インドのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移（1961年～2023年）

Food and Agriculture Organization（国際連合食糧農業機関）が発表した最新データによると、インドにおけるマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量は、1961年の6,988,000トンから2023年の26,236,000トンへ、約3.8倍の増加を記録しています。特に2010年代以降の成長率が高く、2017年以降は生産量が20,000,000トンを超えています。近年の顕著な生産量の伸びは、農業技術の発展や政策支援の強化が重要な要因と考えられます。

インドはマンゴー、マンゴスチン、グアバの世界最大の生産国の一つであり、これらの果実は国内消費のみならず、主要な輸出品目としても重要な役割を果たしています。この統計データを分析すると、1960年代から2000年代序盤までは、やや穏やかな増加が見られ、特に1970年代には年間生産量の伸びが数十万トンにとどまる年もありました。しかし、2000年代後半以降の生産量には急激な伸びが見られます。2003年の12,733,200トンから2013年の18,002,000トンまで、10年間で約41％増加し、2017年には初めて年間23,332,000トンに達しました。

このような生産量の増加には、農業の近代化や植樹の拡大、灌漑技術の向上など、インド政府が推進した農業政策が重要な役割を果たしています。また、インドの気候条件はこれらの果物の栽培に非常に適しているため、自然条件と政策の相乗効果が見られます。とりわけ最近10年のデータからは、生産性の飛躍的向上が顕著であり、これは高収量の栽培品種導入や害虫対策技術の向上、肥料の適切な使用が影響を与えていると考えられます。

一方で、生産量の安定性には課題も見られます。例えば1988年や1998年、2020年といった年では生産量が一時的に減少しており、これらはおそらく天候不順や病害、自然災害、さらにはCOVID-19のパンデミックのような社会的影響によるものと思われます。インドにおける農業従事者の大半が小規模農家であるため、気候変動や価格変動の影響を受けやすいという地政学的リスクが残る状況です。

今後の課題として、持続可能な農業技術の拡充と地域格差の解消が挙げられます。生産増加が特定地域に偏っていますが、これを全国的に広げることでさらなる供給の安定化が見込めます。具体的には、スマート農業と呼ばれるデジタル技術を活用した生産効率の向上、病害虫監視システムの導入、多様な灌漑手法の開発が有効です。また、国際市場での競争力を高めるためには、輸出インフラの整備や供給チェーンの強化も不可欠です。

さらに、地球温暖化というグローバルな課題が、これら作物の生産に及ぼす影響を無視することはできません。旱魃や洪水の頻発が予想される中で、農作物の遺伝的多様性の保護と、耐候性品種の開発には国際的な協力が求められます。また、気候変動が進む中で、マンゴーとグアバの生産拠点が一定地域に集中していることはリスクとなり得るため、これらの果樹栽培を新たな地域に広げる必要性も視野に入れるべきです。

結論として、インドのマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量は過去60年間で顕著な成長を遂げており、今後も農業技術と政策の進展によってさらなる向上が期待されます。しかし、一部の気候的・社会的リスクを克服するためには、国際連携および国内政策の両面で、持続可能な生産拡大の仕組みを構築することが重要です。この取り組みによって、インドはこれらの果実の圧倒的な生産国として、その地位をさらに強固なものとすることができるでしょう。