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ラオス人民民主共和国のジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

最新のFAO(国際連合食糧農業機関)のデータによると、ラオス人民民主共和国におけるジャガイモ生産量は長期的に見て変動を続けています。特に1980年代から2000年代初頭までは比較的安定した生産量を維持していましたが、2020年代に入ってからは大きな減少傾向が顕著です。2022年の生産量は3,957トンで、過去のピークとなる1982年の40,000トンから大きく低下しています。この動向は農業環境の変化や経済条件と密接に関係していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,527
-10.88% ↓
2022年 3,957
-1.23% ↓
2021年 4,007
6.27% ↑
2020年 3,770
71.38% ↑
2019年 2,200
1.85% ↑
2018年 2,160
36.28% ↑
2017年 1,585
-95.38% ↓
2016年 34,320
2.55% ↑
2015年 33,465
7.62% ↑
2014年 31,095
17.74% ↑
2013年 26,410
-19.48% ↓
2012年 32,800
11.34% ↑
2011年 29,460
-27.87% ↓
2010年 40,845
13.46% ↑
2009年 36,000 -
2008年 36,000
2.86% ↑
2007年 35,000 -
2006年 35,000
-2.78% ↓
2005年 36,000 -
2004年 36,000 -
2003年 36,000
2.86% ↑
2002年 35,000
2.94% ↑
2001年 34,000
3.03% ↑
2000年 33,000 -
1999年 33,000 -
1998年 33,000 -
1997年 33,000 -
1996年 33,000
6.45% ↑
1995年 31,000
-3.13% ↓
1994年 32,000
-5.88% ↓
1993年 34,000
-2.86% ↓
1992年 35,000
6.06% ↑
1991年 33,000
10% ↑
1990年 30,000
7.14% ↑
1989年 28,000
12% ↑
1988年 25,000
-10.71% ↓
1987年 28,000
-20% ↓
1986年 35,000
2.94% ↑
1985年 34,000
3.03% ↑
1984年 33,000
-8.33% ↓
1983年 36,000
-10% ↓
1982年 40,000
14.29% ↑
1981年 35,000
2.94% ↑
1980年 34,000
9.68% ↑
1979年 31,000
10.71% ↑
1978年 28,000
27.27% ↑
1977年 22,000
10% ↑
1976年 20,000
66.67% ↑
1975年 12,000
-29.41% ↓
1974年 17,000
-5.56% ↓
1973年 18,000 -
1972年 18,000
5.88% ↑
1971年 17,000 -
1970年 17,000
6.25% ↑
1969年 16,000
6.67% ↑
1968年 15,000 -
1967年 15,000 -
1966年 15,000 -
1965年 15,000
7.14% ↑
1964年 14,000 -
1963年 14,000
7.69% ↑
1962年 13,000
8.33% ↑
1961年 12,000 -

ラオス人民民主共和国におけるジャガイモ生産の推移を見ると、いくつかの重要な時期が浮かび上がります。1960年代は全体的に緩やかな増加傾向を示し、日本の特定時期の果樹栽培普及と似た傾向が確認できます。1976年から1980年代にかけて、急激な増加を経験しており、この期間の経済政策や農業支援プログラムが大きな影響を与えた可能性があります。しかし、1980年代初頭に40,000トンという最盛期を経験した後、大きな変動が見られます。

1990年代から2000年代初頭にかけては、生産量は30,000~35,000トン前後で推移し、農業インフラ整備の成果と考えられる安定した状況が確認されています。しかし、2010年代に入ると急激な下落が始まり、とりわけ2017年には1,585トンと極端に低い数値となっています。この減少の背景には、地球温暖化に伴う気候の変動、地域の資源不足、あるいは農業政策の低調化が要因として考えられます。

また、過去3年では、2020年から若干の回復が見られるものの、依然として1980年代の生産量にはほど遠い状況です。具体的には、2022年に生産量は3,957トンとなり、安定した成長感を示してはいるものの、全体規模としてはまだ低いといえます。

地域的な問題の観点から見ると、ラオスにおけるジャガイモ栽培のボトルネックとして指摘されるのが、インフラ未整備による輸送コストの増大、灌漑不足、さらには急速な都市化による耕地の縮小です。例えば隣国中国では、灌漑技術や新品種の導入によって、生産性を飛躍的に向上させています。これに対して、ラオスではまだ従来型の栽培方法が主流であり、新しい技術の浸透が課題になっています。

さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行も農業生産に影響を及ぼしたと考えられます。物流の停滞や農作業の進行への制約がジャガイモの生産および市場供給に影響を与えた可能性があります。

将来的な対策として、まずは自動化技術と灌漑技術を導入し、生産効率を高めるべきです。また、地域間協力の枠組みを活用して、例えばタイやベトナムと共同で農業技術の普及や品種改良を進めることが有望です。さらに、国内外市場との接続性を向上させるための物流インフラを整備することも急務です。

結論として、ラオスのジャガイモ生産の推移は、農業政策の変化、気候要因、さらに地域的課題が複合的に影響しているといえます。生産を回復させるためには、総合的なアプローチが必要です。政府と国際機関が連携し、インフラ整備、政策支援、教育と技術普及を含む取り組みが将来の鍵となるでしょう。