国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ホンジュラスのキュウリ類生産量は1990年以降、激しい変動を経ながら推移してきました。1990年代前半には急激な増加を見せた一方で、2000年代にかけて一時的に停滞しました。その後、2001年からの大幅な増産を経て再びピークを迎えましたが、2020年以降は減少傾向が見られます。このような波を伴う生産量の推移は、気候、経済構造、政策の影響を受けた結果と考えられます。
ホンジュラスのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 40,743 |
-8.06% ↓
|
2022年 | 44,314 |
-1.53% ↓
|
2021年 | 45,000 |
-4.26% ↓
|
2020年 | 47,000 |
17.5% ↑
|
2019年 | 40,000 |
4.09% ↑
|
2018年 | 38,428 |
7.26% ↑
|
2017年 | 35,827 |
9.81% ↑
|
2016年 | 32,627 |
0.74% ↑
|
2015年 | 32,387 |
10.66% ↑
|
2014年 | 29,267 |
-56.9% ↓
|
2013年 | 67,900 |
3.28% ↑
|
2012年 | 65,742 |
2.68% ↑
|
2011年 | 64,027 |
-2.66% ↓
|
2010年 | 65,774 |
0.05% ↑
|
2009年 | 65,742 |
-4.11% ↓
|
2008年 | 68,558 |
9% ↑
|
2007年 | 62,897 |
-7.5% ↓
|
2006年 | 68,000 |
-7.29% ↓
|
2005年 | 73,345 |
6.94% ↑
|
2004年 | 68,587 |
4.94% ↑
|
2003年 | 65,357 |
6.5% ↑
|
2002年 | 61,369 |
4.02% ↑
|
2001年 | 59,000 |
136% ↑
|
2000年 | 25,000 |
-1.96% ↓
|
1999年 | 25,500 |
2% ↑
|
1998年 | 25,000 | - |
1997年 | 25,000 |
-1.96% ↓
|
1996年 | 25,500 |
2% ↑
|
1995年 | 25,000 |
-1.96% ↓
|
1994年 | 25,500 |
0.19% ↑
|
1993年 | 25,452 |
190.55% ↑
|
1992年 | 8,760 |
10.05% ↑
|
1991年 | 7,960 |
0.38% ↑
|
1990年 | 7,930 | - |
ホンジュラスのキュウリ類生産量の推移を細かく見ると、1990年から2023年までの間にいくつかの明確なトレンドが浮き彫りになります。1990年から1992年までの生産量は約8,000トンと比較的低めで、国内消費および地域輸出に制限されていた可能性があります。ただし1993年以降に25,000トンを大きく超える急激な上昇が見られ、1990年代後半を通じて25,000トンプラスマイナス500トンの範囲で安定しました。この拡大の背景には、技術革新や農業投資の増加、あるいは地域需要の高まりがあったと考えられます。
2001年は、約59,000トンという劇的な増産を記録し、2005年にはさらに73,345トンへと拡大しました。この時期に関しては、輸出政策の推進や、中米諸国との貿易協定強化が大きな要因となったと言われています。一方で2006年から2013年にかけては再び65,000トン前後で推移し、安定性が見られました。ただし、2014年には29,267トンへ急落しており、これは気候変動や輸出市場の変動、新しい競争構造による影響があった可能性があります。
2015年以降は再び回復傾向を示し、2020年には47,000トンまで上昇しましたが、その後2021年以降は減少に転じ、2023年は40,743トンに落ち込んでいます。この近年の減少トレンドには、気候変動による干ばつや洪水の影響、新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーンの混乱が関連していることが推察されます。
ホンジュラスは小規模農業が多く、キュウリ類の生産は依然として天候や労働力の状況に大きく左右されています。同国では、気候変動への対応として耐性の高い種子の採用や灌漑設備の整備が進められていますが、完全な普及には至っていない現状が示されています。また、現地市場だけでなく国際市場へのアクセスを安定させるため、輸出ルートの多様化や物流の効率化が課題となっています。
世界の他の国々と比較すると、例えばキュウリ類の主要生産国である中国では、技術と規模に基づく生産性の劇的な向上が見られます。一方、ホンジュラスのような中小規模の農業主体国では、生産設備の質や外部資金援助の不足が大きな課題です。特に経済的支援の少なさが、持続可能な農業発展を阻害している要因と言えるでしょう。
今後の課題としては、まず持続可能な農法の導入が挙げられます。これには、生態系の保護とコスト削減を両立させた生産技術の採用が含まれます。さらに、地域協力の促進と輸出市場拡大を進めることで、国際競争力を高めることも重要です。また、気候変動の影響を最小限に抑えるため、国際的な協力による気候適応型農業プロジェクトへの参加が求められます。
データが示すように、ホンジュラスのキュウリ類生産量の変動は、国内外の複雑な要素が絡み合った結果です。これらの課題を解決するためには、農業分野における革新と制度改革が必須です。国連や地域の開発機関と連携し、多国間での支援体制を確立することで、将来的に生産量の安定化および拡大を目指すことが求められます。