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イエメンのブドウ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2024年最新データによると、イエメンのブドウ生産量はここ数十年で大きな変動を見せています。特に1960年代から1990年代半ばにかけて大幅な増加を記録しましたが、それ以降は波のある増減を繰り返しています。近年では、2020年以降にやや回復基調にあるものの、大きな伸びは見られず、近年の生産量はおおよそ年間140,000トン前後で推移しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 138,839
-2.64% ↓
2022年 142,601
-2.05% ↓
2021年 145,591
6.62% ↑
2020年 136,555
1.76% ↑
2019年 134,187
9.32% ↑
2018年 122,751
-5.35% ↓
2017年 129,687
-0.42% ↓
2016年 130,234
-11.24% ↓
2015年 146,730
-3% ↓
2014年 151,268
-2.8% ↓
2013年 155,622
0.49% ↑
2012年 154,869
3.89% ↑
2011年 149,068
-10.35% ↓
2010年 166,278
28.51% ↑
2009年 129,385
1.77% ↑
2008年 127,132
1.06% ↑
2007年 125,800
6.99% ↑
2006年 117,580
9.12% ↑
2005年 107,753
3.55% ↑
2004年 104,062
-38.36% ↓
2003年 168,824
2.58% ↑
2002年 164,578
1.14% ↑
2001年 162,726
4.36% ↑
2000年 155,926
0.13% ↑
1999年 155,722
0.54% ↑
1998年 154,887
3.11% ↑
1997年 150,216
53.22% ↑
1996年 98,038
-34.89% ↓
1995年 150,563
2.86% ↑
1994年 146,372
1.7% ↑
1993年 143,932
-0.55% ↓
1992年 144,732
4.46% ↑
1991年 138,546
-2.69% ↓
1990年 142,379
5.73% ↑
1989年 134,660
0.94% ↑
1988年 133,408
3.22% ↑
1987年 129,244
25% ↑
1986年 103,397
27.77% ↑
1985年 80,924
-1.36% ↓
1984年 82,037
13.85% ↑
1983年 72,057
5.55% ↑
1982年 68,265
5.61% ↑
1981年 64,641
17.53% ↑
1980年 55,000
12.24% ↑
1979年 49,000
8.89% ↑
1978年 45,000
-4.26% ↓
1977年 47,000
11.9% ↑
1976年 42,000
5% ↑
1975年 40,000
29.03% ↑
1974年 31,000
-11.43% ↓
1973年 35,000 -
1972年 35,000
16.67% ↑
1971年 30,000
200% ↑
1970年 10,000
-58.68% ↓
1969年 24,200
4.76% ↑
1968年 23,100
5% ↑
1967年 22,000
5.26% ↑
1966年 20,900
5.56% ↑
1965年 19,800
3.13% ↑
1964年 19,200 -
1963年 19,200
2.67% ↑
1962年 18,700 -
1961年 18,700 -

イエメンのブドウ生産量の推移は、農業技術や社会情勢、さらには地政学的な影響が複雑に絡み合った結果を反映しています。特に、1961年の18,700トンから1990年の142,379トンに至る増加傾向は、土地利用の拡大と農業技術の向上、そして外部市場への輸出を狙った生産体制の整備によるものと考えられます。この成長のピークが見られた1990年代初頭以降には、社会情勢の変化や気候変動、そして環境破壊が徐々にその影響を及ぼし始めました。

特に1996年には約98,038トンと大幅な減少が見られます。この背景には、内戦や水資源の制約が存在し、生産量に直接的な影響を与えた可能性があります。また、農業灌漑技術の遅れや砂漠化の進行により主要な農業地帯での作物栽培が困難になり、ブドウ産業にも負の影響を及ぼしたと推測されます。

2000年代には一時的に生産量が増加し、2003年には168,824トンまで達しましたが、これが現時点での最高記録です。その後再び波のある増減が続き、2016年以降は減少傾向にあります。2020年から2023年のデータを見ると、年間生産量は13万から14万トン台で推移していますが、安定した成長というよりも、むしろ緩やかな回復と見るべきでしょう。

イエメンは現在、気候変動の影響を直接受ける国の一つとされています。ブドウの栽培に必要な水資源の確保が難しくなっており、さらには国内での衝突や紛争の影響で農業技術への継続的な投資も制限されています。また、国際市場での競争力の低下も懸念され、隣国の農業先進国であるエジプトやモロッコとの比較では、イエメンの技術面および生産性の遅れが顕著です。

未来への課題としては、まず第一に、持続可能な農業のモデルを構築する必要性が挙げられます。これには、灰色インフラ(灌漑施設など)の整備や、現地農民向けの教育プログラムの導入が含まれます。第二に、水資源管理の効率化が急務です。砂漠化と水不足が進行しており、地下水の無計画な汲み上げがさらなる問題を引き起こす可能性があるため、雨水の利用や節水型の農業技術の導入が必要です。

国際協力がこの分野で非常に重要な役割を果たします。例えば、国際連合や地域協力機関を通じて、技術支援や資金援助を迅速に受けることが可能です。また、隣国サウジアラビアやエジプトとの農業技術の交流や協力は、地域全体の競争力向上にもつながります。

総括すると、イエメンのブドウ生産量は短期的には安定的であるものの、長期的には様々な課題を解消しなければ成長を維持することは困難です。このため、国自身だけでなく、国際社会と連携し、持続可能な農業政策を実施することが不可欠といえます。このような取り組みが進展すれば、イエメンのブドウ生産は再び安定的な成長軌道に乗ることが期待されます。