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ウズベキスタンのオリーブ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ウズベキスタンのオリーブ生産量は長期的にみれば緩やかな増加傾向が見られます。1990年代の低水準を経て、生産量は2000年代初頭から徐々に安定化し、2022年には120トンに到達しました。特に2000年代以降、年間生産量はおおむね100トン以上を維持しており、持続的な成長を裏付けるデータとなっています。

年度 生産量(トン)
2022年 120
2021年 119
2020年 118
2019年 119
2018年 116
2017年 113
2016年 114
2015年 123
2014年 120
2013年 100
2012年 110
2011年 111
2010年 120
2009年 111
2008年 110
2007年 109
2006年 108
2005年 107
2004年 104
2003年 100
2002年 97
2001年 80
2000年 108
1999年 135
1998年 100
1997年 90
1996年 80
1995年 82
1994年 70
1993年 80
1992年 90

ウズベキスタンのオリーブ生産量推移からは、この国が農業部門において徐々にオリーブの生産を現地の気候条件や市場需要と合わせる努力を重ねてきた様子がうかがえます。特に1990年代、オリーブ生産量は90トン前後と低調でしたが、1998年には100トンの大台に到達し、その後も緩やかな成長を続けました。2009年から2022年にかけては基本的に110トン以上を維持しており、近年では120トン前後で推移しています。

こうしたデータからは、ウズベキスタンのオリーブ生産が成長基調であることが伺えますが、それでも地中海諸国(例えば世界最大の生産国であるスペイン)などと比較すると、その規模は極めて小さいと言えます。スペインでは年間生産量が数百万トンに達する一方で、ウズベキスタンの生産量はその0.01%以下に過ぎません。なお、日本のオリーブ生産は直接競合する市場ではないものの、小豆島など一部地域で手作り規模の生産が行われており、こちらもまた限定的な生産規模となっています。

ウズベキスタンがオリーブ産業をさらに拡大するためには、いくつかの課題が指摘されます。一つは、気候変動への対応です。オリーブは主に温暖で乾燥した気候を好む作物であり、近年の気象変動はウズベキスタンの農業全般に影響を及ぼしている可能性があります。もう一つは、灌漑インフラの維持と効率化です。同国は内陸で乾燥地が多く、農業には水資源が欠かせません。オリーブ栽培を拡大するには、効率的な水利用技術や新しい灌漑システムの導入が必要です。

また地政学的にみると、ウズベキスタンは中央アジアの内陸国であり、他国へオリーブを輸出するためのインフラも重要です。そのため、関係国(例えばロシアや中国など近隣諸国)との物流協定や関税面での協力を進めることも、オリーブ産業の成長に寄与するでしょう。

さらに、国際市場での競争力を高めるためには、加工技術の向上と付加価値の創出が求められます。オリーブオイルのような高付加価値製品への転換やブランド化戦略が成功すれば、国内消費や輸出のいずれにおいても市場規模を拡大できる可能性があります。

結論として、ウズベキスタンのオリーブ生産は安定した成長を見せているものの、他国と比較した場合にはまだ規模が小さく、課題も多く残されています。今後は灌漑システムの改善、気候変動への適応策、物流インフラと国際的な協力枠組みの形成、さらに付加価値製品への移行などを順次実施することで、生産拡大と産業の競争力向上が期待できます。地元農民の生活改善や地域経済の底上げにもつながる点から、オリーブ産業の発展は重要な意義を持つ分野となるでしょう。