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アルバニアの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アルバニアの羊肉生産量は1961年に7,800トンから始まりました。長期間にわたる小幅な変動を経て、1990年代に大幅な増加を見せました。ピークは2007年の18,100トンで、それ以降は緩やかな減少傾向を示しています。最新の2023年のデータでは15,596トンと記録されています。羊肉生産の推移はアルバニアの農業政策や経済状況、気候、地政学的リスクの影響を大きく受けていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 15,596
-8.87% ↓
2022年 17,113
8.83% ↑
2021年 15,725
1.28% ↑
2020年 15,526
-6.91% ↓
2019年 16,678
-11.37% ↓
2018年 18,817
13.96% ↑
2017年 16,512
-0.34% ↓
2016年 16,569
0.19% ↑
2015年 16,538
6.06% ↑
2014年 15,593
-4.31% ↓
2013年 16,296
1.04% ↑
2012年 16,128
11.23% ↑
2011年 14,500
8.21% ↑
2010年 13,400
-14.1% ↓
2009年 15,600
4.7% ↑
2008年 14,900
-17.68% ↓
2007年 18,100
32.7% ↑
2006年 13,640
4.12% ↑
2005年 13,100
-2.96% ↓
2004年 13,500
9.76% ↑
2003年 12,300 -
2002年 12,300
0.29% ↑
2001年 12,264
-0.29% ↓
2000年 12,300
5.13% ↑
1999年 11,700
4.46% ↑
1998年 11,200
-0.88% ↓
1997年 11,300
-3.83% ↓
1996年 11,750
-20.61% ↓
1995年 14,800
23.33% ↑
1994年 12,000
25% ↑
1993年 9,600
2.13% ↑
1992年 9,400
14.63% ↑
1991年 8,200
2.5% ↑
1990年 8,000
6.67% ↑
1989年 7,500
15.38% ↑
1988年 6,500
20.37% ↑
1987年 5,400
-3.57% ↓
1986年 5,600
-5.08% ↓
1985年 5,900
-1.67% ↓
1984年 6,000
-20% ↓
1983年 7,500
-6.25% ↓
1982年 8,000
-8.05% ↓
1981年 8,700 -
1980年 8,700 -
1979年 8,700
2.35% ↑
1978年 8,500
13.33% ↑
1977年 7,500
-8.54% ↓
1976年 8,200
2.5% ↑
1975年 8,000
1.27% ↑
1974年 7,900
1.94% ↑
1973年 7,750
-0.64% ↓
1972年 7,800
-4% ↓
1971年 8,125
4.17% ↑
1970年 7,800
2.63% ↑
1969年 7,600
-15.08% ↓
1968年 8,950
-7.73% ↓
1967年 9,700
25.97% ↑
1966年 7,700
-1.28% ↓
1965年 7,800 -
1964年 7,800
1.3% ↑
1963年 7,700
-1.28% ↓
1962年 7,800 -
1961年 7,800 -

アルバニアは比較的小規模な国ですが、その農業部門は国内経済において重要な役割を果たしています。特に羊肉生産は、同国の伝統的かつ文化的な食文化の一部であり、地方の生計手段としても重要です。このデータは1961年から2023年までの羊肉生産量を示しています。1960年代から1980年代初頭にかけて生産量は概ね7,500〜8,700トンの範囲で安定していましたが、1984年頃から急激な減少が見られます。その背景には、当時の社会主義体制末期における経済的困難や農業組織の非効率性が影響していた可能性があります。

一方で、1990年代以降は政治体制の移行、農地改革、自由市場経済導入を背景に羊肉生産が回復し、特に1994年から1995年ごろには急増し、1995年には14,800トンを記録しています。この急増は農業の自由化と農民による新たな市場機会への適応、さらには輸出需要の増加が影響しているとみられます。2007年の18,100トンというピークには、欧州連合(EU)市場との接近による輸出促進と国内消費の底上げが大きく寄与した可能性があります。

しかし、2008年以降は減少傾向が見られ、近年では15,000トンから16,000トン前後で推移しています。この背景には、気候変動の影響により牧草地の生産性が低下したこと、若年層の都市部流出による農村人口の減少といった課題が挙げられます。また、2020年から2021年にかけて世界的にパンデミックの影響を受けたことも、農業部門における労働力不足や物流の停滞を引き起こし、羊肉生産に影響を与えた可能性があります。

これらの動向を踏まえ、アルバニアの羊肉生産においていくつかの課題と対策が浮き彫りになります。第一に、気候変動に対応した持続可能な畜産業の構築が必要です。たとえば、乾燥に強い牧草種の導入や、過放牧対策として土地利用エリアを適切に調整する方法が考えられます。第二に、農村部の労働力減少への対策として、若年層を農業に従事させるためのインセンティブ政策の導入や、生産者の市場アクセスを円滑化するためのデジタルツールの普及が効果的です。

加えて、地政学的リスクとして、輸入飼料や農業機械に対する依存度の高まりが指摘されます。これがもち続けるリスクを軽減するため、近隣諸国やEUとの農業協力を強化し、地域内での資源の循環型利用を推進する必要があります。さらに、輸出の安定化には品質基準の向上とトレーサビリティシステムの確立が求められるでしょう。

アルバニアは欧州内外の羊肉関連市場で潜在的な魅力を持っていますが、生産量の増加に留まらず、持続可能性と安定性を追求することが求められます。今後の政策として、政府や国際機関がこの分野への投資を促進し、地元農民が利用できる技術と知識を提供することが重要です。これにより、気候変動や経済的リスクに対抗する基盤を築き、羊肉生産の安定した成長が期待できるでしょう。