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ラオス人民民主共和国の牛乳生産量推移(1961年~2022年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ラオス人民民主共和国の牛乳生産量は、1961年の1,900トンから2022年の7,300トンへと増加しています。この間、総じて緩やかに増加傾向が見られるものの、特定の期間には減少や停滞も確認されています。特に、2011年以降は7,300~7,800トンで推移し、2020年以降は停滞が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 7,300 -
2021年 7,300 -
2020年 7,300
-11.84% ↓
2019年 8,280
13.42% ↑
2018年 7,300 -
2017年 7,300 -
2016年 7,300 -
2015年 7,300 -
2014年 7,300
1.39% ↑
2013年 7,200 -
2012年 7,200
-7.69% ↓
2011年 7,800
11.43% ↑
2010年 7,000
-2.78% ↓
2009年 7,200
-4.51% ↓
2008年 7,540
10.88% ↑
2007年 6,800
3.03% ↑
2006年 6,600
3.13% ↑
2005年 6,400 -
2004年 6,400
3.23% ↑
2003年 6,200
3.33% ↑
2002年 6,000
-1.64% ↓
2001年 6,100
1.67% ↑
2000年 6,000 -
1999年 6,000
3.45% ↑
1998年 5,800
3.57% ↑
1997年 5,600 -
1996年 5,600
1.82% ↑
1995年 5,500
-3.51% ↓
1994年 5,700
1.79% ↑
1993年 5,600
1.82% ↑
1992年 5,500
14.58% ↑
1991年 4,800
2.13% ↑
1990年 4,700
2.17% ↑
1989年 4,600
2.22% ↑
1988年 4,500
4.65% ↑
1987年 4,300
2.38% ↑
1986年 4,200
5% ↑
1985年 4,000
5.26% ↑
1984年 3,800
5.56% ↑
1983年 3,600
5.88% ↑
1982年 3,400
3.03% ↑
1981年 3,300
3.13% ↑
1980年 3,200
8.47% ↑
1979年 2,950
5.36% ↑
1978年 2,800
3.7% ↑
1977年 2,700
3.85% ↑
1976年 2,600
4% ↑
1975年 2,500
-9.09% ↓
1974年 2,750
3.77% ↑
1973年 2,650
1.53% ↑
1972年 2,610 -
1971年 2,610
3.57% ↑
1970年 2,520
5% ↑
1969年 2,400
2.56% ↑
1968年 2,340
2.63% ↑
1967年 2,280
10.68% ↑
1966年 2,060
-1.9% ↓
1965年 2,100 -
1964年 2,100
5% ↑
1963年 2,000 -
1962年 2,000
5.26% ↑
1961年 1,900 -

ラオスの牛乳生産量は1960年代初頭から穏やかに増加し、1980年代に入るとその増加速度がやや加速しました。1980年に初めて3,000トンを超えた牛乳生産量は、1990年代には5,000トンを超えるレベルに到達しています。その後も着実な伸びを示し、2008年の7,540トンをピークに、一部の年で減少が見られるものの2022年までに全体的な安定を示しています。ただし、2011年以降は生産量がほぼ横ばいとなり、2020年以降は7,300トンで完全に停滞しています。

このような生産量の変動は、国内の畜産業の発展レベル、家畜管理技術の向上、さらには経済状況や環境的な要因に強く影響されています。例えば、2009年から2013年にかけて生産量が減少または停滞したのは、自然災害、疫病の流行、さらには牛乳需要の停滞による可能性があります。また、2020年以降に見られる停滞は、主に新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響による物流の制約や経済的な影響が関連していると考えられます。

他国と比較すると、ラオスの牛乳生産量はアジア地域の中でも極めて低い水準にあります。例えば、中国では年間約3,000万トンの牛乳が生産され、日本や韓国においてもそれぞれ約700万トン、約200万トンの生産量を維持しています。この背景には、ラオスの地理的条件や技術面の課題、さらに畜産部門への投資不足が挙げられます。牛乳の生産は通常、飼料資源、牧場管理、酪農インフラが重要な役割を果たしますが、これらの面でラオスは大きな遅れを取っています。

ラオスの牛乳生産量をさらに増やすためには、まず畜産業の近代化が課題です。人工授精や効率的な飼料供給を含む技術導入、獣医サービスの充実、さらには家畜の遺伝子改良など、科学的かつ持続可能な酪農技術の展開が不可欠です。また、地域ごとに異なる気候条件や地理的特性を活かして、多様な牧場管理を導入することも鍵となるでしょう。さらに、近隣諸国との技術協力や国際市場へのアクセス向上が、改善の大きな一歩となると期待されます。

また、ラオスでは牛乳消費の増加を目指し、国内需要を高めることも重要です。国民の栄養バランスを改善するため、政府が公的なキャンペーンを展開し、牛乳や乳製品のメリットを広く伝えることが期待されます。特に子どもの栄養改善や学校給食プログラムに牛乳を導入することで、経済的な側面だけでなく公共衛生の向上にもつながる可能性があります。

今後、気候変動や地政学的リスクが酪農に与える影響も考慮しつつ、ラオス政府は国内および国際的なパートナーと連携し、持続可能な牛乳生産の拡大に向けた施策を打ち出すべきです。例えば自然災害対策、飼料の安定供給体制構築、輸出ポテンシャルの拡大が具体的なテーマになるでしょう。地域経済への適切な投資と政策の実施は、将来的な生産量向上だけでなく、ラオス全体の食料安全保障を強化する重要な手段となります。