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インドのブドウ生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、インドのブドウ生産量は着実な成長を遂げており、2023年には374万トンとなりました。インドは1960年代から一貫して生産量を拡大しており、とりわけ1990年代以降の増加が顕著です。このデータは、地域の農業発展や輸出産業の成長可能性を示唆しており、温暖な気候とともに技術革新や市場ニーズに対応した農業政策がその背景に挙げられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,740,000
9.97% ↑
2022年 3,401,000
1.28% ↑
2021年 3,358,000
5.56% ↑
2020年 3,181,000
4.6% ↑
2019年 3,041,000
4.14% ↑
2018年 2,920,000
-0.07% ↓
2017年 2,922,000
12.82% ↑
2016年 2,590,000
-0.46% ↓
2015年 2,602,000
0.64% ↑
2014年 2,585,340
4.12% ↑
2013年 2,483,000
11.8% ↑
2012年 2,221,000
79.84% ↑
2011年 1,235,000
40.23% ↑
2010年 880,700
-53.1% ↓
2009年 1,878,000
8.24% ↑
2008年 1,735,000
2.95% ↑
2007年 1,685,300
2.16% ↑
2006年 1,649,600
5.43% ↑
2005年 1,564,700
6.1% ↑
2004年 1,474,800
18.19% ↑
2003年 1,247,800
5.37% ↑
2002年 1,184,200
11.72% ↑
2001年 1,060,000
-6.19% ↓
2000年 1,130,000
4.34% ↑
1999年 1,083,000
11.65% ↑
1998年 970,000
19.75% ↑
1997年 810,000
1.25% ↑
1996年 800,000
14.29% ↑
1995年 700,000 -
1994年 700,000 -
1993年 700,000
7.17% ↑
1992年 653,163
58.33% ↑
1991年 412,530
1.07% ↑
1990年 408,170
8.98% ↑
1989年 374,535
-10.02% ↓
1988年 416,253
65.81% ↑
1987年 251,035
-3.45% ↓
1986年 260,000
-5.68% ↓
1985年 275,660
1.95% ↑
1984年 270,390
14.08% ↑
1983年 237,020
-5.19% ↓
1982年 250,000
20.19% ↑
1981年 208,000
6.2% ↑
1980年 195,850
7.52% ↑
1979年 182,160
9.73% ↑
1978年 166,000
10.2% ↑
1977年 150,630
57.89% ↑
1976年 95,400
0.42% ↑
1975年 95,000
5.56% ↑
1974年 90,000
-35.71% ↓
1973年 140,000
1.45% ↑
1972年 138,000
2.22% ↑
1971年 135,000
3.85% ↑
1970年 130,000
4% ↑
1969年 125,000
4.17% ↑
1968年 120,000
4.35% ↑
1967年 115,000
4.55% ↑
1966年 110,000
10% ↑
1965年 100,000
11.11% ↑
1964年 90,000
12.5% ↑
1963年 80,000
6.67% ↑
1962年 75,000
7.14% ↑
1961年 70,000 -

インドのブドウ生産量は、1961年には7万トンからスタートし、以降安定的に増加してきました。特に1990年代以降は大幅な伸びを示しており、2023年には374万トンに到達しました。この大きな増加の背景には、農業技術の進化、灌漑システムの改善、そして国内外の需要の高まりが大きく関与しています。ブドウはインド国内の消費のほか、ワイン産業やドライフルーツとしての輸出向け需要も担っています。

1960年代から1970年代にかけての生産量は比較的穏やかな増加を示しましたが、1974年に大きな減少が生じ、生産量が急激に低下しました。この減少は、おそらく天候不順や輸送インフラの未整備、あるいは政策的な支援不足に起因していると考えられます。その後、適切な農業政策や技術導入を通じて生産量は回復し、1977年以降急速な回復を見せました。

また、1990年代から2000年代の初頭にかけては、農業政策の転換に加え、インド国内市場だけでなく国際市場の需要にも対応できるような大規模生産体制が構築されました。この時期にインドが推進したグリーンレボリューションや、灌漑・肥料施策への投資が、この飛躍的な成長に寄与しました。特に1992年から1993年にかけては、ブドウ生産量が65万トンから70万トンへ急増し、その後も安定成長を続けています。

近年では、2012年以降急速な増加が再度見られ、2023年には374万トンを記録しました。この成長は、主として農業技術のイノベーションや栽培面積の増加、輸出市場の拡大によるものです。特に2012年から2013年の間、約250万トンから大幅に増加しており、この時期、インドの自由貿易政策の展開や農作物輸出の拡充が進んでいた点と密接に関連しています。また、2020年以降のコロナ禍の中でも、輸出の停滞を克服しつつ生産量の伸びを維持している点も注目に値します。

インドのブドウ生産の成功例は、他の作物や地域にも適用可能ですが、いくつか課題も抱えています。例えば、現在の生産量の多くは先進的な農業技術や大規模生産を行える農家によるものであり、小規模農家への支援が不十分との指摘があります。また、気候変動による降水量の不安定化や高温化などがブドウの品質や生産量に影響を及ぼすリスクも懸念されています。さらに、輸出市場で競争力を維持するため、輸送インフラの一層の整備や品質管理基準の向上も必要となるでしょう。

これらの課題に対応するためには、適切な政策的サポートが求められます。例えば、小規模農家への支援として、栽培技術や資材の共有を進める協同組合の形成や、灌漑・気象リスク管理への補助金支給が効果的と考えられます。また、環境に配慮しながら持続可能な生産を進めるための施策、例えば有機農業の奨励や高温耐性を持つ品種の開発と導入も重要です。

さらに、気候変動対策として、水資源管理の改善や気象予測システムの導入を促進するとともに、災害リスクを考慮した保険制度の充実が求められます。また、国際貿易においては、ブドウの輸送中に発生する損失を減らすための低温管理物流(コールドチェーン)システムの整備が急務です。

結論として、インドのブドウ生産量は過去数十年で著しい成長を遂げ、農業政策の成功の一例といえます。しかし、今後も気候変動や国際市場の競争、地域間の格差といった課題に対応するためには、さらなる政策改善と協力体制が必要です。インドはこれらの取り組みを強化することで、国内外における持続可能な発展を実現することが期待されます。