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アルバニアのオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、アルバニアのオリーブ生産量は2022年に157,710トンに達し、過去最高となりました。この統計は1961年からの長期的な推移を示しており、一時的な増減を伴いながらも、特に21世紀に入ってから増加傾向が顕著となっています。特に2012年以降に生産量が安定して10万トン以上を記録し、2020年以降はさらに成長が加速しています。この持続的な増加には、農業技術の向上や政策的支援の強化が寄与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 117,618
-25.42% ↓
2022年 157,710
43.16% ↑
2021年 110,165
-16.52% ↓
2020年 131,971
34.24% ↑
2019年 98,313
-16.38% ↓
2018年 117,573
9.04% ↑
2017年 107,830
8.84% ↑
2016年 99,075
3.2% ↑
2015年 96,000
-2.04% ↓
2014年 98,000
6.52% ↑
2013年 92,000
-14.81% ↓
2012年 108,000
65.14% ↑
2011年 65,400
-6.57% ↓
2010年 70,000
-10.26% ↓
2009年 78,000
38.79% ↑
2008年 56,200
103.62% ↑
2007年 27,600
-31.34% ↓
2006年 40,200
33.11% ↑
2005年 30,200
-48.55% ↓
2004年 58,700
110.15% ↑
2003年 27,933
2.32% ↑
2002年 27,300
-31.06% ↓
2001年 39,600
9.39% ↑
2000年 36,200
-13.83% ↓
1999年 42,012
-10.38% ↓
1998年 46,876
40.57% ↑
1997年 33,347
20.56% ↑
1996年 27,660
-28.64% ↓
1995年 38,763
29.21% ↑
1994年 30,000
18.58% ↑
1993年 25,300
25.25% ↑
1992年 20,200
-42.78% ↓
1991年 35,300
253% ↑
1990年 10,000
-67.85% ↓
1989年 31,100
32.91% ↑
1988年 23,400
-37.93% ↓
1987年 37,700
110.61% ↑
1986年 17,900
-46.41% ↓
1985年 33,400
33.6% ↑
1984年 25,000
-44.44% ↓
1983年 45,000
154.24% ↑
1982年 17,700
-26.25% ↓
1981年 24,000
-10.78% ↓
1980年 26,900
-15.94% ↓
1979年 32,000
-15.79% ↓
1978年 38,000
-26.92% ↓
1977年 52,000
23.81% ↑
1976年 42,000
-19.23% ↓
1975年 52,000
10.64% ↑
1974年 47,000
-11.32% ↓
1973年 53,000
32.5% ↑
1972年 40,000
5.26% ↑
1971年 38,000
90% ↑
1970年 20,000
-35.48% ↓
1969年 31,000
-8.82% ↓
1968年 34,000
3.03% ↑
1967年 33,000
3.13% ↑
1966年 32,000
6.67% ↑
1965年 30,000
-37.5% ↓
1964年 48,000
76.47% ↑
1963年 27,200
0.74% ↑
1962年 27,000
51.69% ↑
1961年 17,800 -

アルバニアは地中海性気候に位置し、オリーブ栽培に適した土壌と気候条件を有する国です。そのため、オリーブの生産は同国の農業と経済の重要な柱の一つとされています。FAOの長期的な統計データをもとにアルバニアのオリーブ生産量の推移を詳しく見ると、いくつかの特徴があります。

まず、1960年代から1970年代にかけて、生産量は一定の増加を見せましたが、1970年前後や1980年代以降には減少が目立ちます。例えば、1970年には20,000トンに落ち込む一方で1973年には53,000トン、1977年には52,000トンと波がありました。また、1980年代には26,900トンと一部低迷期を迎えましたが、1983年には45,000トンの回復が見られました。このような不安定な生産量の背景には、経済の変動や気候条件、技術革新の普及状況にばらつきがあったと推測されます。

特に顕著なのは1990年代の低迷期です。1990年には生産量が10,000トンにまで落ち込みましたが、これはアルバニア国内の政治的転換期や経済的混乱(社会主義から市場経済への移行)と密接に関連していると考えられます。この期間、農業全体が影響を受け、オリーブ栽培にも大きな影響が及びました。

21世紀に入ると、生産量は徐々に回復・安定し、特に2012年以降は生産量が10万トン以上を継続的に記録するようになりました。この成長傾向の背景には、EU加盟を目指す中での農業の近代化や効率化に向けた政策が影響を及ぼした可能性があります。さらに、農業基盤整備や輸出向け品質の向上、灌漑技術の導入が推進されました。2022年にはついに157,710トンという大幅な生産量増加を記録しましたが、これには近年の気候条件の好転や栽培面積の拡大が寄与したとされています。

地域的な課題としては、地政学的リスクや気候変動、さらには競争が挙げられます。他の地中海諸国、例えばイタリアやスペインなどの著名なオリーブ生産国と比較すると、アルバニアの生産規模はまだ限定的であるため、差別化できる高付加価値製品の開発が求められます。また、2020年以降の新型コロナウイルスの影響で労働力不足や物流の課題が浮き彫りとなりましたが、これを契機として効率的な物流ネットワークの構築やデジタル技術の活用が農業セクター全体で議論されています。

将来的には、持続可能な農業モデルの確立に向けた取り組みが必要です。環境負荷を低減しつつ収益性を高めるため、有機オリーブ栽培の拡大や新技術の導入が鍵となるでしょう。また、若い世代の農業従事者の育成や地域経済とオリーブ産業を結びつけた「農村観光」などの新たな取り組みも、持続的成長を続けるための具体的な方向性となります。

最終的に、アルバニアがオリーブ生産の拡大を地域全体および国際市場での競争力向上につなげていくには、国際的な協力関係を築き、政策支援を厚くすることが重要です。これにより、経済的成長だけでなく農業従事者の生活の質の改善や地域の安定化にも寄与する可能性があります。