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マルタのオリーブ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した2024年7月時点のデータによれば、マルタのオリーブ生産量は、1960年代から1980年代にかけて比較的安定していましたが、1990年代後半には急激に減少しました。その後、2010年以降では再び生産量が増加に転じ、2015年には90トンと過去最高を記録しました。しかし、近年は再び減少傾向を示しており、2021年と2022年は20トンとなっています。この変動には、気候変動や国内農業政策、自然災害の影響が関与していると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 20
2021年 20
2019年 30
2017年 60
2016年 30
2015年 90
2014年 60
2013年 46
2012年 33
2011年 25
2010年 14
2009年 5
2008年 6
2007年 6
2006年 5
2005年 3
2004年 3
2003年 3
2002年 3
2001年 1
2000年 3
1999年 4
1998年 2
1997年 9
1996年 10
1995年 10
1994年 8
1993年 10
1992年 15
1991年 13
1990年 16
1989年 15
1988年 18
1987年 21
1986年 20
1985年 20
1984年 20
1983年 21
1982年 20
1981年 14
1980年 15
1979年 17
1978年 17
1977年 23
1976年 18
1975年 19
1974年 21
1973年 11
1972年 8
1971年 19
1970年 11
1969年 17
1968年 18
1967年 17
1966年 18
1965年 19
1964年 20
1963年 17
1962年 16
1961年 15

マルタのオリーブ生産の推移は、非常に変動が激しい特徴があります。1960年代から1980年代にかけて、生産量は主に15~20トンの範囲で推移し、比較的安定した状況が見られました。この安定期には、伝統的な農業手法が主に維持され、オリーブ生産が地域の小規模農家によって支えられていたことが背景にあります。しかし、1990年代に入ると生産量が急激に減少し、1998年にはわずか2トンにまで落ち込みました。この減少の主な要因として、経済的要素の変化、農業従事者の減少、都市化の進展が挙げられます。

2000年代初頭の低迷期を経た後、2010年以降には生産量が顕著に回復し始め、2015年には90トンまで上昇しました。この急回復は、気候条件の一時的な好転や、オリーブ栽培に対する政策的支援が寄与した結果と考えられます。また、農業における現代的な技術の導入や、地域の特産品としてのオリーブ需要の高まりも要因のひとつといえるでしょう。しかし、それ以降の年では再び生産量が減少傾向をたどり、2021年および2022年には20トンに落ち着いています。これは、気候変動による干ばつや異常気象、気温の変動などが起因している可能性が高く、オリーブ生産に深刻な影響を与えています。

マルタの地政学的背景に目を向けると、同地域は地中海性気候に属することからオリーブ栽培に適した環境を持っています。しかし、同時に地中海地域全体で進行している気候変動の影響を強く受けやすい地理的条件も抱えています。降水量の減少、土壌の劣化、および農業従事者の高齢化が、今後のオリーブ生産にさらに深刻な課題として表れる可能性があります。また、マルタ規模の小さな農業システムでは、市場競争力が限定的になるため、輸入品に押されて地元産業が弱体化するリスクがあります。

こうした背景を踏まえると、オリーブ生産の持続可能性を確保するためいくつかの方向性が考えられます。一つは、耐干ばつ性の高い品種の導入や、効率的な灌漑システムの開発です。これにより、異常気象に対しても収穫量を安定化させることが可能となります。また、農家への技術支援プログラムや補助金を通じ、若年層の農業参加を奨励する政策も重要です。さらに、マルタのオリーブオイルを特産品としてブランド化し高付加価値商品として市場に展開することで、輸入品との競争力を高めることが期待されます。

結論として、マルタのオリーブ生産は長期にわたって気候や政策、需要変化などのさまざまな要因による影響を受けてきました。今後は地球温暖化への適応を視野に入れつつ、生産性と収益性の向上を目標にした包括的な政策が必要です。地域間協力も重要なカギとなり、地中海地域全体で経験や技術を共有する仕組みづくりが、これ以上の生産量低下を防ぎ、産業の将来への安定を確保するための重要な一歩となるでしょう。