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ラオス人民民主共和国の豚飼育数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ラオス人民民主共和国の豚飼育数は長いスパンで増加傾向にあります。1961年から始まった記録では60万頭だった飼育数が、2022年には約440万頭に達しました。この増加は持続的な農業活動の推進や家畜生産の強化が背景にあると考えられます。しかし、特定の期間には大幅な減少が見られる年もあり、豚飼育数に影響を及ぼす要因や、効率的な飼育のための課題が明確に浮かび上がっています。

年度 飼育数(頭)
2022年 4,408,000
2021年 4,300,000
2020年 4,298,000
2019年 4,115,000
2018年 3,824,663
2017年 3,869,000
2016年 3,700,000
2015年 3,258,000
2014年 3,122,000
2013年 2,948,000
2012年 2,794,000
2011年 2,650,000
2010年 2,752,000
2009年 2,554,000
2008年 2,359,000
2007年 2,186,000
2006年 2,033,000
2005年 1,826,000
2004年 1,727,000
2003年 1,655,000
2002年 1,608,000
2001年 1,425,900
2000年 1,446,000
1999年 1,320,000
1998年 1,432,100
1997年 1,813,000
1996年 1,772,000
1995年 1,723,590
1994年 1,673,390
1993年 1,624,670
1992年 1,560,543
1991年 1,468,600
1990年 1,372,100
1989年 1,349,978
1988年 1,267,885
1987年 1,419,570
1986年 1,279,674
1985年 1,189,760
1984年 1,359,748
1983年 1,300,000
1982年 1,223,000
1981年 1,176,000
1980年 1,111,090
1979年 830,000
1978年 697,000
1977年 819,000
1976年 764,229
1975年 600,000
1974年 700,000
1973年 800,000
1972年 850,000
1971年 900,000
1970年 920,000
1969年 950,000
1968年 1,000,000
1967年 994,857
1966年 979,416
1965年 890,000
1964年 794,282
1963年 600,500
1962年 600,000
1961年 600,000

ラオスの豚飼育数はこの60年間で著しい変動を経てきました。1961年には約60万頭で始まり、1970年代半ばに至るまで一部の増加と減少を繰り返していました。特に、1974年から1975年にかけて大幅に減少し、60万頭に戻っています。この減少の原因には、1970年代の政治的、経済的不安定、食料不足、農業インフラの整備不足が挙げられると考えられます。一方で1980年代になると豚飼育数は急激に成長し始め、1983年には130万頭、1995年には170万頭を超えました。

2000年以降も豚の飼育数は着実な増加を見せており、2010年には275万頭を超え、2022年には約440万頭に達しました。この増加傾向は、ラオス国内での農業技術の向上、家畜に関する教育、輸出用需要の高まりが反映されています。一方で、短期的な減少が見られる場面もありました。たとえば、1998年から2000年にかけた一時的な大幅減少や、2020年の新型コロナウイルス感染症によるグローバルな物流障害が影響した可能性も考えられます。

他の主要国と比較すると、ラオスの豚飼育数は中国やアメリカのような大規模な豚生産国と比べると依然として規模は小さいものの、持続的な増加傾向は注目に値します。ラオスは中国市場への輸出を含む地域経済への統合を進めており、近年の大規模なインフラ投資(例:鉄道や道路網整備)もこれに寄与していると考えられます。

しかしながら、増加する豚飼育数にはいくつかの課題も伴います。まず、持続可能な飼育方法の確立が必要です。急速な飼育数の増加により、畜産関連の環境負荷、例えば水質汚染や森林伐採が懸念されます。また、アフリカ豚熱(ASF)のような疫病の発生も潜在的なリスクとして挙げられます。特に、隣接する国々でのASF発生報告はラオスにとって地政学的な脅威でもあり、家畜の防疫体制を強化する必要があります。さらに、十分な品質管理を行わずに輸出に依存する形で経済を成長させようとすると、世界市場からの信用を得るのが難しくなる可能性もあります。

今後求められる具体的な対策として、まず、教育機関や国際機関による農家向けの持続可能な飼育技術の普及が重要です。畜産業における国際基準を導入し、農家や飼育者を対象にトレーニングを行うことで、生産効率や品質を向上させることができます。第二に、環境問題への対応として、廃棄物の適正管理技術を導入し、家畜からの排泄物を再利用したバイオガス生産や肥料化を促進する政策も効果的でしょう。さらに、ASFや他の家畜疫病に対する防疫対策を強化するために、国境管理や家畜検疫体制を改善することも欠かせません。そのほか、地域経済協力の一環として、ラオスを含むASEAN各国間での情報共有や協調体制を強化することで、国際競争力をさらに高めることが期待されます。

ラオスでの豚飼育数は過去数十年で顕著に増加し、農業や地域経済に寄与する重要な産業となっています。一方で、直面している課題を解決しなければ、持続可能な発展を維持し続けるのは難しいでしょう。他国の事例から学びながら、技術、政策、環境面での改善を進めることで、ラオスは豚飼育産業をさらに強化し、国際市場での存在感を拡大することが期待されます。