国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ヨルダンのオクラ生産量は、1969年から2023年までに大きな変動を経験しています。特に、2002年の15,490トンでのピークや、2020年の3,827トンに見られる減少傾向など、生産量には長期的な波が見られます。2023年の生産量は6,054トンであり、近年の傾向として中程度の水準が保たれています。この推移には農業政策、気候条件、地政学的影響が絡んでいることが考えられます。
ヨルダンのオクラ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 6,054 |
-23.64% ↓
|
2022年 | 7,928 |
-2.44% ↓
|
2021年 | 8,127 |
112.36% ↑
|
2020年 | 3,827 |
-26.57% ↓
|
2019年 | 5,212 |
-59.4% ↓
|
2018年 | 12,837 |
140.39% ↑
|
2017年 | 5,340 |
-15.22% ↓
|
2016年 | 6,299 |
3.26% ↑
|
2015年 | 6,100 |
44.41% ↑
|
2014年 | 4,224 |
-51.79% ↓
|
2013年 | 8,762 |
49.65% ↑
|
2012年 | 5,855 |
-32.08% ↓
|
2011年 | 8,620 |
26.5% ↑
|
2010年 | 6,814 |
10.19% ↑
|
2009年 | 6,184 |
11.42% ↑
|
2008年 | 5,550 |
-1.8% ↓
|
2007年 | 5,652 |
31.32% ↑
|
2006年 | 4,304 |
-39.91% ↓
|
2005年 | 7,163 |
-17.35% ↓
|
2004年 | 8,667 |
37.33% ↑
|
2003年 | 6,311 |
-59.26% ↓
|
2002年 | 15,490 |
199.96% ↑
|
2001年 | 5,164 |
-12.01% ↓
|
2000年 | 5,869 |
199.13% ↑
|
1999年 | 1,962 |
-27.25% ↓
|
1998年 | 2,697 |
-5.1% ↓
|
1997年 | 2,842 |
35.66% ↑
|
1996年 | 2,095 |
-21.97% ↓
|
1995年 | 2,685 |
200.34% ↑
|
1994年 | 894 |
-75.97% ↓
|
1993年 | 3,720 |
107.94% ↑
|
1992年 | 1,789 |
60.88% ↑
|
1991年 | 1,112 |
-10.54% ↓
|
1990年 | 1,243 |
51.22% ↑
|
1989年 | 822 |
-28.21% ↓
|
1988年 | 1,145 |
10.84% ↑
|
1987年 | 1,033 |
-9.47% ↓
|
1986年 | 1,141 |
-62.16% ↓
|
1985年 | 3,015 |
41.15% ↑
|
1984年 | 2,136 |
-2.91% ↓
|
1983年 | 2,200 |
-22.73% ↓
|
1982年 | 2,847 |
1.46% ↑
|
1981年 | 2,806 |
-37.96% ↓
|
1980年 | 4,523 |
183.4% ↑
|
1979年 | 1,596 |
180.99% ↑
|
1978年 | 568 |
-92.54% ↓
|
1977年 | 7,614 |
453.34% ↑
|
1976年 | 1,376 |
-70.5% ↓
|
1975年 | 4,665 |
119.63% ↑
|
1974年 | 2,124 |
510.34% ↑
|
1973年 | 348 |
-60.05% ↓
|
1972年 | 871 |
444.38% ↑
|
1971年 | 160 |
-68% ↓
|
1970年 | 500 |
45.77% ↑
|
1969年 | 343 | - |
1969年から2023年にわたるデータを分析すると、ヨルダンのオクラ生産量は大きな上下を繰り返しながら推移してきました。この変動は、多くの要因が相互に影響し合った結果と考えられます。初期の1969年では343トンという小規模な生産量からスタートし、1975年の4,665トンや1977年の7,614トンを経て、2002年の15,490トンにおいて史上最高値を記録しています。しかし、それ以降は下降気味のトレンドも見られ、近年では2018年の12,837トンをピークとした後、2020年に3,827トンと大幅に減少しています。2023年では6,054トンとなり、やや回復傾向にあります。
この大きな変動にはいくつかの要因が関与しています。第一に、ヨルダンの気候条件が影響しています。オクラは温暖で降水量の少ない環境で成長しやすい作物ですが、気温の極端な変化や乾燥化が進むと収穫量が減少する傾向があります。さらに、ヨルダンにおける水不足の問題も重要です。この地域は先進国と比べて農業用水の確保が難しい環境にあり、降水量や地下水への依存度が高い国の一つです。
また、地政学的なリスクも影響を与えています。中東地域の政治的不安定さや周辺国との経済的な連携問題、さらには難民問題による国内資源の圧迫が、農業セクターに影響を及ぼしてきました。特にシリア危機以降、多くの難民がヨルダンに流入し、農業用地や水資源の分配に課題が生じています。これらは、オクラを含む様々な農業製品の生産へも影響しています。
さらに、これらの生産量変動の中で特筆すべきは、2020年の3,827トンへの急落です。この時期は、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが起こり、多くの国で物流や労働力の供給が停滞しました。ヨルダンでも農業セクターが影響を受け、生産量が一時的に大きく減少したと考えられます。一方で、2021年から2022年にかけて一定の回復が見られる点は、農業への政策支援や、国際市場の需要増加を反映している可能性があります。
今後の課題としては、水資源管理の改善と、気候変動への適応が挙げられます。例えば、効率的な灌漑技術の導入はこれらの問題解決に役立つでしょう。また、地域間協力の強化も重要です。ヨルダンの農業を周辺国の市場と連携させることで、長期的な持続性が期待できます。さらに、持続可能な農業を確立するために、国際的な援助や技術支援プログラムの導入も検討されるべきです。
結論として、ヨルダンのオクラ生産量の推移は、農業生産の持続性が環境的、地政学的、経済的要因に依存していることを示しています。この問題を解決するためには、国だけでなく、国際機関や近隣諸国との連携が重要となります。農業技術の開発、水資源の効率的利用、政策支援の拡充を通じて、より安定した生産基盤を築くことが今後の目標となるでしょう。