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レバノンのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、2021年のレバノンにおけるオリーブ油生産量は17,100トンでした。1961年以降、レバノンの生産量は大きな変動が見られ、一貫した生産増加を示すわけではなく、1961年代の平均生産量は約7,500トン程度なのに対し、直近の10年間の平均生産量は約19,900トンに上昇しています。しかし、ここ数年では気象条件や経済状況の影響により、再び変動が目立っています。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 17,100
19.58% ↑
2020年 14,300
-34.1% ↓
2019年 21,700
9.6% ↑
2018年 19,800
-12.09% ↓
2017年 22,522
-4.97% ↓
2016年 23,700
9.22% ↑
2015年 21,700
20.56% ↑
2014年 18,000
21.62% ↑
2013年 14,800
32.14% ↑
2012年 11,200
-20% ↓
2011年 14,000
-56.25% ↓
2010年 32,000
153.97% ↑
2009年 12,600
5% ↑
2008年 12,000
60% ↑
2007年 7,500
-52.23% ↓
2006年 15,700
130.88% ↑
2005年 6,800
-9.33% ↓
2004年 7,500
15.38% ↑
2003年 6,500
22.64% ↑
2002年 5,300
-7.02% ↓
2001年 5,700
-52.5% ↓
2000年 12,000
90.48% ↑
1999年 6,300
13.13% ↑
1998年 5,569
-2.3% ↓
1997年 5,700
-12.31% ↓
1996年 6,500
30% ↑
1995年 5,000 -
1994年 5,000
150% ↑
1993年 2,000
-75% ↓
1992年 8,000
42.4% ↑
1991年 5,618
15.84% ↑
1990年 4,850
75.72% ↑
1989年 2,760
20.26% ↑
1988年 2,295
-50.7% ↓
1987年 4,655
-37.93% ↓
1986年 7,500
114.29% ↑
1985年 3,500
-56.25% ↓
1984年 8,000
128.57% ↑
1983年 3,500
-73.08% ↓
1982年 13,000
420% ↑
1981年 2,500
-81.2% ↓
1980年 13,300
491.11% ↑
1979年 2,250
-73.53% ↓
1978年 8,500
70% ↑
1977年 5,000
-44.44% ↓
1976年 9,000
50% ↑
1975年 6,000
-52.76% ↓
1974年 12,700
182.22% ↑
1973年 4,500
-35.71% ↓
1972年 7,000
-36.36% ↓
1971年 11,000
29.41% ↑
1970年 8,500
-15% ↓
1969年 10,000
100% ↑
1968年 5,000
-52.38% ↓
1967年 10,500
118.75% ↑
1966年 4,800
-46.67% ↓
1965年 9,000
80% ↑
1964年 5,000
-61.54% ↓
1963年 13,000
550% ↑
1962年 2,000
-77.78% ↓
1961年 9,000 -

レバノンのオリーブ油生産量の推移を分析すると、大きな特徴として、長期的な視点では上昇傾向が見られるものの、短期間での変動幅が著しいことが挙げられます。たとえば、1961年の9,000トンから1973年には4,500トンへの減少、また1980年には13,300トンに急増、その後1988年には2,295トンまで急落といった具合に、生産量の激しい上下動が目立ちます。この変動には、生産環境や社会情勢、さらには国際市場の価格動向といった外部要因の影響が顕著に表れていると考えられます。

特に、2000年代以降はさらなる変動が見られ、2010年には32,000トンという記録的な生産量を達成しましたが、以降は再び不規則な変動が続きます。たとえば、2010年の32,000トンをピークに2012年には11,200トンと大幅に減少、その後2015年には21,700トンに回復、2020年には14,300トンまで低下するなど、大きな変動が存在します。

この変動要因として、第一に挙げられるのは気候変動の影響です。オリーブは乾燥した地中海性の気候を好む一方で、極端な乾燥や豪雨、気温変化には弱く、生産に直接的な影響を与えることが知られています。近年の地球温暖化に伴う異常気象や、レバノン国内での水資源管理の課題が生産量の不安定さに寄与している可能性があります。また、経済的・社会的要因も無視できません。特にレバノンでは、近年の経済危機や政情不安が農業セクターにも悪影響を及ぼしており、オリーブ油生産者にとって十分な資源や資金が確保されにくい状況が考えられます。

さらに、地域的な紛争や国際的な市場競争の影響も大きいです。近隣のトルコやシリア、ギリシャといったオリーブ油主要国との競争が激化する中、輸出市場での価格競争力を強化するための品質向上やブランディングが必要です。これらを考慮すると、レバノンにおけるオリーブ油生産の不安定さは、気候、経済、社会的要因という複合的要因の影響を受けていると言えます。

課題解決に向けて、レバノン政府および国際機関が取り組むべき具体的な対策としては、以下のような提案が考えられます。一つ目は、気候変動に対する適応策の導入です。例えば、乾燥耐性に優れたオリーブ品種の導入や、灌漑システムの整備によって、異常気象による生産量の変動を最小限に抑えることができます。二つ目は、生産者に対する経済的支援と教育プログラムの提供です。これにより、生産者が効果的に作物を栽培し、収益を向上させるための知識と資源を得ることができます。さらに、品質管理の向上や現地ブランドの国際的なプロモーションを通じて、レバノン産オリーブ油の付加価値を高めることも重要です。

結論として、過去のデータからレバノンではオリーブ油生産が重要な農業セクターである一方で、それに影響する課題が多岐にわたることが分かりました。これらを克服するためには、地元政府の取り組みに加え、国際社会との協力が鍵となります。具体的には、FAOやその他の国際機関を通じた技術的支援、資金援助、および知識の共有が、持続可能なオリーブ油生産を推進するために必要不可欠です。