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イエメンのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、イエメンのサツマイモ生産量は、1987年の150トンから2022年の325トンまで増加傾向を示しています。特に1980年代後半から1990年代初めには生産量が急増しましたが、2000年以降から2022年までの間は概ね横ばいの傾向にあります。一方で、2009年に407トンと大きく伸びたものの、その後は減少傾向を繰り返し、一定の生産量に留まって推移しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 320
-1.4% ↓
2022年 325
-0.23% ↓
2021年 325
-0.45% ↓
2020年 327
1.61% ↑
2019年 322
-1.82% ↓
2018年 328
-1.1% ↓
2017年 331
-0.21% ↓
2016年 332
-5.42% ↓
2015年 351
11.48% ↑
2014年 315
-4.62% ↓
2013年 330
-5.71% ↓
2012年 350
-7.19% ↓
2011年 377
-7.24% ↓
2010年 407
-0.14% ↓
2009年 407
12.36% ↑
2008年 362
0.03% ↑
2007年 362
8.04% ↑
2006年 335
11.76% ↑
2005年 300
-8.25% ↓
2004年 327
-5.22% ↓
2003年 345
1.47% ↑
2002年 340
1.45% ↑
2001年 335
3.39% ↑
2000年 324
1.91% ↑
1999年 318
2.73% ↑
1998年 310
1.12% ↑
1997年 306
2.07% ↑
1996年 300 -
1995年 300 -
1994年 300
-8.26% ↓
1993年 327 -
1992年 327
2.19% ↑
1991年 320
15.11% ↑
1990年 278
-26.46% ↓
1989年 378
56.2% ↑
1988年 242
61.33% ↑
1987年 150 -

イエメンにおけるサツマイモ生産量の推移を見ると、まず1987年から1989年にかけて顕著な増加が見られます。この時期の増加理由としては、農業技術の改善や農地開発の推進が挙げられます。しかしながら1990年以降の10年間では300トン前後で停滞しており、この背景には国内の政治的不安定さが影響を及ぼしている可能性があります。イエメンは1990年に南北統一を果たしましたが、その後も内戦や地政学的な混乱が続き、農業基盤に悪影響を及ぼしたと考えられます。

2000年代に入ると、徐々に生産量が回復し、2009年には407トンとピークを記録しました。この増加は、国際機関や他国の支援による農業政策の強化、または気候条件が一時的に好転したことによると考えられます。しかし、その後、2011年以降は再び減少傾向が顕著となり、特に2014年以降は内戦が開始されたことにより、生産地と流通網が深刻な影響を受けたと推測されます。こうした地政学的なリスクは農業全般にわたる大きな脅威です。

近年では2020年から2022年にかけて325トン前後で横ばいが続いています。これは、内戦や経済的混乱の影響下でも、最低限の生産活動を維持できていることを示していますが、生産に大きな飛躍が見られるには至っていません。また、サツマイモは食糧安全保障の観点からも重要な作物ですが、イエメンでは水資源の不足や農地の荒廃が生産力を制約している課題として挙げられます。

イエメンの課題として、まず内戦や社会的混乱による灌漑設備や農業機器の不足が見られます。サツマイモは比較的気候耐性が高い作物とはいえ、必要最低限のインフラ整備や栽培技術の向上がないままでは、生産効率の向上は望めません。また、気候変動の影響により、降水量の減少や土壌劣化のリスクが高まっていることも懸念されます。

今後、イエメンのサツマイモ生産量を向上させるためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず第一に、国内外からの財政的支援を通じて灌漑施設や農業インフラの再構築を進めることが重要です。これには、国連や非政府組織(NGO)によるサポートが期待されます。次に、気候変動に適応するための農業技術の導入が求められます。例えば、干ばつ耐性のある品種の育成や、農地の劣化を防止するための有機農法の普及は有益です。また、地域間での協力や技術共有が進むことで、農業生産性の向上に寄与できる可能性があります。

現時点での生産量は決して高水準とは言えませんが、持続的な支援と政策的なアプローチにより、イエメンのサツマイモ生産量のさらなる拡大は期待できます。特に地域への重点的な技術支援とインフラ再整備を通して、食糧自給率向上と農村地域の復興を目指すべきでしょう。