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ヨルダンのトマト生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ヨルダンのトマト生産量は長期にわたる変動を示しており、昔の1960年代後半から1980年代初頭にかけて減少、その後回復し、1990年代後半から2000年代にかけて増加傾向を見せました。特に2013年と2015年には生産量が約87万トンに達するなど、ピークを記録しています。しかし近年、2019年以降の一部の年では生産の大幅な減少が見られ、2022年には約71万6,000トンと回復基調にあるものの、過去の最高生産量には届いていません。これらのデータは、ヨルダンの農業政策や地政学的状況、気候変動といった要因が生産に大きく影響を与えてきたことを示唆しています。

年度 生産量(トン)
2022年 715,722
2021年 711,420
2020年 577,288
2019年 496,216
2018年 717,865
2017年 690,477
2016年 837,344
2015年 870,017
2014年 744,602
2013年 869,138
2012年 738,227
2011年 777,820
2010年 737,261
2009年 654,306
2008年 600,336
2007年 610,240
2006年 545,566
2005年 598,993
2004年 449,487
2003年 415,871
2002年 359,832
2001年 310,195
2000年 354,292
1999年 293,287
1998年 299,916
1997年 323,992
1996年 291,316
1995年 439,746
1994年 438,750
1993年 331,463
1992年 490,294
1991年 275,549
1990年 376,893
1989年 250,407
1988年 218,734
1987年 236,828
1986年 220,565
1985年 251,100
1984年 208,729
1983年 212,300
1982年 195,274
1981年 204,519
1980年 162,926
1979年 171,820
1978年 208,778
1977年 85,663
1976年 87,878
1975年 145,060
1974年 133,469
1973年 83,118
1972年 152,697
1971年 137,042
1970年 137,378
1969年 150,149
1968年 127,300
1967年 167,500
1966年 179,000
1965年 188,900
1964年 227,786
1963年 214,600
1962年 169,400
1961年 213,800

ヨルダンのトマト生産量は、長期的なデータから見ると国全体の農業動向や外部環境の影響を受けながら大きな変動を見せています。1961年から1972年までの初期の期間は平均約18万トンで比較的安定していましたが、1967年や1973年のように低生産量の年も記録されています。これには地政学的要因である1967年の第三次中東戦争やその後の地域的な緊張が影響を与えた可能性があります。

1970年代後半から1980年代にかけて生産量が上昇基調にあるのは、農業技術の向上や比較的安定した水資源管理によるものと考えられます。しかし、特に注目すべきは1990年以降の急増です。この時期には約37万トンから1992年には約49万トンへ急増し、以降も増加傾向が続きました。これは灌漑施設の整備や肥料の利用技術の進展、農業への政府支援政策が主因となっている可能性があります。また、中東全体の食料需要の高まりと輸出市場の拡大もこの増加を支えました。

2000年代以降は、ヨルダンの生産量は毎年50万トンを超え、2007年から2015年の間はほぼ毎年60万トン以上の生産量を記録しました。この時期は中東地域での経済成長や農業技術の高度化が背景にあると考えられます。その一方で、2017年に約69万トン、2019年に約49万6,000トンと大幅な減少が見られました。特に、この急減の背景にはヨルダンの水不足問題や天候不順が挙げられます。気候変動によって降雨量の減少が進む一方で、農業用水の競争が高まっていることが課題とされています。

新型コロナウイルスの影響が現れる2020年にはトマト生産量が一時的に回復し、2021年と2022年には約71万トン台に戻る形となりましたが、不安定な要因が依然として存在していることを忘れてはなりません。ヨルダンの一部地域では人口増加や都市化に伴う農業用地の縮小が進んでおり、水資源管理の効率化が課題となっています。

今後、ヨルダンがさらなる生産安定化を実現するためには、いくつかの具体的な対策が求められます。まず、水不足解消のための重要な措置として、海水淡水化や雨水収集技術の導入が挙げられます。これに加え、他の中東諸国と連携し、水資源の共有や農業技術協力を進めることが重要です。また、高付加価値の品種や耐熱性・耐乾性に優れた作物への切り替えも特に必要です。さらに、輸出市場の拡大も生産量の安定化に貢献できる分野です。

結論として、ヨルダンのトマト生産量推移は国内外の複数の要因に左右されながらも、近年の不安定さに対処するための新たな政策的努力が必要であることを示しています。国際機関や隣国との協議を深化させ、持続可能な農業を目指す枠組みを強化することで、ヨルダンはトマト生産において再び安定した成長を実現できると考えられます。