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ヨルダンのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、ヨルダンにおけるカリフラワー・ブロッコリーの生産量は、1961年の20,288トンから2023年の66,647トンまで推移しています。この62年間の間、生産量は時折増減を繰り返しながら、特に近年では2016年の92,115トンというピークや、2021年の85,576トンといった比較的高い水準を見せました。一方で、1970年代の不安定な生産量や、1990年代後半から2000年代初頭にかけての急増傾向などが見られるほか、2023年時点では生産量がやや減少傾向にあることが示されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 66,647
-17.55% ↓
2022年 80,835
-5.54% ↓
2021年 85,576
50.63% ↑
2020年 56,812
21.4% ↑
2019年 46,799
-1.74% ↓
2018年 47,630
2.54% ↑
2017年 46,449
-49.57% ↓
2016年 92,115
27.48% ↑
2015年 72,258
-7.96% ↓
2014年 78,506
18.57% ↑
2013年 66,208
66.15% ↑
2012年 39,849
-36.27% ↓
2011年 62,530
14.24% ↑
2010年 54,734
-31.86% ↓
2009年 80,320
46.09% ↑
2008年 54,978
23.6% ↑
2007年 44,480
-29.84% ↓
2006年 63,400
-16.58% ↓
2005年 75,998
-18.24% ↓
2004年 92,948
83.43% ↑
2003年 50,672
-14.21% ↓
2002年 59,062
216.65% ↑
2001年 18,652
-29.18% ↓
2000年 26,338
-45.76% ↓
1999年 48,554
1.68% ↑
1998年 47,751
76.16% ↑
1997年 27,106
10.23% ↑
1996年 24,590
-22.45% ↓
1995年 31,707
-18.3% ↓
1994年 38,808
131.97% ↑
1993年 16,730
-10.76% ↓
1992年 18,748
-18.42% ↓
1991年 22,981
-12.35% ↓
1990年 26,219
91.28% ↑
1989年 13,707
-28.61% ↓
1988年 19,201
-2.55% ↓
1987年 19,704
-19.75% ↓
1986年 24,553
-30.66% ↓
1985年 35,408
186.63% ↑
1984年 12,353
116.72% ↑
1983年 5,700
-8.92% ↓
1982年 6,258
3.25% ↑
1981年 6,061
-45.07% ↓
1980年 11,034
51.4% ↑
1979年 7,288
-55.24% ↓
1978年 16,282
661.55% ↑
1977年 2,138
-64.75% ↓
1976年 6,065
-14.37% ↓
1975年 7,083
-19% ↓
1974年 8,744
55.59% ↑
1973年 5,620
-26.1% ↓
1972年 7,605
44.31% ↑
1971年 5,270
-13.35% ↓
1970年 6,082
-47.81% ↓
1969年 11,654
76.58% ↑
1968年 6,600
-67% ↓
1967年 20,000
43.88% ↑
1966年 13,900
-46.05% ↓
1965年 25,763
7.79% ↑
1964年 23,900
39.87% ↑
1963年 17,087
-15.2% ↓
1962年 20,150
-0.68% ↓
1961年 20,288 -

ヨルダンのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移は、地政学的状況、気候変動、農業政策、及び市場需要の影響を反映したものとなっています。データを基に推測すると、生産量が大きく変動する原因には、多くの要因が交錯していることがうかがえます。

1970年代に生産量が低迷している背景には、ヨルダン周辺地域の不安定な地政学的状況が影響している可能性があります。当時は中東戦争をはじめとする各種の地域的軋轢が見られ、こうした政治的緊張は農業生産と流通チェーンに直接的なダメージを与えたと考えられます。また、この時期のヨルダンの農業は、インフラの整備が未熟であり、特に灌漑用水への依存が強かったことで、生産環境が制約を受けたと考えられます。

1980年代から1990年代にかけては、生産量がやや安定する傾向を見せています。この時期の前半では、農業への投資が拡大し、部分的に灌漑の改良や技術導入が進められました。しかし、1994年の38,808トンや1998年から1999年の生産量の急拡大(それぞれ47,751トン、48,554トン)の背景には、ヨルダン政府が自国内の食料安全保障を向上させるための政策を推進したことが挙げられます。この政策には、農家を対象とした補助金制度や農業技術の普及などが含まれていました。

2000年代以降は、さらなる増産が見られました。特に、2004年の92,948トンという記録的な生産量は、農業技術の進化や市場需要の伸びに対応した結果と考えられます。ただし、この増加も短期的なものであり、2012年以降は再び減少期を迎えます。ヨルダンのような水資源が非常に限られた国では、気候変動が乾燥化を加速させる中、農作物の安定生産には依然として課題が残っています。

その後、再び生産量は回復を見せ、2016年には92,115トンという再高潮に達しています。この成功要因には、地域的な輸出需要の拡大が関与しているようです。特にヨルダンの隣国や湾岸諸国からの需要が高まり、これを背景に農家や農業関連企業が供給体制を強化しました。しかし、2023年時点では66,647トンと減少しています。これは、新型コロナウイルスのパンデミックが物流や輸出、さらには国内の労働力や生産コストに影響を与えた可能性が高いです。

今後の対策としては、気候変動に強い農業技術のさらなる導入や、水資源管理の効率化が不可欠と言えます。具体的には、ドローンやセンサーを用いた精密農業の導入、さらには地域共同体での雨水収集・貯蓄方式の拡大などが考えられます。また、長期的にはカリフラワーやブロッコリー種の品種改良を進め、塩分耐性や乾燥耐性を向上させることも重要です。同時に輸出市場のさらなる開拓と物流体制の整備により、多様な市場展開を図るべきでしょう。

ヨルダンのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移の分析からは、農業生産が気候や地政学的状況、さらには政策の影響を大きく受けることが確認できます。国際機関や国自身が持続可能な農業基盤を構築するための投資を進めることが、長期的な安定に繋がると考えられます。ヨルダンの成功例は、他国にも重要な教訓を与えるでしょう。