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チャドのジャガイモ生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(FAO)のデータによると、チャドにおけるジャガイモ生産量は1961年の8,000トンから2022年の36,496トンまで増加しています。ただし、この期間中には数値の上昇と下降が繰り返されており、特に2006年から2007年にかけて急激な増加が見られました。その後、2012年以降には減少傾向が続き、2020年代に入ってからは横ばいの傾向にあります。これらの動向は、チャドの農業政策、自然災害、地政学的背景、そして気候変動の影響を反映していると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 36,496
2021年 36,315
2020年 36,506
2019年 36,668
2018年 35,771
2017年 37,081
2016年 37,152
2015年 33,079
2014年 41,011
2013年 42,121
2012年 43,350
2011年 48,640
2010年 45,235
2009年 50,000
2008年 42,200
2007年 67,466
2006年 45,000
2005年 35,000
2004年 30,000
2003年 34,162
2002年 34,726
2001年 37,574
2000年 30,498
1999年 27,000
1998年 20,808
1997年 20,300
1996年 19,821
1995年 19,356
1994年 19,987
1993年 20,000
1992年 20,013
1991年 19,136
1990年 16,882
1989年 18,000
1988年 18,000
1987年 15,000
1986年 14,000
1985年 14,000
1984年 13,000
1983年 13,000
1982年 13,000
1981年 13,000
1980年 13,000
1979年 13,000
1978年 12,000
1977年 12,000
1976年 11,000
1975年 10,000
1974年 11,800
1973年 11,500
1972年 12,150
1971年 12,100
1970年 12,000
1969年 11,500
1968年 11,500
1967年 11,000
1966年 11,000
1965年 10,000
1964年 10,000
1963年 9,000
1962年 9,000
1961年 8,000

チャドのジャガイモ生産量の推移を見ると、1960年代から1980年代までは比較的緩やかな増加傾向を示しました。この期間の増加は、農業技術の漸進的な改善や農民層への普及活動が寄与していると考えられます。しかし、1973年から1975年の間には生産量が減少し、10,000トンに落ち込む年も見られます。この時期は、チャド国内の政治的不安定や気候変動の影響が主要な要因であった可能性があります。

1990年代後半から2000年代にかけては生産量が大幅に増加し、2006年には45,000トン、2007年には67,466トンと、過去最高の数値を記録しました。この急激な生産量の増加は、国内外の援助による農業支援プログラムが奏功した結果とみられます。特に、高収量品種の導入や農業インフラの改善がジャガイモ生産の効率向上を促したと考えられます。

しかしながら、2007年のピーク以降、2012年からは再び生産量の低迷期に突入しました。これは、国内における水資源の不足や気候変動の深刻化が主要な要因となっています。2015年にはさらに33,079トンまで減少し、この時期にチャドが直面している自然災害や地域紛争の影響も色濃く見えます。また、農民層の支援が停滞し、必要な化学肥料や農機具が行き渡らなかったことも低迷を引き起こした一因といえるでしょう。

2020年代以降、ジャガイモ生産量は35,000~36,000トン台で安定しており、2022年には36,496トンを記録しています。ただ、この安定は生産性向上によるものではなく、あくまで過去のマイナス要因の克服にとどまるもので、さらなる成長には課題が残ります。

課題としては、第一に気候変動が挙げられます。チャドはサヘル地域に位置し、降水量の変動が非常に大きいため、農業の安定性が脅かされています。さらに、農業インフラの整備が他国に比べて遅れていることも問題です。たとえば、中国やインドなどでは灌漑設備や運輸インフラの発展が農業生産性向上に寄与していますが、チャドではこれらが十分に整備されておらず、生産性の向上を妨げています。また、農業従事者の技術教育や、高効率な農機具の普及も不足しているため、国際基準に達していない現状があります。

未来に向けた対策として、気候変動に適応した農業技術の導入が急務です。このためには、耐乾燥性の高い品種の導入や、資金援助を通じた灌漑設備の普及促進が挙げられます。同時に、農民たちの教育や農業協同組合の設立を支援し、知識共有や効率的な資源利用を可能にする枠組みが必要です。加えて、国内の政治的安定を維持し、紛争や治安問題が農業に及ぼす影響を減らす努力も重要です。これには、国際社会からの支援や調停も不可欠となります。

結論として、チャドのジャガイモ生産量は過去数十年で一定の進展を遂げてきたものの、気候変動や社会的課題への対応が求められている現状です。これらの課題を克服することで、さらに高い生産性を実現する希望が見込めます。FAOや他の国際機関も、このダイナミクスを注視しながら持続可能な農業発展に向けた支援を強化していくべきです。