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アルバニアの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、アルバニアの大麦生産量は1960年代から2020年代にかけて大きな変動を見せています。特に1970年代後半から1980年代にかけて生産量が増加しましたが、1990年代に急激な落ち込みを経験しました。その後、徐々に回復し、2023年には21,179トンに達し、近年は着実な増加傾向が見られます。このデータは、アルバニアの農業政策や気候条件、経済的要因が生産量に影響を及ぼしていることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 21,179
11.39% ↑
2022年 19,014
24.19% ↑
2021年 15,310
21.08% ↑
2020年 12,645
59.22% ↑
2019年 7,942
-17.74% ↓
2018年 9,655
6.86% ↑
2017年 9,035
0.39% ↑
2016年 9,000
28.57% ↑
2015年 7,000
-4.11% ↓
2014年 7,300
4.73% ↑
2013年 6,970
-0.43% ↓
2012年 7,000
-19.54% ↓
2011年 8,700
19.18% ↑
2010年 7,300
62.22% ↑
2009年 4,500
25% ↑
2008年 3,600
2.86% ↑
2007年 3,500
-41.67% ↓
2006年 6,000
46.34% ↑
2005年 4,100
10.81% ↑
2004年 3,700
27.59% ↑
2003年 2,900
-23.68% ↓
2002年 3,800
26.67% ↑
2001年 3,000
66.67% ↑
2000年 1,800
-37.93% ↓
1999年 2,900
-10.71% ↓
1998年 3,248
-13.11% ↓
1997年 3,738
17% ↑
1996年 3,195
-56.08% ↓
1995年 7,274
-19.18% ↓
1994年 9,000
116.71% ↑
1993年 4,153
-25.43% ↓
1992年 5,569
67.59% ↑
1991年 3,323
-33.54% ↓
1990年 5,000
-87.5% ↓
1989年 40,000 -
1988年 40,000
5.26% ↑
1987年 38,000
5.56% ↑
1986年 36,000
20% ↑
1985年 30,000 -
1984年 30,000 -
1983年 30,000
18.11% ↑
1982年 25,400
1.6% ↑
1981年 25,000 -
1980年 25,000
8.7% ↑
1979年 23,000
15% ↑
1978年 20,000
11.11% ↑
1977年 18,000
20% ↑
1976年 15,000
50% ↑
1975年 10,000 -
1974年 10,000
11.11% ↑
1973年 9,000
16.88% ↑
1972年 7,700
2.67% ↑
1971年 7,500
-22.68% ↓
1970年 9,700
29.33% ↑
1969年 7,500
-5.06% ↓
1968年 7,900
-24.04% ↓
1967年 10,400
8.33% ↑
1966年 9,600
31.51% ↑
1965年 7,300
-12.09% ↓
1964年 8,304
5.3% ↑
1963年 7,886
13.73% ↑
1962年 6,934
-22.35% ↓
1961年 8,930 -

アルバニアの大麦生産量の推移を見てみると、1960年代から1980年代半ばにかけて持続的な増加が見られます。特に1979年から1989年の間は、生産量が23,000トンから40,000トンまで増加しました。これは、当時のアルバニア政府が推し進めた集団農場制度や農業機械化の影響と考えられます。しかし、1990年代に入り社会主義体制が崩壊し、市場経済への移行が進む中で、生産体制が脆弱化し、生産量が急落しました。1990年には40,000トンを記録した生産量が、1991年にはわずか3,323トンまで大幅に減少しました。この減少は、農村経済の転換や、土地の所有権の再編成による混乱が要因と言われています。

2000年代以降には生産量は極めて低い状態が続いたものの、2010年代後半から徐々に回復の兆しが見えてきます。2020年には12,645トン、2022年には19,014トン、2023年には21,179トンまで増加しました。これには、政府による農業支援政策や、新しい栽培技術の普及が寄与したと考えられます。また、近年の気候条件が比較的安定していたことも影響している可能性があります。

なお、アルバニアの大麦生産量の規模は、主要国と比較すると依然として控えめです。例えば、アメリカやドイツなどでは年間数百万トン単位の大麦生産が行われており、技術の導入や規模の拡大でアルバニアの大麦産業が国際市場において競争優位性を持つことは難しいのが現状です。しかし、自国での消費向けや限定的な輸出市場の開拓を目指すという視点では、現地特有の気候や土地条件を活用した効率的な生産が求められます。

アルバニアにはいくつかの課題も存在します。第一に、農村部のインフラ整備が進んでいないため、生産効率が限られている点です。また、土壌の劣化や資源の持続可能な利用についても長期的視点での改善が必要です。さらに、大麦以外の高収益作物との競合もあり、農業の多様性をどのように維持するかが重要となります。

これらの課題に対処するためには、例えば専門家による技術指導を強化することや、生産者に対する金融支援を拡充すること、さらには気候変動に対応した作物育種の研究を進めることが挙げられます。また、農地所有権の安定化と効率的な経営形態の確立、地域間での協力体制の構築が生産基盤の強化につながると考えられます。

加えて、国際市場での競争力を高めるために、品質向上を図った大麦製品の開発や、EU諸国との連携を通じた輸出ルートの確保も有効でしょう。例えば、有機農法に特化した高付加価値の大麦製品を輸出することで、アルバニアの農業が経済全体に寄与する度合いを高めることが期待されます。

結論として、1960年代から現在に至るまでのデータは、アルバニアの大麦生産が経済的、地政学的、そして気候的影響を大きく受けてきたことを示しています。今後、農業分野において持続可能な成長を達成するためには、技術革新と資源配分の改善、政策の一貫性、そして国際市場を視野に入れた戦略が不可欠です。このような取り組みが成功すれば、アルバニアの農業はさらなる発展を遂げることでしょう。