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イエメンのナシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関の最新データによると、イエメンのナシ生産量はここ数十年で大きな変化を遂げています。1979年の140トンから開始し、2023年には834トンに達しました。データは一貫した増加傾向を示す一方で、特に2013年から2017年にかけての急激な変動が顕著です。内戦や地域紛争、気候変動の影響が要因として考えられますが、近年は安定に向かう動きが見られます。

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年度 生産量(トン) 増減率
2023年 834
4.14% ↑
2022年 801
1.67% ↑
2021年 788
-2.05% ↓
2020年 804
-0.81% ↓
2019年 811
8.34% ↑
2018年 748
2.02% ↑
2017年 733
-22.79% ↓
2016年 950
46.39% ↑
2015年 649
7.9% ↑
2014年 601
33.66% ↑
2013年 450
-10% ↓
2012年 500
-1.23% ↓
2011年 506
5.71% ↑
2010年 479
5.02% ↑
2009年 456
-5.88% ↓
2008年 484
10.37% ↑
2007年 439
5.12% ↑
2006年 418
4.99% ↑
2005年 398
5.3% ↑
2004年 378
5.76% ↑
2003年 357
5.97% ↑
2002年 337
6.22% ↑
2001年 317
5.76% ↑
2000年 300
7.14% ↑
1999年 280
12% ↑
1998年 250
8.7% ↑
1997年 230
9.52% ↑
1996年 210
10.53% ↑
1995年 190
8.57% ↑
1994年 175 -
1993年 175 -
1992年 175
-1.13% ↓
1991年 177 -
1990年 177
1.14% ↑
1989年 175
8.7% ↑
1988年 161
-7.47% ↓
1987年 174
16.78% ↑
1986年 149
12.88% ↑
1985年 132
3.94% ↑
1984年 127
4.1% ↑
1983年 122 -
1982年 122
5.17% ↑
1981年 116
-10.77% ↓
1980年 130
-7.14% ↓
1979年 140 -

イエメンのナシ生産量推移データを見ると、1979年から2023年にかけて、おおむね右肩上がりの傾向が確認できます。当初は140トンに過ぎなかった生産量が、2023年には834トンまで増加しました。これは、果実栽培における技術革新や農業政策の進化に伴う成果を示すものです。一方で、長期的な増加傾向の中にも、幾つかの時期に顕著な停滞や変動が見られることが特徴です。

具体的には、1980年代以降、ナシの生産量は徐々に拡大していきましたが、2010年代後半にかけて一時的な急激な変動が発生しました。この時期、内戦や政治不安定による地政学的リスク、そして気候変動に伴う水資源問題が、農業生産に深刻な影響を及ぼしていたと考えられます。例えば、2013年以降の生産量は減少傾向を見せ、450トン近くまで落ち込みました。しかしその後、2016年には一転して950トンに急増しました。この急な上昇は、雨量の増加や一部地域の農業振興プログラムの成功が寄与したのではないかと推測されますが、翌2017年には再び733トンに減少しています。この急激な変動自体は、イエメン国内の情勢不安および農業基盤の脆弱性を浮き彫りにしています。

また、2023年における834トンへの回復は重要なポイントです。これは、生産基盤が安定化し、持続的な回復の兆しを見せていることを表している可能性があります。同時に、気候変動や社会インフラの未整備といった課題は依然として大きな影響力を持つため、今後の持続可能な発展のための戦略的な取り組みが欠かせません。

イエメン国内でのナシ生産拡大に対する大きな課題の一つは水資源の確保です。イエメンは気候的に乾燥地帯で、地下水資源が限られているため、灌漑設備の整備や効率的な水管理が急務とされています。ナシは果物作物として比較的水を多く必要とし、過剰な使用は地域の地下水枯渇を早めるリスクを含んでいます。このため、イスラエルなど乾燥地帯に特化した農業技術を持つ国々の事例を参考に、点滴灌漑などの効率的灌漑技術の導入が有効と考えます。

さらに、国内情勢の安定化も欠かせない要素です。イエメンは内戦や社会的な不安による影響から、農業に必要な輸送や市場流通の効率化が著しく阻害されています。このため、国際機関や周辺国の支援のもと、流通網の強化や農家支援プログラムを実施することが必要です。特に、国際連合や地域協力の枠組みの中で、国際社会が技術支援や資材供給を行うことによって、持続可能な農業生産の基盤が整うと考えられます。

近年の気候変動もまた注目すべき課題です。特に雨量の変動や気温上昇が長期的にナシ生産に影響を与える恐れがあります。他地域、特に日本や中国、インドなどでも同様に、気候変動に起因する農業課題に直面していますが、緻密な気象データ活用や農業リスク管理システムなどが重要な役割を果たしています。これらの技術や知見をイエメンに導入し、地域特化型の作物栽培モデルを展開することが求められます。

最終的には、イエメンが今後持続可能で効率の良い農業を実現するためには、国内の農業政策、気候変動への適応、地域協力の強化が重要なポイントとなるでしょう。