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ヨルダンのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ヨルダンのキュウリ類生産量は長期的な増加傾向を示しながらも、年ごとに顕著な変動を記録しています。特に1960年代末から1970年代初頭にかけて大幅に減少しましたが、その後は多くの年で増加しました。2016年には280,158トンと過去最高を記録しましたが、近年は再び減少傾向にあり、2023年には167,336トンに減少しています。このデータはヨルダンの農業生産の変遷を示す重要な指標となります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 167,336
-3.65% ↓
2022年 173,682
32.28% ↑
2021年 131,301
-7.13% ↓
2020年 141,383
-13.52% ↓
2019年 163,484
-21.49% ↓
2018年 208,226
9.11% ↑
2017年 190,847
-31.88% ↓
2016年 280,158
20.77% ↑
2015年 231,982
-16.86% ↓
2014年 279,017
61.95% ↑
2013年 172,284
10.48% ↑
2012年 155,943
-31.35% ↓
2011年 227,151
28.93% ↑
2010年 176,179
27.96% ↑
2009年 137,681
9.34% ↑
2008年 125,925
-16.53% ↓
2007年 150,866
5.73% ↑
2006年 142,690
-14.16% ↓
2005年 166,220
65.51% ↑
2004年 100,427
-0.33% ↓
2003年 100,761
-13.8% ↓
2002年 116,891
52.08% ↑
2001年 76,863
-42.17% ↓
2000年 132,918
100.44% ↑
1999年 66,313
-26.03% ↓
1998年 89,646
52.9% ↑
1997年 58,629
-20.12% ↓
1996年 73,399
14.06% ↑
1995年 64,352
84.85% ↑
1994年 34,813
-22.66% ↓
1993年 45,014
34.48% ↑
1992年 33,473
-39.5% ↓
1991年 55,326
1.81% ↑
1990年 54,341
2.36% ↑
1989年 53,087
-21.93% ↓
1988年 68,001
1.14% ↑
1987年 67,232
4.62% ↑
1986年 64,263
-6.87% ↓
1985年 69,000
64.58% ↑
1984年 41,925
-21.93% ↓
1983年 53,700
-9.8% ↓
1982年 59,537
36.24% ↑
1981年 43,700
12.93% ↑
1980年 38,695
76.28% ↑
1979年 21,951
-26.91% ↓
1978年 30,032
121.2% ↑
1977年 13,577
0.57% ↑
1976年 13,500
-36.66% ↓
1975年 21,315
21.49% ↑
1974年 17,544
68.42% ↑
1973年 10,417
-41.03% ↓
1972年 17,665
80.26% ↑
1971年 9,800
44.39% ↑
1970年 6,787
69.8% ↑
1969年 3,997
59.88% ↑
1968年 2,500
-91.13% ↓
1967年 28,200
-28.79% ↓
1966年 39,600
-34.76% ↓
1965年 60,700
-5.6% ↓
1964年 64,300
41.94% ↑
1963年 45,300
-8.54% ↓
1962年 49,530
-2.67% ↓
1961年 50,889 -

ヨルダンのキュウリ類生産量の推移は、同国の農業政策や社会経済的状況、さらに地域における地政学的要因の影響を反映しています。1960年代中盤までは安定した生産量が維持されていましたが、1967年以降、劇的な減少が見られます。この時期の大きな背景には「第三次中東戦争」などの地域衝突が挙げられます。このような紛争は農地の荒廃や労働力の減少を引き起こし、生産量が一時的に2,500トン程度にまで減るという極端な状況を生み出しました。

その後、1970年代中盤を皮切りに徐々に回復し、生産量は何度かの上下動を伴いながら安定的に増加していきました。特に2000年代に入ると、生産技術の進歩や灌漑設備の整備、政府の農業支援政策の影響もあり、生産量が大幅に拡大しました。その一例は、2005年に記録した166,220トンや2016年の280,158トンという歴史的な高水準です。しかしながら2019年以降、再び減少傾向がみられ、2023年には167,336トンというやや低い水準に留まっています。この背景には、新型コロナウイルスの流行による物流の混乱や労働力不足、さらに気候変動の影響による旱魃などの自然条件悪化が大きく作用したと考えられます。

国際的に見ると、中国やインドなどの大規模農業を展開する国に比べて、ヨルダンのキュウリ類生産量は少ない水準ですが、近隣の中東地域では依然として重要な供給国の一つです。しかし、同じ中東地域のトルコやエジプトとの競争が激化しており、輸出のシェア維持のためにはさらなる努力が必要です。

このような状況を踏まえ、ヨルダンが直面している主な課題として以下が挙げられます。一つ目は、気候変動とその影響への対応です。特に中東全域で進行中の水資源不足問題が農業生産を脅かしています。持続可能な灌漑技術の導入や、乾燥耐性の強い農作物品種への転換が必須です。二つ目は、農業労働力の安定確保です。若年層の農業離れや国内外の不安定な労働市場に対する戦略的対応が求められます。さらに三つ目として、地域や国際的な市場への輸出戦略の再構築があります。近隣国との競争において優位性を得るため、品質の向上や物流の効率化に取り組むことが重要です。

地政学的な観点からは、中東という地理的条件が露呈するリスクとして紛争リスクが挙げられます。これらが農業資源やインフラへの破壊的影響を与えるリスクは継続しています。国際機関や多国間協力を通じて、地域での和平推進が必要です。

結論として、ヨルダンのキュウリ類生産量は激しい変動と高い回復力を示してきましたが、現在の減少傾向を克服するためには持続可能な農業政策の構築が必要です。具体的には水資源の効率的管理、次世代の農業人材育成、さらに輸出の強化が鍵となります。また、FAOをはじめとした国際機関や近隣国との連携を強化し、共有する課題に取り組むことが重要です。この取り組みを通じて、ヨルダンが地域の農業生産のリーダーとしての地位をさらに強固なものにする未来を築くことが期待されます。

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