国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2021年度のオリーブ油生産量ランキングでトップの国はスペイン(1,492,069トン)でした。続いて2位がイタリア(338,631トン)、3位がギリシャ(293,000トン)で、それぞれ地中海地域の国々が上位を占めています。一方で、アメリカ合衆国は18位(16,000トン)、日本や東アジア地域の国々はランク外という結果になっています。総じて、オリーブ油生産量の多くが地中海沿岸諸国に集中していることがわかりました。
順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
---|---|---|---|
1 |
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ヨーロッパ | 1,492,069 |
2 |
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ヨーロッパ | 338,631 |
3 |
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ヨーロッパ | 293,000 |
4 |
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ヨーロッパ | 228,954 |
5 |
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アジア | 222,100 |
6 |
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アフリカ | 194,900 |
7 |
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アフリカ | 144,200 |
8 |
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アジア | 103,893 |
9 |
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アフリカ | 71,000 |
10 |
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アフリカ | 34,700 |
11 |
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南アメリカ | 30,000 |
12 |
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南アメリカ | 24,800 |
13 |
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アジア | 23,402 |
14 |
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オセアニア | 22,600 |
15 |
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アジア | 17,477 |
16 |
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アジア | 17,100 |
17 |
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アフリカ | 17,000 |
18 |
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北アメリカ | 16,000 |
19 |
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アジア | 12,000 |
20 |
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ヨーロッパ | 11,500 |
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2021年度のオリーブ油生産量に関するデータを見ると、スペインが圧倒的なリーダーであることが明らかです。1位のスペインは約149万トンを生産しており、2位のイタリア(約34万トン)や3位のギリシャ(約29万トン)を大きく引き離しています。スペインの生産量が突出しているのは、アンダルシア地方の肥沃な土壌や気候条件がオリーブ栽培に適しているだけでなく、高度な生産技術と設備が整っているためです。地中海地域の国々全体を見ても、生産量が上位10カ国のうち7カ国を占めていることから、地中海沿岸がオリーブ油生産の中心であることが確認できます。
一方、オリーブ油生産が比較的少ない国にも注目すると、アメリカ合衆国(18位、16,000トン)やフランス(23位、4,500トン)がランクインしており、従来オリーブ油生産が盛んではなかった国々でも徐々に生産が進んでいる状況が見て取れます。このような国々は需要国としての性格を強く持つ傾向がありますが、昨今の健康志向によりオリーブ油の需要が増加しているため、自国での生産基盤の整備が進んでいるものと考えられます。
日本や中国、韓国といったアジアの国々はランキングに入っていません。これは、オリーブという作物が一般的に温暖で乾燥した気候を好むため、これらの国々の気候条件がオリーブ栽培に適していないことが影響しています。ただしアジア市場ではオリーブ油の消費が拡大しているため、今後はこれらの国々でも小規模ながら技術を活用したオリーブ栽培が注目されるかもしれません。
地政学的背景や気候変動の影響についても言及する必要があります。特に、シリアやリビアといった地域では2021年も政治的な不安定さが続き、生産や輸出に障害が生じています。同様に地中海沿岸の国々でも極端な気象条件や水不足の問題が深刻化しており、生産量に影響を与える可能性が浮上しています。こうした地域では、農業技術の導入や灌漑設備の拡充などが課題として挙げられます。
未来への課題と対策としては、まず気候変動に適応するための持続可能な農業の推進が急務です。具体的には、耐乾性のあるオリーブ品種への切り替えや温室効果ガスの排出削減を視野に入れた生産システムの導入が求められます。また、生産国間での協力関係を強化し、地政学的リスクに対応するため輸出ルートの多様化を進めることが重要です。特に中東やアフリカ北部の国々では、地域紛争の平和的解決を国際的な枠組みの中で進める必要があるでしょう。
結論として、2021年度のオリーブ油生産量データは、地中海地域を中心に生産が集中している現状を示しています。一方で、気候変動や地政学的リスクが生産に与える負の影響も明確になっています。このような課題に対応しつつ、持続可能な生産体制を築くことが、今後のオリーブ油市場の安定的な発展に寄与するでしょう。日本を含むアジア市場で需要が拡大する中、国際的な連携や研究開発の取り組みもますます重要になってくると考えられます。