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ラオス人民民主共和国のトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによれば、ラオス人民民主共和国のトウモロコシ生産量は1961年の17,000トンから2000年代前半に急激に増加し、2009年には1,134,386トンのピークに達しました。しかし、その後の10年間で減少傾向が見られ、2022年には462,810トンまで落ち込んでいます。このデータは、ラオス国内外の需要、作物育成環境、気候変動、政策変動の影響を示しています。

年度 生産量(トン)
2022年 462,810
2021年 535,257
2020年 683,625
2019年 793,625
2018年 981,680
2017年 1,192,525
2016年 1,552,360
2015年 1,516,250
2014年 1,412,440
2013年 1,214,085
2012年 1,125,485
2011年 1,096,235
2010年 1,020,875
2009年 1,134,386
2008年 1,107,775
2007年 688,190
2006年 449,950
2005年 372,560
2004年 203,500
2003年 143,178
2002年 124,122
2001年 111,869
2000年 117,000
1999年 96,110
1998年 109,900
1997年 78,300
1996年 78,095
1995年 50,375
1994年 55,788
1993年 47,620
1992年 58,699
1991年 68,575
1990年 66,566
1989年 43,854
1988年 50,822
1987年 35,725
1986年 41,680
1985年 33,333
1984年 33,909
1983年 31,863
1982年 34,699
1981年 32,780
1980年 28,398
1979年 31,670
1978年 29,580
1977年 34,921
1976年 30,387
1975年 28,000
1974年 27,200
1973年 26,800
1972年 26,500
1971年 26,000
1970年 25,000
1969年 26,000
1968年 25,000
1967年 22,000
1966年 20,000
1965年 23,000
1964年 19,000
1963年 15,000
1962年 18,000
1961年 17,000

ラオス人民民主共和国におけるトウモロコシ生産量の推移は、同国の経済、農業政策、気候、国際需要動向の影響をよく示しています。初期には比較的低い水準で安定して推移していましたが、1990年代後半から2000年代前半にかけて顕著な増加が見られます。この期間、特に2004年~2008年の短期間における大幅な生産量の拡大は、ラオス国内での農業技術の改善や肥料使用の増加、多国籍企業による作物生産への投資、そして近隣諸国(特に中国やタイ)向けのトウモロコシ輸出需要の拡大に起因しています。

しかし、2010年代後半からトウモロコシ生産量は減少に転じています。この要因の一つとして、気候変動による天候パターンの変化が挙げられます。降雨量の変動がおおきく、洪水や干ばつが生産に影響を与えている可能性があります。また、2000年代の生産ブームの一環で拡大した単作農業(土壌の養分を必要以上に消耗する農法)が土壌の劣化を促進し、生産性を低下させているとも考えられます。それに加え、近年の国際市場におけるトウモロコシ価格の変動、他の作物や農業形態への転換なども影響を与えていると推測されます。

また、地域課題として注目すべき点は、トウモロコシ生産の減少がラオスの農村地帯に与える経済的な影響です。ラオスは多くの農民が土地に依存して生計を立てており、トウモロコシの収益に依存している家庭も少なくありません。収入源が減少することで、貧困率増加や社会的不安の増大が懸念されます。その影響をさらに拡大させているのが、新型コロナウイルス感染症の影響による市場の混乱や物流の制約です。

将来を見据えた課題として、まず必要なのは、長期的な視点での持続可能な農業政策の導入です。具体的な対策としては、農家に対する気候変動対策のトレーニングや、土壌改良を目指した資金的・技術的支援の拡大が挙げられます。また、トウモロコシ以外の作物への多様化を促し、農家が新たな収入源を得られるよう農業補助金の仕組みを再構成する必要があります。さらに、近隣諸国との連携を強化し、輸出対象市場を拡大することも重要です。

地政学的背景にも注目するべきです。中国を中心としたアジア地域では、トウモロコシが家畜飼料など多用途に利用されており、依然として需要は大きい現状があります。しかし、近年の国際的な地政学的緊張や貿易障壁の影響が、ラオスにおけるトウモロコシの国際取引に影響を及ぼしている可能性もあります。特に、ラオスの地理的な特性から、中国とタイという巨大市場に接していることは大きな利点であり、この優位性をもっと活かすべきです。

結論として、現在のトウモロコシ生産量の減少は、環境要因と政策の複合的な影響によるものと考えられます。これを解決するには、環境保護型農業の導入、地域協力の強化、多様な作物生産へのシフトなど、持続可能性を意識した包括的な対策が求められます。これにより、トウモロコシ生産のみならず、ラオス全体の農業セクターの安定と経済的発展を促進することができるでしょう。