FAO(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、ラオス人民民主共和国の鶏卵生産量は1961年以降着実に拡大し、2023年には17,342トンに達しました。1960年代から1980年代にかけて緩やかに増加し、1990年代以降急速に成長しましたが、2015年以降は増減を繰り返す傾向が見られます。2020年以降の増加ペースは鈍化気味ですが、回復の兆しも見られます。このデータは、ラオスの食糧安全保障と経済成長において家禽(鶏)の役割が重要であることを示しています。
ラオス人民民主共和国の鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 17,342 |
1.24% ↑
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2022年 | 17,129 |
1.75% ↑
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2021年 | 16,834 |
-4.42% ↓
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2020年 | 17,613 |
3.97% ↑
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2019年 | 16,941 |
6.22% ↑
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2018年 | 15,949 |
6.33% ↑
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2017年 | 15,000 |
-7.69% ↓
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2016年 | 16,250 |
1.25% ↑
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2015年 | 16,050 |
-5.59% ↓
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2014年 | 17,000 |
3.03% ↑
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2013年 | 16,500 |
3.13% ↑
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2012年 | 16,000 |
3.23% ↑
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2011年 | 15,500 |
3.33% ↑
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2010年 | 15,000 |
1.35% ↑
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2009年 | 14,800 |
2.07% ↑
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2008年 | 14,500 |
8.21% ↑
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2007年 | 13,400 |
-2.19% ↓
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2006年 | 13,700 |
5.38% ↑
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2005年 | 13,000 |
0.78% ↑
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2004年 | 12,900 |
0.78% ↑
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2003年 | 12,800 |
1.59% ↑
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2002年 | 12,600 |
9.57% ↑
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2001年 | 11,500 |
15% ↑
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2000年 | 10,000 |
17.65% ↑
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1999年 | 8,500 |
11.84% ↑
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1998年 | 7,600 |
15.15% ↑
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1997年 | 6,600 |
13.79% ↑
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1996年 | 5,800 |
28.89% ↑
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1995年 | 4,500 |
4.65% ↑
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1994年 | 4,300 |
4.88% ↑
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1993年 | 4,100 |
1.28% ↑
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1992年 | 4,048 | - |
1991年 | 4,048 |
1.1% ↑
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1990年 | 4,004 |
0.1% ↑
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1989年 | 4,000 | - |
1988年 | 4,000 | - |
1987年 | 4,000 | - |
1986年 | 4,000 | - |
1985年 | 4,000 | - |
1984年 | 4,000 | - |
1983年 | 4,000 | - |
1982年 | 4,000 | - |
1981年 | 4,000 | - |
1980年 | 4,000 |
33.33% ↑
|
1979年 | 3,000 | - |
1978年 | 3,000 | - |
1977年 | 3,000 | - |
1976年 | 3,000 |
-2.44% ↓
|
1975年 | 3,075 |
50% ↑
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1974年 | 2,050 |
1.49% ↑
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1973年 | 2,020 |
1% ↑
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1972年 | 2,000 | - |
1971年 | 2,000 | - |
1970年 | 2,000 |
33.33% ↑
|
1969年 | 1,500 | - |
1968年 | 1,500 | - |
1967年 | 1,500 |
50% ↑
|
1966年 | 1,000 | - |
1965年 | 1,000 | - |
1964年 | 1,000 | - |
1963年 | 1,000 | - |
1962年 | 1,000 | - |
1961年 | 1,000 | - |
ラオス人民民主共和国の鶏卵生産量は、1961年の1,000トンから2023年の17,342トンまで増加しました。特に1990年代以降に生産量が飛躍的に伸び、2000年には10,000トンを突破しました。この成長は、ラオスにおける農業技術の向上や家禽飼育の組織化、並びに農村地域の投資増加の影響が大きいと考えられます。
2020年以降の数字を見ると、COVID-19パンデミックの影響が生産にも波及したことが伺えます。2021年には16,834トンと2020年の17,613トンから若干減少しました。これはパンデミックによる労働力不足や生産資材の供給問題が原因の可能性があります。しかし、その後の2022年と2023年の17,129トン、17,342トンへの回復は、需要増加とサプライチェーンの改善、あるいは地産地消を推進する政策が効果を上げた結果と考えられます。
ただし長期的には、鶏卵生産量の増加ペースは鈍化しており、新たな課題が浮上しています。一つの問題は、気候変動の影響です。ラオスはモンスーン気候の特徴を持つ地域であり、降雨パターンの変化などが農業全体に影響を及ぼしています。たとえば飼料の生産や輸入依存がこれに関連しており、鶏卵生産が影響を受けることが懸念されています。また、生産の効率化を図るため、近代的な養鶏技術の導入が求められますが、これにはインフラ整備や教育訓練が鍵を握ります。
地域的な視点からは、ラオスは周辺諸国—特に中国、タイ、ベトナムといった鶏卵生産や消費で上位を占める国々と比較すると、まだ規模も収益性も追いつけていない状況です。ラオス国内では、他の経済分野と同様に農業分野での外資誘致も重要となっており、特に鶏卵生産に関する投資促進と物流インフラの整備が急務です。
国際的な動向を考慮すると、鶏卵は安価で高栄養なタンパク源として需要が増加しており、特に人口が増加しているアジア地域ではその重要性が増しています。この需要拡大を効果的に活かすため、ラオスは輸出市場を視野に入れた品質管理基準の強化や、生産の効率化を進めることが推奨されます。たとえば、地域全体で協力してインフラプロジェクトを推進し、輸送コストを削減するような政策的取り組みが考えられます。
また、将来的な課題としては、天然災害や地域紛争の影響をどう最小限に抑えるかが挙げられます。これらは物流に影響を与えるだけでなく、鶏卵の生産サイクルにも直接的なダメージを与える可能性があります。他国では、生産者の保険制度の整備や、災害時に迅速に対処できる食品供給計画が進んでいます。ラオスもこのような取り組みを学び、国際機関と協力を深めることが求められます。
結論として、本データはラオスの鶏卵生産が過去数十年で着実に成長していることを示していますが、気候変動、技術の普及、国際競争力といった課題を解決するためにさらなる努力が必要です。生産量をさらに増やし、国内の食糧安全を強化するだけでなく、輸出市場を開拓することで農業収益を向上させることが、今後の持続可能な成長に繋がるでしょう。