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インドのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に公表した最新データによると、インドのジャガイモ生産量は近年大幅に増加しています。1961年に約271.9万トンであった生産量は、2022年には約5617.6万トンに達しました。この60年間でおよそ20倍以上の増加を記録し、インドは世界屈指のジャガイモ生産国としての地位を確立しています。特に近年では、2010年代以降に急激な成長を遂げています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 60,142,000
7.06% ↑
2022年 56,176,000
3.59% ↑
2021年 54,230,000
11.67% ↑
2020年 48,562,000
-3.24% ↓
2019年 50,190,000
-2.18% ↓
2018年 51,310,000
5.57% ↑
2017年 48,605,000
11.95% ↑
2016年 43,417,000
-9.56% ↓
2015年 48,009,000
3.48% ↑
2014年 46,395,000
2.32% ↑
2013年 45,343,600
9.31% ↑
2012年 41,483,000
-2.02% ↓
2011年 42,339,400
15.75% ↑
2010年 36,577,300
6.36% ↑
2009年 34,390,900
-0.77% ↓
2008年 34,658,000
21.18% ↑
2007年 28,599,600
-1.97% ↓
2006年 29,174,600
1.34% ↑
2005年 28,787,700
3.09% ↑
2004年 27,925,800
20.57% ↑
2003年 23,161,400
-5.29% ↓
2002年 24,456,100
9.95% ↑
2001年 22,242,700
-11.03% ↓
2000年 25,000,100
11.14% ↑
1999年 22,494,700
27.43% ↑
1998年 17,652,300
-27.1% ↓
1997年 24,215,900
28.51% ↑
1996年 18,843,300
8.29% ↑
1995年 17,401,300
0.05% ↑
1994年 17,392,400
-5.88% ↓
1993年 18,479,000
1.56% ↑
1992年 18,195,000
19.66% ↑
1991年 15,205,600
2.94% ↑
1990年 14,770,800
-0.58% ↓
1989年 14,857,000
5.77% ↑
1988年 14,046,000
10.25% ↑
1987年 12,740,300
22.23% ↑
1986年 10,422,800
-17.09% ↓
1985年 12,570,600
3.45% ↑
1984年 12,151,800
22.06% ↑
1983年 9,956,000
0.45% ↑
1982年 9,911,800
2.5% ↑
1981年 9,670,000
16.13% ↑
1980年 8,326,600
-17.83% ↓
1979年 10,133,000
24.55% ↑
1978年 8,135,400
13.45% ↑
1977年 7,170,700
-1.85% ↓
1976年 7,306,000
17.36% ↑
1975年 6,225,400
28.07% ↑
1974年 4,861,100
9.21% ↑
1973年 4,451,000
-7.76% ↓
1972年 4,825,500
0.38% ↑
1971年 4,807,200
22.86% ↑
1970年 3,912,600
-17.2% ↓
1969年 4,725,500
11.65% ↑
1968年 4,232,300
20.18% ↑
1967年 3,521,500
-13.6% ↓
1966年 4,076,000
13.07% ↑
1965年 3,605,000
39.03% ↑
1964年 2,593,000
-22.94% ↓
1963年 3,365,000
37.52% ↑
1962年 2,447,000
-10% ↓
1961年 2,719,000 -

インドのジャガイモ生産量は1961年に271.9万トンだったのに対し、2022年には5617.6万トンとなり、約20.7倍に急増しました。この成長は、複数の要因によるものです。まず、人口増加に伴う国内需要の拡大が挙げられます。インドではジャガイモが主要な食材の一つとして広く消費されており、人口13億を超える国の需要を満たすため、生産量も年々増加してきました。また、政府の農業投資や技術革新も寄与しています。例えば、灌漑(かんがい)技術の導入や品種改良が進むことで、収量が向上しました。

生産量の増加局面で特に注目すべきは、1980年代から1990年代にかけての成長です。この時期には、経済改革や農業支援政策が進められ、1984年の1215.2万トンから1997年の2421.5万トンへと倍増しました。また、2010年代に入ると、特に2011年以降で生産量は再び急伸し、2021年には5423万トン、2022年には5617.6万トンを記録しています。これにより、インドは世界的なジャガイモ輸出市場にも参入し始めています。

一方で、この増加に伴う課題も存在します。まず、気候変動や水不足が生産量への影響を与える可能性が高い点が挙げられます。ジャガイモ栽培には適切な気温と水量が不可欠であり、異常気象や地球温暖化の影響は今後の生産性に大きなリスクをもたらします。2020年の生産量が4856.2万トンと一時的に減少したことは、パンデミックや異常気象の影響が考えられ、これらの問題が現実の脅威であることを示しています。

さらに、インフラの未整備も深刻な課題です。インドでは冷蔵倉庫や流通ネットワークが不十分であるため、収穫後の損失が多く発生しています。これは特に貧しい農村地域で顕著であり、農家にとっての経済的損失にもつながっています。地域間での生産性にばらつきがあり、特定州への過度な依存もリスクになり得ます。

未来の対策として、まず第一に、灌漑インフラや冷蔵設備の整備など、農業支援の充実が必要です。これにより収穫後のロスを抑え、生産効率を向上させることが期待されます。また、気候リスクに対応するための気候に強いジャガイモ品種の開発や栽培技術の普及も重要です。さらに、デジタル技術を利用した市場情報の共有や流通の効率化も、収益を増加させる手段となるでしょう。

地政学的な観点からは、インドがジャガイモ輸出を拡大する際、中国やヨーロッパ諸国との競争が激化すると予測されます。これに加え、バングラデシュやネパールといった周辺国を対象とした地域的な協力フレームワークの構築も課題となっています。こうした協力体制により、経済的利益を高めつつ、地域的な安定も目指すべきです。

結論として、インドのジャガイモ生産は近年驚異的な成長を遂げていますが、その背後には多くの課題が隠されています。国内需要の安定供給と輸出市場での競争を見据えた政策を進めることが重要です。政府や国際機関は、農業インフラの整備だけでなく、地域間格差を埋める取り組みや気候変動への対応を優先的に進めることで、持続可能で強靭な生産体制を整える必要があります。