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チャドのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、チャドのトウモロコシ生産量は、過去数十年間で大きな変動を経験しており、1961年の9,000トンから2022年の363,985トンへと全体的に増加しています。特に1990年代以降、トウモロコシの生産量は急増する傾向を見せましたが、2016年の443,779トンをピークに、最近数年間はやや減少傾向が見られます。このデータは、チャドの農業や食糧自給状況の重要な指標であり、地政学的背景や気候変動の影響がその動向に反映されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 354,241
-2.68% ↓
2022年 363,985
-0.18% ↓
2021年 364,631
-10.49% ↓
2020年 407,371
-1.74% ↓
2019年 414,606
-5.32% ↓
2018年 437,898
10.44% ↑
2017年 396,506
-10.65% ↓
2016年 443,779
26.98% ↑
2015年 349,500
4.99% ↑
2014年 332,889
-20.36% ↓
2013年 417,986
-8.33% ↓
2012年 455,965
52.26% ↑
2011年 299,472
38.77% ↑
2010年 215,797
3.24% ↑
2009年 209,031
-7.51% ↓
2008年 225,993
12.29% ↑
2007年 201,257
9.41% ↑
2006年 183,946
-8.62% ↓
2005年 201,305
87.4% ↑
2004年 107,422
-8.95% ↓
2003年 117,978
39.87% ↑
2002年 84,349
-19.89% ↓
2001年 105,295
64.49% ↑
2000年 64,014
-32.01% ↓
1999年 94,151
-47.69% ↓
1998年 179,999
81.56% ↑
1997年 99,141
32.84% ↑
1996年 74,631
19.34% ↑
1995年 62,537
-60.64% ↓
1994年 158,896
160.16% ↑
1993年 61,076
-30.14% ↓
1992年 87,424
82.99% ↑
1991年 47,775
65.75% ↑
1990年 28,823
50.35% ↑
1989年 19,171
-43.4% ↓
1988年 33,871
81.51% ↑
1987年 18,661
-26.22% ↓
1986年 25,293
-28.04% ↓
1985年 35,147
99.97% ↑
1984年 17,576
-38.84% ↓
1983年 28,740
-3.23% ↓
1982年 29,700
-15.14% ↓
1981年 35,000
40% ↑
1980年 25,000
25% ↑
1979年 20,000
33.33% ↑
1978年 15,000
57.89% ↑
1977年 9,500
-40.63% ↓
1976年 16,000
6.67% ↑
1975年 15,000
30.43% ↑
1974年 11,500
4.55% ↑
1973年 11,000
-18.52% ↓
1972年 13,500
3.85% ↑
1971年 13,000
8.33% ↑
1970年 12,000 -
1969年 12,000 -
1968年 12,000
-60% ↓
1967年 30,000
25.52% ↑
1966年 23,900
70.71% ↑
1965年 14,000
16.67% ↑
1964年 12,000
20% ↑
1963年 10,000
11.11% ↑
1962年 9,000 -
1961年 9,000 -

チャドのトウモロコシ生産量は、1960年代から1970年代にかけては9,000トンから30,000トン程度の間で大きな変動が続いていました。この時期の生産量の変動は、気候条件の厳しさや農業技術の未発達が主な原因と考えられます。1970年代後半から1980年代にかけては、内戦を含む政治的混乱が続き、特に1984年に記録された17,576トンのように、生産量が一時的に大幅に減少した年もありました。これは、農業インフラの損傷だけでなく、干ばつなどの自然災害と重なった影響も背景にあると考えられます。

1990年代に入ると、トウモロコシ生産量は急速に伸びを見せ、特に1994年には158,896トン、1998年には179,999トンと、大幅な増加が見られました。これには、農業技術の改善、種子の質向上、及び一部地域の降水量の増加が寄与した可能性があります。さらに、食糧危機対策として国際社会からの支援が向上したことも影響していると考えられます。

2000年以降、チャドの農業生産は引き続き安定化し、2005年以降は生産量が20万トンを超える水準にまで拡大しました。特に2012年には455,965トンと過去最高の生産量を記録しましたが、その後の2014年から2022年にかけて生産量はやや停滞し、400,000トン台で推移しています。この減少傾向の背景には、土地の過剰利用による土壌の劣化、気候変動、そして地域の治安問題があると言われています。

地政学的背景を見ても、チャドはサヘル地帯に位置し、干ばつが頻発する地域です。そのため農業生産は強く自然環境に依存しています。同時に、チャドはアフリカ中部での政治的安定とは程遠い状況にあり、一部の地域では紛争や治安悪化が農業活動に影響を及ぼしている点は無視できません。また、気候変動は、降水パターンや気温に影響を与え、トウモロコシ生産の予測を困難にしています。一方で、2012年に見られたような飛躍的改善には、国際的な技術支援や気候適応策が大きく影響したため、こうした取り組みをさらに強化する必要があります。

未来への課題としては、まず気候変動の影響を緩和するための取り組みが重要です。具体的には、灌漑施設の整備や耐乾燥性に優れた作物品種の開発・導入が挙げられます。また、農業従事者に対する教育と技術支援を強化し、持続可能な農業方法を導入することで土地の乱用を防ぐことが必要です。国際協力もまた重要であり、地域間の協力の枠組みを強化し、食糧安全保障を高めるための包括的なプログラムを実施することが求められます。

結論として、チャドのトウモロコシ生産は過去数十年で大幅に成長しましたが、現在は停滞期に入っています。気候変動や地政学的リスクの影響を緩和しつつ、農業技術やインフラ整備に注力することで、さらなる生産増加と持続可能な成長が期待されます。国際機関や周辺諸国との協力を活用し、地域全体での農業強化を進めることが、チャドの食糧事情を解決し、ひいては安定的な経済成長にも貢献すると言えるでしょう。