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モンテネグロのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

モンテネグロのオリーブ油生産量は、2006年の313トンをピークに大きく減少しており、2010年代には最低水準の16~27トン程度で推移しています。直近のデータでは、2021年に22トンとなっており、低水準に留まった状態が続いています。これらのデータは、モンテネグロの農業セクターにおける課題や気候変動などの影響を反映している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 22
12.5% ↑
2020年 20
-4.13% ↓
2019年 20
11.99% ↑
2018年 18
-35.07% ↓
2017年 28
3.7% ↑
2016年 27
80% ↑
2015年 15
-21.05% ↓
2014年 19
16.78% ↑
2013年 16
-59.89% ↓
2012年 41
81.15% ↑
2011年 22
-32.17% ↓
2010年 33
-81.66% ↓
2009年 180
-52.63% ↓
2008年 380
103.21% ↑
2007年 187
-40.26% ↓
2006年 313 -

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、モンテネグロのオリーブ油生産量は2006年に313トンで記録された後、顕著な下降傾向を示しています。特に2010年から2015年の期間はその減少が顕著で、最も低い水準では2013年の16トンにまで落ち込みました。それ以降は20トン前後で横ばいの状態が続いており、改善の兆しは見られません。

この動きは、モンテネグロの農業事情と密接に関連しています。オリーブ栽培はモンテネグロの伝統的な産業であり、これは地中海性気候を背景とした歴史的かつ文化的な基盤を持つ分野です。しかし、2006年以降の生産量の変動には、複数の要因が影響を与えていると考えられます。一つは気候変動です。地中海地域全体で干ばつや極端な気象現象が増加していることが観測されており、それがオリーブの生育に悪影響をもたらしていると推測されます。加えて、病害虫の増加も考えられる要因の一つです。特にオリーブ栽培地帯では、オリーブの実を食害する害虫の発生が近年報告されており、それが収穫量の低迷につながっている可能性があります。

また、地域の農業政策や資金不足も課題と言えます。他の地中海沿岸諸国と比べ、モンテネグロは農業技術の近代化が進んでいない点や、農家が必要とする資材や技術指導を十分に受けられていない点があります。例えば、2021年のオリーブ油生産量を同じ地中海地域のイタリアやスペインと比較すると、両国は全球で数百万トンの生産を誇っており、モンテネグロの生産量との差は圧倒的です。

さらに、近年の人口動態の変化もこの減少傾向に寄与している可能性があります。若い労働力の不足および都市部への人口移動が進む中で、農業分野への継続的な労働投入が難しくなっています。このような人口動態の変化は、小規模農家が多いモンテネグロのオリーブ農業にとって深刻な影響を与えています。

未来の課題として、まず注目すべきは気候変動への適応です。耐干ばつ性に優れたオリーブ品種の導入や、灌漑インフラの改善が必要不可欠です。また、病害虫対策の強化として、有機農法を活用するか、または防除技術の導入が求められます。次に農業政策の面では、小規模農家への支援を強化することが重要です。具体的には、共同組合を設立して農産物市場での競争力を高め、機械化や資金調達を集団的に支援する枠組みを構築するべきです。また、地域間協力を活性化し、特に近隣国から最新の農業技術やノウハウを吸収するための仕組みを構築することも効果的でしょう。

地政学的リスクについては、特に地域間の資源争奪や政治的不安定性が拡大すれば、オリーブ産業全体にも間接的な影響が及ぶ可能性があります。ただしモンテネグロは小規模国であるため、他国との連携を強化しながら地政学的課題を乗り越える方法が鍵となります。

結論として、モンテネグロのオリーブ油生産量は現時点で低水準にとどまっていますが、地域特性と課題に即した対策を実行することで、その低迷傾向を改善できる可能性があります。今後、モンテネグロ政府や国際機関が気候変動対策や農業支援策において積極的な取り組みを行い、現代的な農業モデルを確立することが望まれます。