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レバノンのオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

レバノンにおけるオリーブ生産量の推移を見ると、大きな変動があるものの、特に2000年代以降、全体的な生産量の増加が見られます。2000年には約189,500トンと過去最高水準となり、その後も大幅な変動を伴いながら、2022年には138,893トンとなっています。この長期的なデータは、気候条件、地理的要因、政治・経済の情勢が生産量に影響を与えていることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 136,176
-1.96% ↓
2022年 138,893
0.39% ↑
2021年 138,360
1.45% ↑
2020年 136,380
1.4% ↑
2019年 134,500
-7.24% ↓
2018年 145,000
-8.06% ↓
2017年 157,710
0.04% ↑
2016年 157,646
18.98% ↑
2015年 132,500
16.53% ↑
2014年 113,700
7.06% ↑
2013年 106,200
51.71% ↑
2012年 70,000
-20.45% ↓
2011年 88,000
-56% ↓
2010年 200,000
153.16% ↑
2009年 79,000
-7.06% ↓
2008年 85,000
11.55% ↑
2007年 76,200
-57.02% ↓
2006年 177,300
131.76% ↑
2005年 76,500
-54.27% ↓
2004年 167,300
101.08% ↑
2003年 83,200
-54.89% ↓
2002年 184,421
114.94% ↑
2001年 85,800
-54.72% ↓
2000年 189,500
185.39% ↑
1999年 66,400
-33.6% ↓
1998年 100,000
6.48% ↑
1997年 93,910
-2.66% ↓
1996年 96,475
78.66% ↑
1995年 54,000
-30.67% ↓
1994年 77,889
55.78% ↑
1993年 50,000
-51.51% ↓
1992年 103,119
135.21% ↑
1991年 43,841
-29.67% ↓
1990年 62,335
35.79% ↑
1989年 45,906
16.45% ↑
1988年 39,420
-42.31% ↓
1987年 68,328
36.66% ↑
1986年 50,000
51.52% ↑
1985年 33,000
-34% ↓
1984年 50,000
150% ↑
1983年 20,000
-73.33% ↓
1982年 75,000
400% ↑
1981年 15,000
-81.25% ↓
1980年 80,000
433.33% ↑
1979年 15,000
-76.92% ↓
1978年 65,000
160% ↑
1977年 25,000
-50.98% ↓
1976年 51,000
45.71% ↑
1975年 35,000
-56.88% ↓
1974年 81,167
168.96% ↑
1973年 30,178
-23.8% ↓
1972年 39,603
-27.68% ↓
1971年 54,759
23.34% ↑
1970年 44,396
-4.05% ↓
1969年 46,268
43.76% ↑
1968年 32,184
-52.51% ↓
1967年 67,773
130.71% ↑
1966年 29,376
-40.05% ↓
1965年 49,000
63.33% ↑
1964年 30,000
-50% ↓
1963年 60,000
275% ↑
1962年 16,000
-75.38% ↓
1961年 65,000 -

レバノンのオリーブ生産量の記録は1961年の65,000トンに始まり、その後、1980年代半ばまで大きな変動を繰り返しています。この期間の変動は、地理的条件や栽培技術の限界に加え、内戦や地域的不安定さと関連していると考えられます。例えば1975年から始まったレバノン内戦の期間には、統治機能の低下による農業支援の不足や物流の問題が生じ、一部の年では15,000トンにまで落ち込んでいます。

1990年代以降、特に2000年の189,500トンを契機として、生産量は大幅に拡大しています。この増加は、安定した政策的支援や農業技術の改良、オリーブ産業の商業化といった多様な要因がきっかけとなっています。また、地中海沿岸特有の気候と土壌がオリーブの栽培に適していることも、持続的に高い生産量を維持できる要因といえるでしょう。

一方で、近年のデータは、生産量が緩やかな下降または停滞を示すようになっています。2020年から2022年にかけては136,380トンから138,893トンの間に留まり、明らかな成長は見られません。この要因には、気候変動がオリーブの収穫量に与える影響や、国内外の経済危機、特に輸出需要の減少が含まれると推測されます。レバノンでは近年経済の悪化が続いており、農業関連のインフラ不足や輸送コストの増加が、オリーブ産業全体に課題をもたらしています。

また、レバノンにおけるオリーブ栽培は地域の雇用と経済に密接に関連しており、特に農村地域では重要な収入源となっています。しかしながら、この産業は他国への依存度が高い輸出型ビジネスに偏っているため、国際市場の変動に脆弱です。他の主要生産国、例えばスペインやイタリアなどは、高い産出量を持ち、安価な価格で市場を占めています。これにより、レバノンのような小規模生産国は競争上の課題に直面しています。

将来の持続可能な発展のためには、まず国内農業への投資が必要です。具体的には、近代的な栽培技術の導入や灌漑設備の強化などが重要です。次に、地元品種の特性を活かしたブランド力の向上を目指すべきです。国際市場での差別化を図るため、レバノン産オリーブオイルの品質向上や認証制度の普及も効果的です。

さらに、気候変動への対応も喫緊の課題といえます。これは、灌漑技術の向上だけでなく、気候変動に強い品種の導入や自然災害に対する保険制度の拡充を検討する必要があるということです。地域衝突リスクに対しては、地域農業協力の枠組みを強化することで、食品安全保障および輸出入のバランスを改善できます。

まとめると、レバノンにおけるオリーブ産業は長い歴史を持ち、地理的・文化的背景と密接に関係しています。その一方で、生産量の変化は、気候変動や経済危機、国際市場の変動など多様な要因に左右されています。農業技術や政策の整備、国際市場における競争力の向上を通じて、継続的な発展と強い経済基盤の構築を目指すことが求められます。