国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、イエメンにおけるキュウリ類の生産量は、1979年から2023年までの間に大きな変動を見せながら推移してきました。1979年には10,022トンであった生産量は、初期には緩やかな増加傾向を見せ、2000年代前半には一時的な低下も記録されました。その後2010年代初頭には再び増加基調となったものの、2014年以降は持続的減少から最近は一貫して13,800トン前後で安定しています。全体を通じた傾向として、地域の社会的、経済的および地政学的な問題が生産量に影響を与えたことが推測されます。
イエメンのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 13,832 |
0.13% ↑
|
2022年 | 13,815 |
-0.16% ↓
|
2021年 | 13,837 |
-0.06% ↓
|
2020年 | 13,845 |
0.6% ↑
|
2019年 | 13,762 |
-1.01% ↓
|
2018年 | 13,903 |
0.24% ↑
|
2017年 | 13,870 |
2.63% ↑
|
2016年 | 13,514 |
-5.66% ↓
|
2015年 | 14,325 |
-12% ↓
|
2014年 | 16,278 |
-8.45% ↓
|
2013年 | 17,781 |
-0.65% ↓
|
2012年 | 17,897 |
30% ↑
|
2011年 | 13,767 |
-22.58% ↓
|
2010年 | 17,783 |
10.92% ↑
|
2009年 | 16,032 |
6.91% ↑
|
2008年 | 14,996 |
4% ↑
|
2007年 | 14,419 |
10% ↑
|
2006年 | 13,108 |
26.97% ↑
|
2005年 | 10,324 |
32.17% ↑
|
2004年 | 7,811 |
-50.26% ↓
|
2003年 | 15,704 |
3.47% ↑
|
2002年 | 15,177 |
3.69% ↑
|
2001年 | 14,637 |
4.63% ↑
|
2000年 | 13,989 |
2.01% ↑
|
1999年 | 13,713 |
4.59% ↑
|
1998年 | 13,111 |
29.38% ↑
|
1997年 | 10,134 |
-11.55% ↓
|
1996年 | 11,457 |
7.25% ↑
|
1995年 | 10,683 |
1.07% ↑
|
1994年 | 10,570 |
-9.87% ↓
|
1993年 | 11,728 |
-0.64% ↓
|
1992年 | 11,804 |
6.07% ↑
|
1991年 | 11,128 |
-0.19% ↓
|
1990年 | 11,149 |
-23.34% ↓
|
1989年 | 14,544 |
9.15% ↑
|
1988年 | 13,325 |
-0.19% ↓
|
1987年 | 13,350 |
-0.25% ↓
|
1986年 | 13,384 |
16.69% ↑
|
1985年 | 11,470 |
6.93% ↑
|
1984年 | 10,727 |
6.37% ↑
|
1983年 | 10,085 |
6.66% ↑
|
1982年 | 9,455 |
4.8% ↑
|
1981年 | 9,022 |
-15.75% ↓
|
1980年 | 10,709 |
6.85% ↑
|
1979年 | 10,022 | - |
イエメンのキュウリ類生産量を1979年から2023年まで観察すると、初期の10,000から13,000トンの範囲での変動を経て、1986年以降は大きな成長段階に入りました。この成長は1990年代前半まで続き、特に2000年代初頭には15,000トンを超える記録も見られました。しかしながら、2004年に生産量が7,811トンに急落した点は異常値といえます。この急落は、干ばつや政策の失敗、または他の農業生産の優先度が変化した可能性が考えられます。その後、生産は回復に向かい、2010年には17,783トンに達するさらなる上昇を遂げました。
しかし2014年以降、イエメンでは政治的混乱や紛争の影響が拡大し、農作物生産にも影響を及ぼしたと考えられます。特に、2015年以降の内戦下では農業に必要な灌漑、肥料、種子の供給が制限され、生産量は顕著に減少し始めます。この結果、2020年代以降の生産量は13,800トン前後で安定していますが、これは2010年代の最盛期水準と比較すると劣勢です。
他の国々と比較すると、日本や韓国の国内生産は主に国内消費に特化し、大規模な輸入体制で需要を補っています。一方、アメリカや中国などの大農業国は輸出市場を広げ、大規模な機械化とインフラ整備によって安定した生産を維持しています。これに対して、イエメンのキュウリ類生産量の停滞と変動は、経済インフラの不足、地政学的リスク、気候変動といった要因が複雑に絡み合っていると言えます。特に降水量の変動や内陸部の灌漑不足、あるいは社会動乱による物流の混乱が、生産性低下の主な要因として挙げられるでしょう。
このような背景を考慮すると、イエメンにおけるキュウリ類の生産を安定的に継続し、さらに将来の増加へつなげるためには、いくつかの具体的な対策が急務です。第一に灌漑技術の改善と適切な水資源管理が必要です。特に乾燥した地域では雨水利用や地下水の効率的利用が欠かせません。次に、農業機械や資材の供給網を強化するための国際的な援助が重要です。例えば国連やNGOによる技術支援や資源の融資がこれを支える基盤になるでしょう。さらに、作物の多様化や耐乾性種子の導入によって気候不順にも耐えうる農業モデルを構築することも有効です。
また、地政学的背景として、紛争解決を通じた穏やかな政治環境の実現が重要です。内戦や政治的不安定が解消されない限り、農業分野全体への支援は部分的な成果に留まる可能性があります。さらに将来的には、イエメンでの地域的な農業協力体制を整えることにより、生産の効率化や輸出競争力の向上が期待されます。
結論として、現在のイエメンのキュウリ類生産量は紛争や気候条件、農業インフラの未整備といった課題による影響を大きく受けています。これを改善するためには、水資源管理、灌漑技術のアップグレード、そして外部からの農業支援の導入が求められます。また、地政学的リスクを緩和するための平和的な解決策と国際機関の連携強化が必要不可欠です。このような取り組みによって、イエメンが持続可能な農業発展を実現し、国内の食料安全保障を高めることを期待したいです。