国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点の最新データによると、イエメンのアーモンド生産量は1981年の53トンから2023年には13,405トンまで増加しました。特に2009年から2010年にかけての急激な増加が注目されます。この長期的な増加傾向は、農業技術の改善や栽培地域の拡大によるものと考えられますが、一方で地政学的リスクや気候変動が生産に与える影響についての課題も浮き彫りとなっています。
イエメンのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 13,405 |
1% ↑
|
2022年 | 13,273 |
0.44% ↑
|
2021年 | 13,214 |
6% ↑
|
2020年 | 12,466 |
9.93% ↑
|
2019年 | 11,340 |
8.18% ↑
|
2018年 | 10,483 |
-0.01% ↓
|
2017年 | 10,484 |
-1.01% ↓
|
2016年 | 10,591 |
-3.84% ↓
|
2015年 | 11,014 |
4% ↑
|
2014年 | 10,590 |
1.27% ↑
|
2013年 | 10,457 |
1.63% ↑
|
2012年 | 10,289 |
1.1% ↑
|
2011年 | 10,177 |
0.98% ↑
|
2010年 | 10,078 |
0.92% ↑
|
2009年 | 9,986 |
6557.33% ↑
|
2008年 | 150 | - |
2007年 | 150 |
15.38% ↑
|
2006年 | 130 | - |
2005年 | 130 |
-1.94% ↓
|
2004年 | 133 |
0.91% ↑
|
2003年 | 131 |
-1.17% ↓
|
2002年 | 133 |
0.55% ↑
|
2001年 | 132 |
0.62% ↑
|
2000年 | 131 |
0.47% ↑
|
1999年 | 131 |
0.58% ↑
|
1998年 | 130 |
1.74% ↑
|
1997年 | 128 |
1.24% ↑
|
1996年 | 126 |
0.98% ↑
|
1995年 | 125 |
1.63% ↑
|
1994年 | 123 |
2.5% ↑
|
1993年 | 120 | - |
1992年 | 120 | - |
1991年 | 120 | - |
1990年 | 120 |
50% ↑
|
1989年 | 80 |
5.26% ↑
|
1988年 | 76 |
-3.8% ↓
|
1987年 | 79 |
16.18% ↑
|
1986年 | 68 |
13.33% ↑
|
1985年 | 60 |
3.45% ↑
|
1984年 | 58 |
5.45% ↑
|
1983年 | 55 | - |
1982年 | 55 |
3.77% ↑
|
1981年 | 53 | - |
イエメンにおけるアーモンド生産量の推移を分析すると、1981年の53トンという規模は非常に小さなものでした。その後、緩やかな増加を見せ、1990年代には120トン前後で安定する時期が続きます。しかし、2000年代後半、特に2009年の9,986トン以降、生産量は飛躍的に増加し、直近2023年には13,405トンに達しています。この急激な増加には、栽培技術の進歩や灌漑施設の改善、さらには国内外での需要増加が関連していると推測されます。
特に2009年以降の急増については、具体的な背景として、地元農村地域でのアーモンドを含めた作物栽培への支援の増加が挙げられます。一部の報告によると、公益的な農業政策や国際援助機関からの支援が生産拡大を後押ししたとのことです。また、イエメンの気候はアーモンド栽培に適している地域も多く、農業従事者がアーモンドへ注力することで収益性が向上した可能性もあります。
ただし、イエメンは長年にわたり政治的な不安定さや紛争、さらには気候変動といった課題に直面しており、これらが農業全般に悪影響を及ぼしていることも否定できません。砂漠化の進行や降水量の減少など、気候要因がアーモンド生産に与えるリスクは今後さらに高まる可能性があります。また、地域衝突により農地が荒廃したり労働力が不足したりする問題も無視できません。
国際的に見ると、イエメンのアーモンド生産量は他の主要生産国、たとえばカリフォルニア州を中心としたアメリカや地中海諸国(スペインやイタリア)とはまだ大きな差があります。アメリカでは年間生産量が100万トンを超える一方、イエメンの生産量はその1%程度に留まります。この差を埋めるには、大規模な農地整備や効率的な輸出体制の強化が必要です。また、持続可能な農業技術の採用を進めることも重要です。日本を含む先進国と協力し、農作物のマーケティングや加工技術の共有を図ることも収益向上につながるでしょう。
イエメン国内の安定的な発展および輸出市場の拡大を目指すには、いくつかの具体的な対策が重要です。政府及び国際機関は農業インフラへの投資を積極的に行い、生産基盤を強化する必要があります。また、気候変動の影響を最小限に抑えるための技術開発や研究にも資金を投入するべきです。さらに、地域ごとの農家を組織化し、生産者間の協力体制を形成することで、生産効率の向上と市場競争力の強化が期待されます。
結論として、過去40年以上にわたりイエメンのアーモンド生産量は着実に増加してきましたが、今後もこの成長を持続可能な形で続けていくためには、地域の地政学的な安定性の確保、適応型農業の推進、そして国際協力が不可欠です。この取り組みが実現すれば、イエメンのアーモンド産業は地域経済を大きく支える重要な柱となるでしょう。