世界のネギ生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）の最新データによると、2022年度のネギ生産量ランキングでは、インドネシアが638,735トンで1位となり、圧倒的な生産量を記録しました。続いてトルコが168,710トン、フランスが157,520トンで2位、3位にランクインしています。一方、日本のデータは本ランキングに含まれておらず、日本の状況には別途注目が必要な状態です。また、生産上位国はアジア、ヨーロッパを中心に分布し、地域ごとに異なる生産環境と需要動向が背景にあることが示唆されます。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	インドネシア	アジア	638,735
2	トルコ	アジア	168,710
3	フランス	ヨーロッパ	157,520
4	大韓民国	アジア	150,182
5	ベルギー	ヨーロッパ	139,250
6	中国	アジア	118,931
7	オランダ	ヨーロッパ	95,060
8	カザフスタン	アジア	94,034
9	ドイツ	ヨーロッパ	87,150
10	スペイン	ヨーロッパ	70,280
11	ポーランド	ヨーロッパ	54,500
12	スリランカ	アジア	51,800
13	イギリス	ヨーロッパ	43,042
14	アルバニア	ヨーロッパ	39,125
15	中国、台湾 中国省	アジア	20,989
16	ポルトガル	ヨーロッパ	19,260
17	ペルー	南アメリカ	17,620
18	ギリシャ	ヨーロッパ	16,750
19	メキシコ	南アメリカ	14,271
20	スイス	ヨーロッパ	14,156
21	イタリア	ヨーロッパ	13,950
22	イラン（イスラム共和国）	アジア	11,406
23	オーストリア	ヨーロッパ	7,480
24	ウズベキスタン	アジア	7,312
25	カナダ	北アメリカ	6,647
26	モロッコ	アフリカ	6,038
27	フィリピン	アジア	4,603
28	ニジェール	アフリカ	4,508
29	デンマーク	ヨーロッパ	4,380
30	エチオピア	アフリカ	3,395
31	ノルウェー	ヨーロッパ	3,236
32	アイルランド	ヨーロッパ	2,730
33	ニュージーランド	オセアニア	2,700
34	ルワンダ	アフリカ	2,557
35	スウェーデン	ヨーロッパ	2,240
36	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	1,944
37	コンゴ	アフリカ	1,867
38	クロアチア	ヨーロッパ	1,750
39	チェコ	ヨーロッパ	1,430
40	スロベニア	ヨーロッパ	1,200
41	ハンガリー	ヨーロッパ	1,060
42	ブルガリア	ヨーロッパ	1,000
43	フィンランド	ヨーロッパ	670
44	クウェート	アジア	490
45	北マケドニア	ヨーロッパ	458
46	モルドバ共和国	ヨーロッパ	366
47	カメルーン	アフリカ	358
48	ケニア	アフリカ	322
49	キルギスタン	アジア	303
50	リトアニア	ヨーロッパ	270
51	ルーマニア	ヨーロッパ	220
52	ラトビア	ヨーロッパ	220
53	ジンバブエ	アフリカ	173
54	ルクセンブルク	ヨーロッパ	160
55	マルタ	ヨーロッパ	130
56	コスタリカ	南アメリカ	76
57	モーリシャス	アフリカ	55
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2022年度のネギ生産量ランキングから、インドネシアが圧倒的な規模でトップに立ったことがわかります。638,735トンという生産量は、年間の気候条件や農業手法がネギ栽培に非常に適していることを示しています。また、インドネシアのような熱帯気候では、多作型の年間栽培が可能であり、それが高い生産量を維持する要因となっています。一方で、トルコやフランスといったヨーロッパ諸国も高順位に位置しており、特にトルコは地中海性気候がネギの栽培に適しているほか、近年の農業技術の進展が生産量向上に貢献したと考えられます。

韓国や中国も上位にランクインしているものの、中国の生産量は118,931トンで6位にとどまっています。中国の広大な農地と豊富な労働力を考慮すると、潜在能力を十分に発揮できていない要因があると推察されます。この点については、国内市場の需要や農業政策がネギ生産に重点を置いていない点が理由の一つと考えられます。

興味深いのはヨーロッパ地域に多くの国がランクインしている点です。特にベルギーやオランダは、狭い国土ながらも高密度農業を展開しており、効率的な生産システムがネギでも成功を収めているようです。この地域では、品質重視型の生産が推進されており、国内のみならず輸出市場向けの商品化が進んでいます。一方で、スペインやポーランドなど、気候条件や農地面積に恵まれているものの生産量が相対的に低い国々は、持続可能な農業政策や技術導入の遅れが解決すべき課題として浮かび上がっています。

日本についてのデータが本ランキングに含まれていない点は注目すべきです。日本ではネギは多くの家庭料理に使用される重要な農産物ですが、国内生産量が一部の県で集中しており、地域間での差が大きいこと、さらには国内需要を超える生産量に至っていないことがランキング漏れの要因と考えられます。また、少子高齢化と農業従事者の減少が、生産効率や規模拡大の深刻な課題となっています。

今後の世界的なネギの生産推移を考えると、気候変動の影響が避けられない課題として挙げられます。とくに熱帯地域での作物栽培に影響を及ぼす異常気象は、インドネシアのような高生産国に特に深刻な影響を与える可能性があります。このため、持続可能な農業技術の導入や生産能力向上を目的とした国際協力の強化が必要です。

また、地政学的リスクにも注目する必要があります。たとえば、ウクライナ侵攻やその他の地域紛争が欧州の農業資源に間接的な影響を与える可能性もあり、特に肥料やエネルギー原材料の価格高騰が農業分野全体のコストを押し上げている状況があります。このような背景を受けて、各国は国内生産能力の向上と、サプライチェーン全体の強化が求められます。

さらに具体的な提言として、農業におけるデジタル技術の導入、気象データの活用、土地利用効率を上げる取り組みが挙げられます。また、日本を始めとした農業先進国では、このような技術を積極的に海外輸出し、農産物の国際市場全体を安定させる役割を果たすことが期待されます。これにより、経済的な分散効果や持続可能性の向上が図られるでしょう。

結論として、ネギの生産量ランキングはただ単に生産規模を示すだけでなく、各国の農業政策や技術の進展、需要供給バランスの現状を詳しく映し出しています。このデータをもとに、各国間での協力体制を構築することや、気候変動や人口構造変化などに対処するための長期的視点に基づいた政策設計が極めて重要です。