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インドの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、インドの鶏卵生産量は着実に増加しており、1961年の170,000トンから2023年には7,853,223トンに達しました。特に近年では2018年から2023年にかけて約50%以上の急速な増加を記録しています。この増加は、生産技術やインフラの発展、需要の高まりに支えられており、インドの畜産業全体の発展傾向を示しています。一方で、2021年や2022年に一時的な減少が見られ、新型コロナウイルスの影響や地域的な課題もその背景にあると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 7,853,223
19.51% ↑
2022年 6,571,249
-2.07% ↓
2021年 6,710,000
-0.04% ↓
2020年 6,712,675
6.7% ↑
2019年 6,291,071
20.13% ↑
2018年 5,236,935
8.03% ↑
2017年 4,847,500
6.28% ↑
2016年 4,561,000
5.66% ↑
2015年 4,316,620
4.99% ↑
2014年 4,111,360
7.2% ↑
2013年 3,835,205
4.93% ↑
2012年 3,655,000
5.44% ↑
2011年 3,466,340
2.61% ↑
2010年 3,378,100
4.59% ↑
2009年 3,230,000
6.01% ↑
2008年 3,047,000
3.39% ↑
2007年 2,947,000
4.73% ↑
2006年 2,814,000
9.58% ↑
2005年 2,568,000
2.27% ↑
2004年 2,511,000
11.9% ↑
2003年 2,244,000
1.45% ↑
2002年 2,212,000
2.84% ↑
2001年 2,151,000
5.7% ↑
2000年 2,035,000
20.34% ↑
1999年 1,691,000
3.3% ↑
1998年 1,637,000
2.96% ↑
1997年 1,590,000
4.13% ↑
1996年 1,527,000
2.07% ↑
1995年 1,496,000
4.69% ↑
1994年 1,429,000
7.52% ↑
1993年 1,329,000
5.31% ↑
1992年 1,262,000
4.3% ↑
1991年 1,210,000
4.22% ↑
1990年 1,161,000
4.5% ↑
1989年 1,111,000
6.42% ↑
1988年 1,044,000
6.64% ↑
1987年 979,000
2.84% ↑
1986年 952,000
7.33% ↑
1985年 887,000
12.71% ↑
1984年 787,000
11.79% ↑
1983年 704,000
11.75% ↑
1982年 630,000
5.35% ↑
1981年 598,000
2.57% ↑
1980年 583,000
11.26% ↑
1979年 524,000
-1.69% ↓
1978年 533,000
0.57% ↑
1977年 530,000
6.64% ↑
1976年 497,000
8.04% ↑
1975年 460,000
12.2% ↑
1974年 410,000
2.5% ↑
1973年 400,000
14.94% ↑
1972年 348,000
12.99% ↑
1971年 308,000
6.21% ↑
1970年 290,000
5.84% ↑
1969年 274,000
7.45% ↑
1968年 255,000
6.25% ↑
1967年 240,000
11.11% ↑
1966年 216,000
4.35% ↑
1965年 207,000
10.7% ↑
1964年 187,000 -
1963年 187,000
1.08% ↑
1962年 185,000
8.82% ↑
1961年 170,000 -

インドの鶏卵生産量は、この60年以上の期間を通じて継続的に伸びており、特に2000年代以降、生産量の増加ペースが大幅に加速しました。1961年当初の170,000トンという数値から、2023年にはおよそ46倍となる7,853,223トンにまで達しており、これは世界最大級の鶏卵生産国としての存在感を示す結果となっています。この急速な成長は、インド国内での食料確保や栄養改善を目的とした農業政策の改善、家禽産業への投資の増加、生産技術の進展が大きな要因と考えられます。

特に2010年以降の生産量は顕著な伸びを見せており、都市化の進行と中所得層の増加に伴う鶏卵需要の拡大が裏付けられます。また、インド政府による「全国鶏卵計画」や「白色革命」といった政策が、安定的な供給と農家支援に寄与しました。一方で、2021年や2022年には生産量が一部減少しており、これは新型コロナウイルス感染症の流行やサプライチェーンの混乱、餌のコスト上昇などの影響によるものと考えられます。この時期の停滞は、国家的規模でのリスク管理やインフラ整備の重要性を浮き彫りにしています。

他国との比較では、インドは中国、アメリカなどと並び、世界最大級の鶏卵生産国の一つとして位置づけられています。しかし、中国がすでに1980年代から急激な生産量の増大を記録したのに対して、インドは次第に生産量を増加させ、近年でようやく中国との差を詰めつつあります。これにはインフラや技術の導入スピードの差が大きな影響を与えてきたと言えます。また、日本では農地の限界や消費量の安定から大規模な増加は見られず、韓国やヨーロッパ諸国でも比較的横ばいの生産量となっており、インドの成長のダイナミズムは際立つものがあります。

こうした進展がある一方で、インドの鶏卵生産量の増加に伴う環境負荷、小規模農家の競争力維持問題、国内物流の課題などが浮彫りになっています。鶏卵の大量生産は、飼料作物の集中的な利用や廃棄物の処理問題を引き起こす可能性があり、この点での技術革新が求められています。また、生産の集中する特定地域では、地域間格差が広がる危険性も指摘されています。これを解決するために、インド国内では小規模農家がアクセス可能な補助金政策や、地方のインフラを整備していくことが重要です。

さらに、地政学的リスクにも対策が必要です。特にインドでは、鶏卵用飼料の輸入や国際価格への依存度が高いため、食料安全保障の観点でも海外市場の安定性や輸送ルートの確保が求められます。これらのリスクを軽減するためには、国内資源の自立的確保や地域間協力の促進が挙げられます。

結論として、インドの鶏卵生産量の推移は、同国の経済・農業政策、栄養政策の成功を象徴しています。今後は環境負荷への配慮や小規模農家の支援、サプライチェーンの安定性確保を通じて、持続可能な成長を目指すべきです。国際的な視点では、地域間協力枠組みを通じて、豚インフルエンザや新型コロナのような疫病リスクへの対策を進めることも重要となるでしょう。