルサルバドル	南アメリカ	28,559
28	マダガスカル	アフリカ	27,044
29	エクアドル	南アメリカ	20,352
30	フィリピン	アジア	20,055
31	スリランカ	アジア	19,274
32	レバノン	アジア	18,748
33	ポルトガル	ヨーロッパ	16,560
34	パラグアイ	南アメリカ	15,357
35	コスタリカ	南アメリカ	13,286
36	パナマ	南アメリカ	13,000
37	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	12,477
38	ギリシャ	ヨーロッパ	9,570
39	コンゴ	アフリカ	9,497
40	ガーナ	アフリカ	9,327
41	ガイアナ	南アメリカ	9,016
42	中央アフリカ共和国	アフリカ	8,074
43	ルワンダ	アフリカ	6,477
44	トルコ	アジア	5,923
45	ジンバブエ	アフリカ	5,800
46	東ティモール	アジア	4,335
47	アルゼンチン	南アメリカ	4,113
48	キューバ	南アメリカ	3,537
49	ジャマイカ	南アメリカ	2,385
50	ホンジュラス	南アメリカ	2,099
51	グレナダ	南アメリカ	1,553
52	パレスチナ国	アジア	1,520
53	サモア	オセアニア	1,410
54	バハマ	南アメリカ	1,405
55	キプロス	アジア	1,160
56	フランス	ヨーロッパ	1,080
57	ドミニカ	南アメリカ	1,060
58	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	1,038
59	エスワティニ	アフリカ	875
60	バルバドス	南アメリカ	760
61	プエルトリコ	南アメリカ	429
62	チュニジア	アフリカ	331
63	セントルシア	南アメリカ	265
64	マレーシア	アジア	210
65	フィジー	オセアニア	160
66	フランス領ポリネシア	オセアニア	115
67	ブータン	アジア	112
68	スリナム	南アメリカ	111
69	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	56
70	クック諸島	オセアニア	21
71	セーシェル	アフリカ	13
+ すべての国を見る

アボカドは世界的に需要が拡大し、「スーパーフード」として健康志向の高まりとともにその人気を高めています。2020年のデータでは、メキシコが圧倒的な生産力を誇り、全世界のアボカド供給の中心となっています。同国は、地理的条件や気候がアボカド栽培に最適であるだけでなく、輸出インフラが整備されているため、世界市場にその製品を供給する優位性を持っています。実際、メキシコは米国を主要輸出先としながら、さらに欧州やアジア市場への輸出拡大も進めています。

次いで、南米のコロンビアとペルーがランクインしています。これらの国々は、メキシコの後を追う形でアボカド生産を拡大しています。コロンビアは安定した生産環境の整備により輸出能力を向上させつつあり、またペルーは、欧州市場に適応した特定品種の供給が得意です。一方、インドネシアやケニアといったアジアおよびアフリカ諸国も近年台頭しており、これらは地域市場向けの供給では評価されていますが、輸出能力や品質管理面で現状の課題もあります。

一方で、日本や中国などのアジアにおけるアボカド生産は未だ非常に限られており、16位の中国すら115,620トンであります。この背景には、気候条件の制約や生産技術の不足がありますが、急速に拡大する国内需要とのギャップを埋めるために、輸入への依存が続いている状況が見えます。例えば、日本はメキシコからの輸入割合が非常に高く、国内での生産拡大や気候変動適応型の栽培手法の導入を今後模索する必要があるでしょう。

地政学的には、メキシコが世界的な輸出の中心地である点が特に注目されます。同国では、農業用地の利用を巡る地域対立や、特定地域での治安の不安定さが課題となっています。これら問題が悪化すると、供給チェーンが混乱し、価格高騰につながる恐れがあります。他方、アフリカ諸国の多くは政策的支援により生産力をさらに伸ばす可能性があります。これにより、地域市場での安定供給や雇用創出が期待できる一方で、インフラ整備や持続可能性の課題への対策が必要となります。

さらに、新型コロナウイルスの影響も無視できません。パンデミックにより一部の輸出ルートが遮断され、一時的に供給が滞る状況が生じました。この経験から、持続可能な輸送方法や多拠点供給の仕組み作りが求められています。また、自然災害や気候変動も今後の生産地に大きな影響を与えるとみられます。アボカド栽培に必要な水資源に関わる問題が発生しやすい地域も多く、特にメキシコやカリフォルニア州では、厳しい干ばつが生産量を直撃し得るリスクとして指摘されています。

将来的には、アフリカや東南アジアの国々が生産をさらに拡大する可能性も視野に入れつつ、日本を含む輸入国においても、生産国との二国間協力の強化が重要になります。例えば、新技術の普及支援や、持続可能性を重視した契約栽培の導入などが現実的な対策となるでしょう。また、気候変動対策や農業における効率化を進めることで、より幅広い生産地からの供給が可能となり、市場の安定化が図れると考えられます。そのため、国際的な政策協力がますます重要になると予想されます。

このデータから、各国間の生産格差、供給チェーンの脆弱性、そして新たな生産国の可能性を浮き彫りにすることができます。アボカドという食品を通して、国際的な食品供給問題や地域経済の発展に対する学びを得ることができます。