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アルバニアの米生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関が発表した最新データによると、アルバニアの米生産量は1960年代から1990年代初頭にかけて大きな変動を示しています。1961年に4,603トンだった生産量は1960年代後半から1970年代にかけて増加の傾向をみせ、ピークとなる1979年には15,520トンを記録しました。しかし、1980年代以降に減少傾向が始まり、1990年台初頭には顕著な急減が見られ、1993年には僅か585トンにまで縮小しました。

年度 生産量(トン) 増減率
1993年 585
-39.06% ↓
1992年 960
-57.95% ↓
1991年 2,283
-67.39% ↓
1990年 7,000
-17.16% ↓
1989年 8,450
-4.3% ↓
1988年 8,830
-16.7% ↓
1987年 10,600
-3.64% ↓
1986年 11,000
-8.33% ↓
1985年 12,000
-4.76% ↓
1984年 12,600
-3.08% ↓
1983年 13,000
9.24% ↑
1982年 11,900
-14.39% ↓
1981年 13,900
6.92% ↑
1980年 13,000
-16.24% ↓
1979年 15,520
4.86% ↑
1978年 14,800
2.78% ↑
1977年 14,400
2.86% ↑
1976年 14,000
3.7% ↑
1975年 13,500
12.5% ↑
1974年 12,000
-20.89% ↓
1973年 15,168
26.4% ↑
1972年 12,000
11.52% ↑
1971年 10,760
-27.9% ↓
1970年 14,924
4.54% ↑
1969年 14,276
11.47% ↑
1968年 12,807
13.8% ↑
1967年 11,254
6.94% ↑
1966年 10,524
2.92% ↑
1965年 10,225
25.11% ↑
1964年 8,173
-10.53% ↓
1963年 9,135
60.74% ↑
1962年 5,683
23.46% ↑
1961年 4,603 -

アルバニアにおける米生産の推移は、その時代の政治的・経済的な背景や地政学的要因が大きく関係しています。1960年代から1970年代にかけて、アルバニアは農業生産の拡大と集団農場の導入によって米の生産量を増加させました。この期間の最大の収穫量は1979年の15,520トンで、米生産が国内農業計画の重点に位置付けられていた時期でした。生産量の増加は、灌漑施設の整備や化学肥料の利用拡大といった政府主導の改革の効果を反映しています。

しかし、1980年代以降の生産量の減少は、社会主義体制における農業政策の硬直性や経済の停滞による資金・資材不足が影響しています。さらに、1989年以降の冷戦終結と社会主義体制崩壊の流れを受け、アルバニアは急速な市場経済への移行を余儀なくされました。この過程で国有農地の解体や農業インフラの崩壊などが起こり、米生産は1990年の7,000トンから急激に減少しました。1991年の2,283トン、さらには1993年の585トンへと減少するに至ったのは、この混乱が直接的な要因になっています。

この一連の変化は、アルバニアが農業分野で持続可能な政策を欠いていたことを示唆しています。また、国際市場への依存度が高まったことも注目すべきポイントです。一方で、米は同国の主食ではないため、減少が国民全体の食生活に直接影響を与えることは限定的でしたが、農村部の経済や自給自足に頼る地域には大きな影響を与えました。

今後、アルバニアが米生産を再び安定させるにはいくつかの課題に取り組む必要があります。その一つが、灌漑や機械化などのインフラ整備の再構築です。また、農家へ現代的な農業手法を普及させるための技術教育や支援も不可欠です。さらに、国内外の市場需要に合わせた農業生産計画を策定し、余剰生産を貿易に回す仕組みを整えることで経済効果を高めることも有効です。

地政学的には、アルバニアが国際的な食糧供給ネットワークに対して戦略的にポジションを築くことが重要です。例えば、バルカン半島全体の農業協力プラットフォームを活用し、地域間で相互に支え合うシステムを構築することで、量的な不足や市場リスクにも対処できるでしょう。また気候変動への対策として、高収量かつ耐久性の高い米の品種開発を促進する必要があります。

アルバニアが抱える米生産の歴史的な推移は、内部的な政策の判断と外部的な地政学的要因が農業に及ぼす影響を示す指標でもあります。今後は一貫性のある持続的政策と国際協力を通じて、農業全体の復興と生産性の向上を目指す必要があります。このような取り組みにより、安定した収穫量の確保だけでなく、農村開発や経済成長全体への波及効果も期待されます。

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