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アフガニスタンのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が公開したデータによると、アフガニスタンのオリーブ油生産量は1960年代から安定しない推移を繰り返しながらも、2000年代以降に急激な成長を見せ、2019年にピークとなる833トンを記録しました。しかし、その後2020年、2021年には生産量がやや減少し、724トンおよび728トンとなっています。この統計は、長期的な戦争、気候変動、農業インフラの変化が、アフガニスタンのオリーブ油生産業界に大きな影響を及ぼしている可能性を示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 728
0.57% ↑
2020年 724
-13.1% ↓
2019年 833
2.6% ↑
2018年 812
6.41% ↑
2017年 763
3.02% ↑
2016年 741
4.15% ↑
2015年 711
8.04% ↑
2014年 658
20.61% ↑
2013年 546
1.37% ↑
2012年 539 -
2011年 539
-9.59% ↓
2010年 596
-18.89% ↓
2009年 734
55.17% ↑
2008年 473
264.31% ↑
2007年 130 -
2006年 130
-41.3% ↓
2005年 221
6.35% ↑
2004年 208
6.25% ↑
2003年 196
118.18% ↑
2002年 90
22.22% ↑
2001年 73
-18.18% ↓
2000年 90
22.22% ↑
1999年 73
-18.18% ↓
1998年 90
22.22% ↑
1997年 73
-18.18% ↓
1996年 90
22.22% ↑
1995年 73
-18.18% ↓
1994年 90
22.22% ↑
1993年 73
-18.18% ↓
1992年 90
22.22% ↑
1991年 73
-18.18% ↓
1990年 90
37.5% ↑
1989年 65
-25.23% ↓
1988年 87
18.89% ↑
1987年 73
-55.02% ↓
1986年 163
149.21% ↑
1985年 66
313.9% ↑
1984年 16
-61.2% ↓
1983年 41
-37.5% ↓
1982年 65
-20% ↓
1981年 82
-14.53% ↓
1980年 95
30% ↑
1979年 73
-31.77% ↓
1978年 108
-4.07% ↓
1977年 112
24.42% ↑
1976年 90
10.51% ↑
1975年 82
-23.08% ↓
1974年 106
36.42% ↑
1973年 78
-20.59% ↓
1972年 98
20% ↑
1971年 82
-16.67% ↓
1970年 98
20% ↑
1969年 82
-16.67% ↓
1968年 98
20% ↑
1967年 82
-9.09% ↓
1966年 90
10% ↑
1965年 82
-9.09% ↓
1964年 90
10% ↑
1963年 82
-9.09% ↓
1962年 90
10% ↑
1961年 82 -

アフガニスタンのオリーブ油生産量は、記録が始まった1961年には82トンでした。その後、1960年代から1970年代初頭にかけては小幅な変化が見られるものの、安定的な生産が続いていました。その背景には、農業基盤が整備され、オリーブ生産が地域的な需要を満たす程度で管理されていたことが挙げられます。しかし、1970年代後半から1980年代にかけては、政治不安や紛争の影響によって、生産量が急激に減少する局面が見られます。この間、1984年にはわずか16トンにまで落ち込み、生産基盤に深刻な影響が及んだことを示しています。

1980年代後半に一時的な回復を見せるものの、冷戦や内戦の影響で1990年代まで再び安定しない状態が続きました。この間、アフガニスタンの農村部では耕作地の荒廃や労働力の減少が進み、オリーブの栽培に関する十分な投資が行われていなかったことが指摘されています。しかし2000年代に入ると、オリーブ生産量はゆるやかに増加し、特に2003年以降には急激な成長が確認されます。2008年に473トン、2009年には734トン、2018年には812トンへと拡大し、2019年には833トンという史上最高値に到達しました。この成長は、国際機関や各国による支援、農業技術の導入、ならびに地域農家への資金提供が寄与した結果と考えられます。

しかし2020年以降の減少は、新型コロナウイルスの流行が影響を与えた可能性を考慮する必要があります。パンデミックによる世界的な供給網寸断は、農業資材の調達や輸送、労働力の確保に影響を及ぼしたと考えられ、アフガニスタンのオリーブ油生産にもその影響が波及したものとみられます。加えて、2021年にはタリバン政権の復活を含む政情の変化もあり、農業政策の継続性と国際的な支援体制が不透明になった点も考慮すべきでしょう。

この生産動向を受け、今後の課題として、国家の安定化とインフラの整備が挙げられます。オリーブ栽培は長期的な視点を必要とする産業であり、農業従事者が安心して作業を進められる環境を整えることが急務です。また、地中海諸国や中東地域のように、国際市場での競争力を高めるための品質向上や輸出インフラの構築も重要です。たとえば、スペインやイタリアが持つようなオリーブ油加工技術やマーケティング手法を導入することが考えられます。

さらに、気候変動の影響にも対応するため、灌漑技術の改良や品種改良の取り組みを強化することが求められます。乾燥地帯での栽培に適した品種の開発や、効率的な水資源管理の導入は、持続可能な生産を実現するための鍵となるでしょう。

これらの取り組みには国際機関をはじめとするグローバルな協力が欠かせません。国連やFAOを通じた技術援助プログラムの拡充、地域間協力枠組みに基づく資金援助や人的支援の提供などが考えられます。これらを通じて、アフガニスタンがオリーブ油の潜在的な生産能力を最大限に活用し、地域社会の経済活性化や雇用創出に寄与することが期待されます。